“美味しいから手に取る”。健康を日常に届けるためのマーケティング設計
阿戸さんは、商品名にも“手軽に取り入れてほしい想い”を込めたと話す。
「『グリーン』というネーミングから、自然で体に優しいイメージを感じてもらえることが調査で分かりました。これまでの機能重視のアプローチから一歩進み、『毎日の水分補給で手軽に体調管理をサポートできる価値』を、より親しみやすく表現したいと考えた結果、ほどよくラフな印象のこの商品名を採用しました」
デザイン面では、美味しさと健康感の二つの価値を両立させるところが難しく苦労も多かったという。
「通常は1回で済む調査を3回も実施したり、100パターン以上のデザインを作成したりしました。まずは美味しさで手に取ってもらおうと考え、これまで上段に大きく配置していた『免疫ケア』の文字を、今回はあえて下段に小さめに配置。果実の印象から美味しさを感じてもらい、次に機能性がわかる構造の方が“飲みたいもの”に見えるのではないかと考えたんです」
「免疫ケアと1日分のビタミンを、毎日の美味しい水分補給で補える」。このコンセプトの体現にこだわって宣伝したと話す阿戸さん。日常的に健康習慣を取り入れてもらえるよう、認知拡大のマーケティングにも力を入れた。
「お客様の体調管理意識が高まる11月に発売日を設定しました。この季節は、小売業様もストアテーマとして体調管理を押し出す季節です。そういったお店のテーマと連動したコミュニケーションを作り、新商品としての露出を最大化しようと考えました。また、単体のコミュニケーションだけではなく、弊社が行っている免疫ケア啓発を通じて手軽に試してもらえるよう、全体のコミュニケーションも併せて設計しました」
無理しないから取り入れられる。求められるのは、日々の暮らしに寄り添う健康ケア
発売後の反響は上々で、多くの消費者の心をつかんでいるという。
「健康感がありながら、美味しそうに見えるパッケージがとても好評です。普段は機能性表示食品の飲料を飲まない方にも手に取っていただき、幅広いお客様からご好評をいただいています。売り場でごくごく飲める甘いものを求めているときは、疲れていたりリフレッシュしたいと思っていたりするときだと思います。そんな時に、美味しさと体調ケアの両方が叶う商品として選んでいただいています」
ヒットの要因について、阿戸さんは次のように分析する。
「免疫ケアに加えて、わかりやすい栄養素である『1日分のビタミン』を配合したことで、手軽な冬の健康対策として選びやすいコンセプトになっている点があります。グレープフルーツミックス味のすっきりとした甘さで、毎日の水分補給やリフレッシュにぴったりな味わいに仕上がっているのもヒットした理由の一つだと思います。美味しさと健康感がバランス良く感じられるパッケージも、評価されたように感じています」
飲料で体調管理や免疫ケアをしたいニーズが高まっていると話す阿戸さん。最後に、今後の展望について話してくれた。
「健康意識は、今やほとんどの方が持っている意識ですが、『そのために特別なことはできない』という方も多くいらっしゃいます。そのような方にも手軽に美味しく取り入れられる健康が、今後は求められるのではないでしょうか。『キリン iMUSE グリーン』は、年間を通じて美味しく飲んでもらえる味わいになっています。冬場だけでなく、ぜひ春夏にもお試しいただきたいです」
文・撮影/久我裕紀