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「リベンジ退職」とは?会社に認められないから辞めるという仕事観は浸透するか

2025.03.09

「リベンジ退職」とは仕事ぶりを認めてもらえない、燃え尽き、あるいは職場文化になじめない、といった体験が引き金になって退職することである。言い換えれば「勢いで辞める」ともいえるだろう。日本においても「同じような経験がある」「長期的な視点に立つべき」「経営層からすると困る」などと議論を呼んでいる。

「会社に認められないならやめてやる」という価値観は日本人にもあるのか

リベンジ退職の背景には蓄積された不安、不満があると考えられる。日本の場合では営業成績など目に見えるものではなく、目に見えない貢献度を重視してほしいという思いを持つ人も多い。また、営業の方法などに不満を持つこともあるだろう。「自分のやり方でやりたい」といった不満が「リベンジ退職」につながることは考えられるだろう。

厚生労働省の『令和5年雇用動向調査結果の概況』では退職理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」と答えている離職者が男性女性とも2位となっている。人間関係といってもさまざまだが、根底には働きぶりを認めてもらえないといった気持ちを抱えていることも容易に想像できる。

ちなみに3位、4位には「給料等収入が少なかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が入る。「リベンジ退職」にあたって、こういった条件面や人事制度、社風・風土が背景になり得るのは言うまでもないだろう。

部下の「リベンジ退職」を防ぐ方法

このようなリベンジ退職を防ぐにはどのようにすればいいだろうか。まずは上司や上層部の問題と本人の問題を切り分けることが重要である。

■1on1ミーティングの重要性

上司や上層部ができうることとしては、まずは本人が本音をいえる状況を作っていくことである。本音を言っているはずとの思い込み、決めつけはもちろん危険である。不安や不満は本人のなかで蓄積される。日頃からのコミュニケーションで素を出せない状況である可能性もある。1on1ミーティングや場合によっては人事担当者をまじえたグループミーティングなど本人の思いをまずは吐き出させることが重要である。

また、プライベートにおいて問題を抱えているケースも少なくない。仕事での不安や不満がプライベートに悪影響を及ぼすこともあるし、逆のこともある。「なんでも話せる人はいるか」といった投げかけで、フォローしていくことも重要だろう。

「同期では?」「同じ役職では?」「プライベートでは?」といった形で本人が答えやすいように質問していくことも一つの方法だ。キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーがその役割を担うこともあるが、上司や上層部がそのマインドを持つことは非常に意味のあることである。可能であれば家庭環境や、学生時代の話も含めて話をきいてもいいだろう。

■部下のこんな異変に気づけるか?

リベンジ退職の引き金になり得る小さなサインを見逃さないことも重要だ。具体的には仕事が遅い、to doリストにチェックがなかなか入らない、気分に浮き沈みがあるなど。なぜそのような状況にあるのか、思い込みは捨てて、あらゆる可能性を考慮していくことが重要だ。職場内での情報共有も重要だが、実際は本音を聞かなければわからないということは重々承知しておこう。

結果重視かプロセス重視かといった視点も外せない。承認欲求が強くプロセスが軽視されているケースは少なくない。どのような方法がいいのか、どのような方法を求めているのか、自分を振り返ることができているのか。結果とプロセスという観点から本人の本音を引き出すことが働きぶりや活躍の場に変化をもたらすことは十分に考えられる。業務日報などのツールを活用してプロセスを可視化していくことも1つの方法だ。

今、「リベンジ退職」を考えているあなたへ

次に本人の観点から考えていこう。まずは自分の不安、不満の種を整理していくことが重要だ。

たとえば「仕事ぶりを認めてもらえていない」と感じているのであれば、自分にとって「認めてもらうこと」はどれほど重要なことかを整理していくのである。あまりにも承認欲求が強い状況であれば、視点をかえていく必要があるだろう。自分は何を大事に仕事をしていきたいのか(仕事上の価値観)を整理したほうが働きやすくなると考えられる。

就職活動時の自己分析、自己理解を思い出してみるのもいいだろう。整理が難しい場合はキャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーなどの専門職の力を借りるのも有効だ。

長期的に考えることも重要である。ジョブ型雇用が広がりを見せているとはいえ、日本の企業ではまだまだメンバーシップ型雇用が中心である。いきなりの退職ではなく、異動を見据えて自分の活躍の場を落ち着いて探すという心がけがあってもよい。その際にはジェネラリストとスペシャリストという2つの観点から整理していくのもいいだろう。それぞれにロールモデルを探し、その背中を追っていくことで未来が開けていくこともあるかもしれない。

上司、上層部、本人いずれにおいても重要なのは思いを吐露すること、吐露させることである。そのためには安全安心の場を設けていくことも必要だ。安全安心の場は人によって大きく異なる。リベンジ退職を本気で防ぎたいのであれば、視点を広げたうえでの問いかけや対策が重要になるだろう。

参考:令和5年雇用動向調査結果の概況

文/沖 圭祐
総合大学心理学科卒業後、大学受験予備校で進路相談の職員を経験。大学職員として勤務した後、キャリアコンサルタントとして独立。現在は就職活動、転職活動、働き方などの分野を中心にコラム執筆中。

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