
過酷な環境に晒されているビジネスパーソンの悩みは深い。だが、日々の課題の中にこそ人生を豊かにするためのヒントが詰まっている。異色の経歴を持つVTuberが、今回は転職する際にどんな心構えでいればよいのか教えます!
転職への処方箋
現在私は同業他社への転職を目指して働きながら転職活動を続けているのですが、先日上司に退職したい旨を伝えたところ「ここでやれないならどこ行っても無駄だ」と言われてしまい、その言葉が胸に突き刺さって頭から離れません。
【結論】会社が負け惜しみを言ってるだけ。
さっさと転職しましょう
質問者の経験次第では回答が変わるのですが……
まずはじめに。アナタ自身が自分の意思で決めたことは、その時のベストアンサーなので迷うことなく羽ばたけばいいと思います。やる後悔は「動いた経験」を積むことができるので学びはありますが、やらない後悔は何も生みませんので。
ただ、今回のお悩み回答においては、アナタの業界歴というか社会人としての経験の履歴がわからないので、上司がどういう意図で言ったのか判別できません。そのためもしかすると的外れなことを言ってしまうかもしれません。
例えば、新卒3か月で同業他社への転職を決意している場合と、7年目で上司に転職を報告するパターンでは、アナタの上司の言う「ここでやれないならどこに行っても無駄だ」の意味もかわって来そうな気がします(ちなみに今回はブラック企業という前提は考慮していません)。前者の場合、上司は当たりの強い言葉を使ってはいるものの、まだ仕事の基本も固まっていないような状況で早々に職場に見切りをつけてしまうアナタに対して若干の親心というか心配の念が込められていそうです。後者の場合、上司の「ここでやれないならどこへ行っても無駄」という結論は「なんでそんなことアナタがわかるのですか?」でしかなく、どこか負け惜しみのようにも聞こえてきますし、特に気にすることではないと思います。
部下が自分の元を去るというのは、どの上司にとっても悲しいことです。人によっては裏切られたと思って強く当たってしまう人もいるでしょう。そんな器量の狭い方の元では働けないよなと前向きな叱咤だと受け止めて堂々と転職してください。
言葉は薬にも呪いにもなる
さて、さっきのところである程度の結論は出てしまったので、ここからはアナタが今悩んでいる「上司の言葉が刺さっている」状態の処方箋を出そうと思います。
おそらく今アナタが上司の言葉に気を揉んでいるのでは上司の言葉のせいではなく、アナタ自身がこの先やっていけるか大きな不安を抱えている状態のときに言われてしまったからではないのでしょうか? 胸に刺さった言葉のナイフというよりも、アナタの不安を大きくする呪いの言葉になってしまったのでしょうね。
少し脱線しますが、言葉には強力な影響力があります。これは今アナタが強く実感しているところでしょう。良い言葉は人を励ましたり勇気づけたりする一方で、悪意ある言葉は人を傷つけ、精神的に追い詰めることも……。特に、ネガティブな言葉は先ほど申し上げた通り「呪い」のような効果を生むことがあります。また、心理学的にも、自己否定的な言葉や他人からのネガティブなフィードバックは、自己評価やメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、この場合も言葉は言わば「呪い」のような役割を果たすことになります。したがって、言葉が「呪い」となるのは、言葉自体が持つ力や、それが引き起こす心理的な影響によって生まれるのです。
この視点から、言葉を扱う際には慎重さが求められることがわかるかと思います。
言葉は美しいものを創造する力も、破壊する力も持っているのです。
そのため、もしもアナタが今、上司の言葉に引っかかっているならば、アナタが上司の立場になった時に今の気持ちを忘れずに慎重な発言を心がけると良いでしょう。
上司のことはもう無視。関わることない人と割り切る
転職するということは少なくとも、今の職場に不満があるのでしょう。
転職がもう決まっているのであれば、上司も同僚もアナタの人生においてもう関わらない人です。なんと薄情な……と思う人もいるかもしれませんが、転職すると相手からも自分からもお互いに関わらない状態になるだけです。気にする必要はありません。
ただ、アナタが会社で得た学びが無駄になることは少ないと思います。自分を成長させてくれた会社に感謝しつつ、次の職場で活躍する自分を思い描いて、残りの期間を有意義に使ってほしいと思います。転職はもう珍しくはありません。
いつか上司の吐いた呪いの言葉に「呪いのおかげで強くなれた」と思えるように、今から全力で次のステップに向かって走り出してください。応援しています。
〝呪い〟のような言葉を部下に向かって吐き捨てる上司。そんな人の元は離れてしまって正解だし、自分が誰かの上司になったときの反面教師としたい。
犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』。
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり
※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME4月号に掲載されたものです。