『切腹最中』を生んだ3代目、そして4代目が思う「謝罪の極意」とは?
今や全国区となった『切腹最中』。そのインパクトは各界でも話題となり、女優の田中みな実さんもその美味しさとコンセプトに惚れ込み、ドラマ現場の差し入れとして大量に購入することがあるとか。
それだけ愛されているのは、名前のインパクトを超える確かな味と独自の製法にある。
4代目仁司さん「こだわりはなんと言っても真空直火炊製法!!沸騰した湯に生の小豆を入れる事で小豆の旨味と香りを最大限に引き出します。一般的には「渋切り」と言って、煮汁を何度か変えて灰汁を取り除く方法がありますが、新正堂では一度も変えずに炊き上げます。多少の灰汁も含めて美味しいあんこが出来上がるんです」
「また、最中皮は上顎にくっつかないように、のし餅の段階で水分を極力少なくして、あんこに負けないように香ばしく焼き上げています」
大事な謝罪というシチュエーション、そんな席に持参する品だからこそ美味しくなければならない。その思いがあんこや皮全てにこれ以上ないこだわりとなって注ぎ込まれている。
これまで、謝罪へと向かう幾多のビジネスパーソンの背中を後押ししてきた新正堂の3代目仁久さん、4代目仁司さんが思う「謝罪の極意」とは?
仁久さん「誠意を持って謝罪するのが第一ですが、その際のお土産はちゃんとした商品を用意したいですね。先様に「わざわざ用意してくれたんだな」と思ってもらえたり、食べたら美味しいと感じてもらえたり、心を尽くしていることがちゃんと伝わる事が大切だと思います」
仁司さん「迅速に誠意をもって謝まる。これにつきます」
現在、創業110年を超える新正堂。老舗を支えてきたのは、「とにかくやってみろ」という先代からの言葉。「頭で考えてばかりいないでやってみろ。失敗したらまたやればいい。やってないくせにごちゃごちゃ言うな」。
その精神は、切腹最中を通して、店を訪れるビジネスパーソンたちの心にも伝わっていることだろう。
新正堂がこれからも人気の和菓子屋として君臨していくために必要なこと、やらなければならないこととは?
4代目仁司さん「今が最高ではなく、常に美味しさの追求、時代に合わせて材料や製法などを変化する勇気を持つこと。流行を真似するのではなく、お客様が求めることを形にしていくことが大切だと思っています」
「今後は、『切腹最中』の味違いや、帯の変更などニーズに合う商品作りを心がけていきたいですね。あんこ、求肥、皮、それぞれの美味しさを追求し、最中といえば『切腹最中!!』と言われるぐらいの唯一無二な存在にしていければと思っています」
ちなみに、3月14日は『切腹最中の日』だ。
忠臣蔵でお馴染みの浅野内匠頭が切腹された日にちなんで新正堂が申請し、日本記念日協会に登録認定された正真正銘の記念日。
この日は、バレンタインのお返しに『切腹最中』を手渡してもいいかもしれない。その後どうなるかはあなた次第だが
取材協力
御菓子司 新正堂
文/太田ポーシャ