裁判所のジャッジ
地裁ではXさんは負けてしまいます。
しかしあきらめずに控訴。そして、逆転勝訴!
高裁
「慰謝料200万円を払え!」
「妊娠、出産、育児休業などを理由とする【不利益な取扱い】だからだ」
以下の条文です。
[参考]
■ 雇用機会均等法9条3項
事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
■ 育児介護休業法10条
第十条 事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。以下同じ。)をし、若しくは育児休業をしたこと又は第九条の五第二項の規定による申出若しくは同条第四項の同意をしなかったことその他の同条第二項から第五項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
▼ 会社が部下をゼロにした背景
復帰後に部下をゼロにした事件では、こんなやりとりがありました。
副社長A
「チームリーダーは乳児を抱えて定時で帰宅できる職務ではない」
副社長Bは、復帰直前のXさんに対して
「あなたの現状を考慮すると、自分のペースでハンドルできる仕事の方がよい」
Xさん
「チームリーダーに復帰できないことに不満があります……」
副社長B
「妊娠後復帰するまで1年半以上休んでいてブランクが長く、復帰してからも休職が多いからチームリーダーとしては適切ではない」
部下をゼロにした点について裁判所は……
裁判所
「復帰後の仕事は、妊娠前のチームリーダーと比較すると、業務の内容面において著しく低下していた。給与面でも業績連動給が大きく減少。何よりも妊娠前まで実績を積み重ねてきたXさんのキャリア形成に配慮せず、キャリアを損なうものであったと言わざるを得ねぇ!」
裁判所
「以上の措置は雇用機会均等法9条3項および育児介護休業法10条の【不利益な取扱い】にあたる。また人事権の濫用なので公序良俗にも反する(民法90条)」
と判断しました。
▼ 人事評価を最低にするのも不当な取扱い
裁判所
「これも【不利益な取扱い】にあたる。Xさんの復帰後の仕事への取組みが芳しくないとか、リーダーシップに難点が合ったとは認められない。最低評価とされた理由は、Xさんに1人の部下もつけずに新規販路の開拓業務を行わせ、電話業務に従事させた結果と言わざるを得ない」
以上の判断をして、会社に対して慰謝料200万円の支払いを命じました。
さいごに
妊娠、出産、育児休業などを理由に嫌がらせされそうなときは労働局雇用均等室に助けを求めてみましょう。
今回は以上です。これからも労働関係の知恵をお届けします。またお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
https://twitter.com/hayashitakamas1