
マジョリティがどのような意味・定義なのか、対義語であるマイノリティと併せて解説します。よく知られる言葉の意味やマジョリティの身近な例、ビジネスでの活用例も紹介しています。
目次
マジョリティとは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?
マジョリティの基本的な意味と定義
まずは基本的な意味・定義と、対義語として知られる『マイノリティ』の意味についても解説します。
■マジョリティとは「多数派・大多数」を表す言葉
マジョリティとは、英語の『majority』に由来する言葉で、『多数派』や『大多数』を意味します。日常会話では、『ポピュラーな』『一般的な』という意味合いで使われるのが基本です。
つまり、マジョリティとは多くの一般的な人を指す言葉といえるでしょう。マジョリティが具体的に何%以上を指すかは、状況によって異なります。
しかし、多数派である以上半数以上を指すか、さまざまな傾向がある中で多いタイプがマジョリティです。
■対義語「マイノリティ」は少数派を指す言葉
マジョリティとマイノリティは、反対の意味を持つ対義語です。マイノリティは、英語の『minority』に由来します。
マジョリティとは『多数派』を意味し、単に人数が多いだけでなく、社会的な発言力や優位性を持つグループを指す言葉です。対して、マイノリティは『少数派』を指し、社会的に立場が弱い人や、偏見・差別を受ける人を意味するケースもあります。
ある特定の人がマジョリティであるかマイノリティであるかは、その人が属している集団・環境によって変化します。常に固定ではなく、どちらにも属さないというパターンも存在するでしょう。
サイレントマジョリティとノイジーマイノリティの関係
マジョリティとマイノリティにはさまざまな種類がありますが、『サイレントマジョリティ』と『ノイジーマイノリティ』はよく使われる言葉です。それぞれどのような意味があるのか、関連性も含めて解説します。
■声を上げない多数派と呼ばれる「サイレントマジョリティ」
サイレントマジョリティとは、『物言わぬ大衆』『声なき声』とも呼ばれる、自分の意見を積極的に口に出さない多数派のことです。
この言葉は米国大統領ニクソンの演説で使用され、政策に対して過激な反対の声があっても、意思表示をしない大多数は肯定していると述べたものです。
サイレントマジョリティは、政治の世界にだけ存在するものではありません。日常やビジネスでも、声を上げない多数派の意図を読み取ることは重要です。目に見える意見だけでなく、多くの人の考えを読み取ることで、成功のきっかけにもなります。
■社会に影響を与える「ノイジーマイノリティ」
ノイジーマイノリティとは、『声が大きい少数派』を意味する言葉で、サイレントマジョリティとは反対の概念です。
SNSやインターネット上で少数の意見がマスメディアに取り上げられ、大きな炎上につながることがあります。
総務省が行った『ソーシャルメディアによる情報発信・閲覧』の調査結果によると、『自ら情報発信や発言を積極的に行っている』と回答している人は5.5%です。SNSで発言する人の数自体が少ないため、発言者の意見が必ず多数派であるとは言い切れません。
インターネットの意見だけでなく、企業に直接届くクレームにも似たような傾向があります。ごく少数の苦情に対して対応を行った結果、多くの人の利便性が失われるようなケースもよくある例です。
出典:総務省|平成30年版 情報通信白書|ソーシャルメディアの利用状況
社会におけるさまざまなマジョリティとマイノリティ
社会には、さまざまなマジョリティとマイノリティが存在します。一般的に使われている主な分類と、言葉の意味を確認しましょう。
■社会的マジョリティとマイノリティ
社会的マジョリティとは、特定の社会において強い立場を持つ人々を指します。
例えば、日本社会では『日本人であること』自体がマジョリティです。日本人よりも数が少ない外国人は、マイノリティと分類できます。
あくまでも日本国内でのマジョリティ・マイノリティの分類であり、日本人がほかの国へ行けば立場は逆転するでしょう。
社会的マジョリティは、あまり意識することなくさまざまな特権を持っているため、少数派の立場が理解できないケースがあります。状況によっては、差別や偏見につながるリスクもあるでしょう。
■セクシャルマジョリティとマイノリティ
セクシャルマジョリティとは、性的指向や性自認において社会の多数派に属する人々を指します。一般的に異性愛者で、自分の生物学的な性と性自認が一致している人がセクシャルマジョリティです。
反対に、それ以外の性的指向や性自認を持つ人は、セクシャルマイノリティと呼ばれます。『LGBTQ』と呼ばれることもあり、人によって指向や自認はさまざまです。
現状、日本の法律で結婚ができるのは異性間となっていますが、各自治体でパートナーシップ制度が広がるなど、徐々に理解が進んでいます。
身近にあるマジョリティの具体例
マジョリティの概念は、難しいものではありません。身近にも、さまざまなマジョリティとマイノリティが存在します。どのような例があるか、具体的に見ていきましょう。
■利き手の違い
人間の利き手は、約90%が右であるといわれています。残りの約10%が、左利きです。
利き手の違いでマジョリティ・マイノリティを分類するとすれば、右利きがマジョリティということになります。国によって多少の違いはあるものの、利き手の割合には大きな違いはないようです。
多くの人が右利きである以上、右利きの人が使いやすいように製品が作られています。利き手の違いというささいなことですが、マジョリティである右利きの人に有利なことが多く、マイノリティである左利きの人が不便を感じることも多いでしょう。
出典:右利きの人と左利きの人の割合を知りたい。世界および日本における割合もわかるとよい。 | レファレンス協同データベース
■使用言語の違い
通常、主な使用言語は国によって異なります。日本の場合、日本語を話す人はマジョリティに分類されるでしょう。ほかの言葉を話す人は、マイノリティになります。
世界的に見ると、人口の多い国に住む人や、多くの国に対して強い影響力を持つ国に住む人が使う言語が、マジョリティであるといえそうです。
日本で日本語を使う場合、生活をしていて不便はありません。ほとんどの人が日本語を理解し、説明書きや看板も日本語です。
しかし、マイノリティである少数の言語を使用する人にとっては、日本語が分からず不便を感じることがあるでしょう。
■信仰する宗教の違い
信仰する宗教の違いでも、マジョリティとマイノリティに分類できます。日本の場合は無宗教が多いですが、仏教・神道のように古くから根付いている宗教はマジョリティに分類できそうです。
信仰する人が少ない宗教を信じている場合、国によっては弾圧・差別といった問題に直面することがあります。対して、特定の環境でマジョリティに属する宗教を信仰している場合には、同一の宗教を信仰している人が多いため問題は起こりにくいでしょう。
どの宗教がマジョリティ・マイノリティであるかは、国や民族によって変わってきます。