
相談をためらう理由として、「意味がない」「わかってもらえない」「迷惑をかけたくない」などが挙げられます。しかし、相談は解決だけが目的ではなく、気持ちの整理や新たな気づきを得る手段でもあります。相談は相手の「頼られたい」という気持ちを満たし、信頼関係を築くきっかけにもなります。
悩みを抱えているとき、皆さんはその悩みにどうやって向き合いますか?
悩みとの向き合い方について、誰かに相談するという選択肢が浮かばない人がいます。その理由は、「話したところで解決しない」「相談することで迷惑をかけるかもしれない」などなど。確かに、悩みは相談したとしても解決しなかったり、うまく悩みを相談できないこともあるでしょう。
しかし、相談することでその悩みについての考え方や受け取り方を変えることはできます。それが、悩みの軽減につながるのです。
今回は、相談できない人が持つ思考、そして、相談できるようになる考え方のコツをお伝えします。
なぜ相談しないのか
人は多かれ少なかれ、みんな悩みを抱えています。その悩みには、もちろん1人で解決できるものもありますが、1人では解決できないものも多くあります。そんなときには、他人の力を借りるしかありません。
しかし、さまざまな思考から他人に相談しない人がいます。その人たちにはどのような思考があるのでしょうか。ここでは相談しない人の思考に触れていきます。
1.「相談しても意味がない」
相談するだけ無駄だという考え方を持っている人は、相談できません。
たしかに、相談したところで、相談相手が関係していることでない限り、直接的に悩みがなくなることは難しいでしょう。相談したところでどうしようもない現実もあります。
しかし、相談は問題解決だけが目的ではありません。他人に話すことで気持ちを楽にしたり、自分だけでは得られなかった気づきを得られることも、相談することの目的の1つなのです。
2.「どうせわかってもらえない」
自分の悩みが周囲から理解を得にくいと感じている人は、「どうせわかってもらえない」という思考に陥りがちです。
悩みを抱えている人がその内容を周囲に伝えることは、とてもパワーがいることです。悩みを抱えている状態ではそのパワーが持てないのも仕方ないのかもしれません。
3.「迷惑をかけたくない」
相談することで人に迷惑をかけることになる、という思考を持つ人も、相談できません。
この思考は、誰かに迷惑をかけることは悪いことだというイメージを持つ日本人に多い思考だと言われています。例えば、いじめに遭っていても親に相談しないという思考は、親に迷惑をかけたくない気持ちがあるからです。
相談することで迷惑をかけたとしても、それは決して悪いことではありません。
4.「弱みを見せたくない」
人に相談することは、相手に弱みを見せることでもあります。なので、人は相談するときには信頼に足る相手を選び、相談します。
この思考を持つ人は、周囲に本当に信頼できる人がいないことが原因となっている可能性があります。
5.「自分で調べればいいだけ」
これは今の時代が関係している思考になります。現代は、ネットで検索すると色んな情報が簡単に手に入ります。そこには、同じような悩みを抱える人の書き込みもあるでしょう。
しかし、同じ悩みだったとしても、悩みに対する考え方がまったく同じことはまずありません。なので参考にはなったとしても、完全に解決することは難しいのです。
6.「相談して嫌な思いをした」
これは、過去に人に話したものの、相手から否定されたり、注意を受けるなど、相手の反応で辛い思いをした人が陥る思考です。
2.で触れたように、自分の悩みを他人に伝えることにはパワーがいります。せっかく頑張って伝えたものが否定されたのであれば、もう相談しないという思考になるのは自然なことと言えます。
相談できるようになる考え方のポイント
相談できないという思考にはさまざまなものがあり、思考というのは簡単に変えられるものではありません。しかし、下記のことを受け入れていくことで少しずつですが変えていくことはできます。相談できるようになる考え方のポイントをご紹介します。
1.相談は解決だけ目指すものではないことを知る
まずは、相談は解決だけを目指すものではないことを理解しましょう。
相談できない人の思考の箇所で触れたように、他人に相談することで気持ちが楽にしたり、自分だけでは得られなかった気づきを得られることがあります。悩みに第三者の目線を入れることは、解決に向かっていくアクションではあるのです。
2.人には「頼られたい」という気持ちがあることを知る
人は「頼られると嬉しく感じる」生き物です。なぜなら、誰かの役に立つことは、自身の承認欲求を満たすことができるからです。なので、迷惑をかけたくないという、相談することイコール迷惑、悪いことだと認識している人は、それは相談者の独りよがりな考え方だということを知ってください。
相談を受けてもらったときには、「迷惑をかけてごめんね」ではなく、「聞いてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えましょう。そのときにきっと相手は笑顔を返してくれるはずです。
3.相談できる人を見つける
上記の2つのことを知ることができれば、周囲に相談できる人がいないという人も、相談できる相手を見つけられるはずです。なぜなら、相談することは解決だけが目的ではないことと、相談は迷惑なことではないことがわかれば、相談する対象の相手はグッと広がっていくからです。
周囲を改めて確認してみてください。あなたのことを心配していたり、気にかけてくれる人は必ずいます。その中から、あなたが相談できる人を見つけてください。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理・福祉の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。