
『コンペ』は、英語の『competition(コンペティション)』に由来する言葉です。ビジネスシーンでは、複数の企業や個人が提案を競い合うプロセスを指します。
目次
耳にしたことがあっても、『コンペ』の意味をよく理解していない人もいるのではないでしょうか?今回は、意味やシーン別の使い方を見ていきましょう。
コンペとは?
まずは、言葉の意味や語源、仕組みを紹介します。
■英語の「competition」を略したカタカナ語
コンペは、英語の『competition(コンペティション)』を略したカタカナ語です。『競争・競技会』という意味があり、複数の参加者が互いに競い合い、優劣を決めることを指します。
ビジネスシーンでは、ある仕事やプロジェクトに対して、複数の企業・個人から提案を募り、その中から最適なものを選ぶプロセスを意味します。例えば、新しい広告キャンペーンを行う際に、複数の広告会社から企画案を出してもらい、比較検討するといった形式です。
建築やデザイン、広告・ITなど幅広い業界で行われており、より良い成果を得るための選定方法として定着しています。特に創造性・専門性が求められる分野では、異なる視点からの提案を比較できるため、革新的なアイデアを見つけ出す手段として活用されています。
ビジネスシーンでのコンペとは?
コンペは、企業活動のさまざまな場面で活用されています。どのような目的や状況で行われているのか、具体例とともに見ていきましょう。また、メリット・デメリットについても紹介します。
■コンペを行う目的や状況
コンペを行う主な目的は、より優れた企画やデザインの獲得、コストパフォーマンスの高い提案の募集などです。
多くの企業では、1社だけに依頼するよりも複数社から提案を募ることで、質の高い成果物を得られる可能性が高まると考えられています。予算内でより高い効果が期待できる提案を、比較検討できるというメリットもあります。
また、一定金額以上の制作物については、複数社からの提案を比較・検討することを義務付けている組織も少なくありません。十分な予算があることや、スケジュール的にゆとりがあるという状況も、重要な条件といえます。
■コンペの具体例
コンペの形式は、見積書のみの簡易的なものから、書類審査を経て最終的にプレゼンを行う段階的なものまでさまざまです。
中でもコンペが多いのが、広告業界です。複数の広告代理店が、クライアントの課題に対して企画を競い合うことが少なくありません。
ITシステム開発においても、複数のベンダーがシステム設計や開発手法、コスト見積もりなどを提案するコンペが実施されます。
こうした各業界のコンペでは、単なる価格競争ではなく、創造性や実現可能性、費用対効果などを総合的に評価して発注先が決定されます。
■コンペのメリットとデメリット
コンペの主なメリットは、複数の提案を比較できる点です。1社からの提案に比べ、多様な視点とアプローチが把握でき、より良い選択肢を得られる可能性が高まります。
業界によっては、企業PRの効果も期待できます。コンペの告知は、企業やブランドの認知度向上につながり、新プロジェクトや商品コンセプトを広く知ってもらう機会になるケースも少なくありません。
一方、デメリットも存在します。提出作品のクオリティーにばらつきが出て、期待した結果に至らない可能性もあります。
また、コンペの準備から審査までの全プロセスに、時間とリソースを割く必要があり、通常の発注形態よりも手間が掛かることもあるでしょう。
業界別のコンペ
コンペは、業界によって目的や形式が異なりますが、いずれも参加者が競い合いながら最適な結果を生み出すプロセスとして機能しています。ここでは、それぞれの業界におけるコンペの実態と特徴について、詳しく見ていきましょう。
■ゴルフ
ゴルフにおけるコンペは、仲間内の親睦を深める目的で行われる大会を指します。日本のゴルフ文化では特に人気があり、主に3種類に分類されます。
会社の同僚や友人同士で開催する『プライベートコンペ』は親睦が主目的で、ゴルフ場が主催し誰でも参加できる『オープンコンペ』は豪華な景品が魅力です。
また、純粋に競技性を重視する『競技コンペ』もあります。『ドラコン賞(最長飛距離)』や『ニアピン賞(ピンに最も近い)』などの特別賞も用意され、スコアだけでなくさまざまな観点から楽しめるのが、ゴルフコンペの特徴です。
ビジネスの場でも、普段とは異なる環境での交流を通じて、人間関係を深める重要な機会となっています。
■デザイン・イラスト
デザイン・イラストのコンペは、クリエイティブな分野で広く行われています。ロゴデザインやキャラクター作成、チラシ・ポスターなど多岐にわたる案件で活用されており、依頼主が複数のデザイナー・イラストレーターから提案を受け、最適な作品を選定する方式です。
近年はクラウドソーシングの普及により、インターネット上でのデザインコンペが活発化しています。小規模企業や予算の限られたプロジェクトでも、多様なアイデアを集められる点が大きな魅力です。
公共機関が主催するコンペも多く、採用された作品はキャラクターとしてさまざまな場面で活用され、クリエイターの認知度を高める機会となります。民間企業主催のコンペは、プロへの登竜門としての役割も果たしています。
■音楽・ゲーム
音楽業界では『楽曲コンペ』が一般的で、アーティストに提供する楽曲を選定するために作品を募集します。メジャーレーベルでは、アーティスト名や求める曲調などの情報を作家に提供し、楽曲を募ることが珍しくありません。
ゲーム業界では、作品やアイデアを競うコンペが行われており、『日本ゲーム大賞』やゲーム学会主催のコンペなどが有名です。入選することでプロへの登竜門となることもあり、クリエイターとしてのキャリアが大きく開ける可能性があります。