
ある日突然、会社から発令される転勤や単身赴任の辞令。家族がいる人も多い35歳以上のミドル世代の中には、この辞令をきっかけに退職を考える人も多いのではないだろうか?
エン・ジャパンはこのほど、同社が運営するミドル世代のための転職サイト『ミドルの転職』上で、サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象に「転勤(単身赴任)」についてアンケートを行ない、2,018名から回答を得た。
約半数が転勤をしたことが「ある」と回答し、うち単身赴任の割合は67%
「これまでに“転勤”をしたことはあるか?」と聞くと、約半数の49%が「ある」と回答。業種別では「メーカー」「金融」(同率60%)が最多となった。
続けて、転勤をしたことがある人に、「転勤の際は単身赴任をしたか?家族揃って転居したか?」と聞くと、約3人に2人(67%)が「単身赴任をした」と回答した。
また、転勤をしたことがある人に、「転職をきっかけに退職を考えたことはあるか?」と質問すると、42%が「ある」(ある:34%、実際に退職した:8%)と回答した。退職を考えた際の具体的なエピソードも紹介する。
【図1】これまでに「転勤」をしたことはありますか?(年代別)
【図2】これまでに「転勤」をしたことはありますか?(年収帯別)
【図3】これまでに「転勤」をしたことはありますか?(業種別)
【図4】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤の際は、単身赴任をしましたか?ご家族揃って転居しましたか?
【図5】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤をきっかけに、退職を考えたことはありますか?
Q. 転勤をきっかけに転職を考えた際の具体的なエピソードを教えてください。
▼「実際に退職した」と回答した方のエピソード
・転勤の辞令が出たが、新たな土地に新居を構えたり、人間関係が変わってしまうのであれば、転職をして家族への負担を最小限にしたほうが良いと思い、転職した。(30代男性)
・単身で関東から関西に転勤し、3年ほど勤めたが関東に戻る話が出てこず、退職した。(40代男性)
・東京から単身で沖縄へ転勤後、家族の入院などもあり東京へ戻る希望を出したが受理されず、退職した。(50代女性)
▼退職を考えたことが「ある」と回答した方
・家と職場の往復だけの日々でリフレッシュできなかった。(30代男性)
・東京都内に新居を購入した後、福岡への転勤辞令が出た。当時子供もまだ3歳と小さかったため、辞めようと考えたが、上司に転勤の期間を2年限定で交渉し、単身赴任。結果2年半で東京に戻れたので良かった。(40代男性)
・両親の介護が必要だったため、実家から離れることができなかった。(50代女性)
▼退職を考えたことが「ない」と回答した方
・県内での転勤で引越しなどは行なったが、車で2時間以内の距離のため、週末は自宅に帰っていた。(30代女性)
・転勤は自己成長のための前向きな機会と捉えているため、退職は検討しなかった。また、会社からのサポートにより、新しい環境への移行がスムーズに進み、業務にも私生活にも影響が少なかった。(40代女性)
・転勤はキャリステップの一つとして家族も納得し、協力してくれた。(50代男性)
転勤先のエリア、海外は中国、国内は東京都が最多
転勤をしたことがある人に、転勤していた(している)期間を聞くと、57%が1年~5年程度(1年~3年程度:34%、3年~5年程度:23%)となった。続けて、転勤回数についても聞くと、3回以下は30代が最も多く、4回以上は年代が上がるごとに割合が高まる結果となった。
また、転勤をしていた(している)場所についても聞くと、海外は中国(15%)、国内は東京都(19%)が最多となった。転勤先のエリアトップ5と転勤して良かった場所のエピソードも紹介する。
【図6】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤していた(している)期間を教えてください。(複数回答可)
【図7】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。これまでの転勤回数を教えてください。
【図8】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤していた(している)場所を教えてください。(複数回答可)
Q. 転勤して良かった場所はどこですか?
▼転勤して良かった「海外」のエピソード
・オーストリアは子どもの教育環境も良く、治安が良かった。(30代女性)
・スペインは気候、食べ物、人の温かさなどいずれも快適で住みやすい国。仕事や人生観が変わった。子供にこんな大人になって欲しいと思える人が多く、子育ての環境としてもいいと思った。(40代男性)
・上海は日本人も多く、食材含め日本人が暮らすための必需品が揃いやすい環境にあった。また他の企業からの日本人転勤者も多かったため人脈も広がった。(50代男性)
▼転勤して良かった「国内」のエピソード
・熊本県は人が温かく、食べ物も美味しくて自分にとても合っている風土だった。(30代男性)
・群馬県は自然が近く、小さい子供と遊ぶ場所がたくさんあり、子育てしやすい環境だった。(40代男性)
・滋賀県は観光地が多く、大阪や京都の都心部へのアクセスも良くて住みやすかった。(50代女性)
転勤を経験して良かったことは「知らない土地・環境を知る機会になった」、良くなかったことは「単身赴任で家族と離れ離れになった」がそれぞれ最多
転勤をしたことがある人に、転勤を経験して良かったことを聞くと、最多は「知らない土地・環境を知る機会になった」(69%)となった。続けて、良くなかったことについても聞くと、「単身赴任で家族と離れ離れになった」(35%)が最多となった。
年代別に見ると「退職のきっかけになった(退職した)」は世代間での乖離が最も大きく、若い年代ほど転勤への抵抗が大きいことがうかがえる(30代:31%、40代:20%、50代以上:16%)。転勤を経験して良かったこと、良くなかったことの具体的なエピソードも紹介する。
【図9】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤を経験して良かったことを教えてください。(複数回答可)
Q. 転勤を経験して良かったエピソードを教えてください。
▼「知らない土地・環境を知る機会になった」と回答した方のエピソード
・知らない場所に住む中で色々なことを調べるため、仕事もプライベートも自分の知識の引き出しが増えたと感じる。(30代男性)
・新しい地域への転勤は、その土地の文化や生活様式を知る機会となり、刺激を受けました。転勤の経験で、文化的な視野が広がり、新しい環境への適応力も向上したと思う。(40代女性)
・責任者として赴任したため、経営者として必要なことを、全て学べた。特に土地柄に由来する文化の違いを受け入れた上で会社のことを考える時間はその後のキャリアに役立った。(50代男性)
▼「仕事の人的ネットワークが広がった」と回答した方のエピソード
・転勤で責任者として着任し、新たにできた部下の成長に貢献したいという気持ちが芽生えた。(30代男性)
・違う土地の方は全く違う感覚を持っており、とても刺激になった。札幌の友人が増えたことが一番の財産だと思っている。(40代男性)
・本社へ異動した事で業務範囲が広がり、違う考え方を持つ方との交流も増え、心が豊かになった。(50代女性)
【図10】転勤をしたことが「ある」と回答した方にお聞きします。転勤を経験して良くなかったことを教えてください。(複数回答可)
Q. 転勤を経験して良くなかったエピソードを教えてください。
▼「単身赴任で家族と離れ離れになった」と回答した方のエピソード
・家族と過ごす時間が大幅に減少し、家庭関係が悪化した。出張所は会社で初の試みだったため、相談相手がおらず孤独を感じた。プライベートを大変犠牲にした。(30代男性)
・家族と離れて暮らしたのは半年程度が2回あるが、家族の大切さが身に染みた。日本に帰国するのは基本的に年に一度のため、両親に何かあった時にすぐに動けず、介護が必要になった際は、兄弟や施設に頼らざるを得ないため迷惑をかけた。(40代男性)
・姪や甥の成長を間近で見れなかった。また、妹に親の介護に頼むことになってしまった。(50代女性)