
帝国データバンクの調べ※1によると、2024年の企業の管理職における女性割合の平均が、2013年の調査開始以降初めて1割(10.9%)を超えた。
即戦力としてのスキルや経験を持つ女性会員の多くが、転職を通じて主体的にキャリア形成を図っていることや、企業における女性の活躍が徐々に進んでいることが推測される。
そこでビズリーチが運営する、働く人の活躍を支えるテクノロジー“WorkTech”に関する研究機関「ビズリーチ WorkTech研究所」は、国連が制定する3月8日の「国際女性デー」にちなみ、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」における女性の転職動向に関する調査(2024年)を行った。
転職活動を行う女性会員が過去最多。半数以上が転職で1割以上の年収アップを実現
ビズリーチ上で、スカウト返信や求人応募、面接などの転職活動を行っている女性会員を対象に調べたところ、2024年はその会員数が過去最多となった。
その増加率は全体傾向を上回り、自律的なキャリア形成の意識が高まるなか、転職を通じて自身のキャリアを主体的に築きたいと考える女性が増加していることが推測される。
また2024年における女性会員の転職のうち、52.9%と半数以上が、転職で年収が1割以上増加していたことが分かった。
管理職経験のある女性会員数は4.4倍に伸長!30代前半の増加が顕著
管理職経験※2のある女性会員数は、5年前(2019年)に比べて、2024年は4.4倍となり、管理職経験のある会員全体の伸び率より大きいことが判明。
同じく5年前に比べて、管理職経験のある女性会員の転職数は3.3倍の伸長が見られた。
2024年の管理職経験のある女性会員の転職における年代別構成比は、30代前半(30歳~34歳)が最も多く19.7%、次いで40代前半(40歳~44歳)が19.4%、30代後半(35歳~39歳)が18.9%、40代後半(45歳~49歳)が17.0%という結果に。
各年代とも転職数は増加傾向にあるものの、特に30代前半の管理職経験のある女性会員の転職数は5年前と比べ10.3倍と大幅に増加しており、30代から管理職として活躍する女性が増加傾向にあることがうかがえる。
■ビズリーチ ビズリーチ WorkTech研究所 所長 友部 博教氏のコメント
2024年は女性の就業者(15歳~64歳)のうち、正社員比率が非正規社員を21年ぶりに上回りました※3。21年前は女性の就業者自体が少なかったことを考えると、女性の社会活躍において大きな転換期を迎えているといえるでしょう。
そこで今回は、3月8日の国際女性デーにちなんで、女性会員にフォーカスをあてた転職動向を調査しました。
結果内容から、近年、転職活動を行う女性が大幅に増加し、転職によって年収アップを実現しているケースが多いことが分かりました。
特に管理職経験のある女性においては、2024年の転職数が5年前に比べて3.3倍に増加しており、コロナ禍を経てリモートワークの普及などにより、働き方の柔軟性が高まるなかで、女性が管理職に挑戦しやすい環境が広がっていることが分かります。
また特に30代前半の若い世代に顕著な増加が見られ、新興企業を中心に、管理職のあり方が「出世」から切り離され、「役割・責任」と再定義されるなかで、性別にかかわらず若手の活躍の場が広がっていることが一因と考えられます。
本調査を通じて、女性が主体的にキャリア形成を行える環境が、徐々にですが着実にでき始めていることがうかがえます。
しかし日本の女性管理職比率は欧米など海外に比べると低く※4、柔軟なキャリア形成を可能にし、女性が持続的に活躍できる環境づくりが求められます。
従来、役割の割り当てや評価の場面では、同質的な関係性が有利に働く傾向があります。
女性を含めた多様な人材が持続的に活躍できる環境づくりを実現していくためには、人事評価の枠組みの再検討や、多様な価値が正当に評価される体制の整備に向けた「管理職層における多様性の向上」がカギとなります。
急速に変化する市場環境に対応するためにも、組織の多様性の確保は重要な課題です。管理職層における多様性の向上は、各組織における多様な視点やリーダーシップの導入を促進し、結果として、女性の活躍機会の拡大に寄与するものと考えられます。
※1 帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2024 年)」
※2 本調査では、11名以上のマネジメント経験のある会員を「管理職経験のある会員」と定義している。
※3 総務省統計局「労働力調査」のデータより算出
※4 労働政策研究・研修機構(JILPT)「データブック国際労働比較2024」
関連情報
https://note.com/bizreachworktech
構成/Ara