裁判所のジャッジ
■ 地裁
地裁でも残念ながら不支給となりました。理由は「自殺の原因は仕事ではない」というものです。正しくは「精神障害の発病に業務起因性を認めることはできない」と判断されました。
■ 高裁
しかし!高裁では母が勝訴。支給が認められました。高裁は「精神障害の発病と自殺の原因は仕事だ」としました。正しくは「業務起因性が認められる」と判断しました。
ほぼ同じ事実を前提としているのですが、地裁と高裁の判断が異なりました。Xさんの受けた心理的負荷が「強」だったのかどうか、という価値判断で結論が変わりました。
■ 労災認定の判断手法
労災と認定されるためには、心理的負荷が「強」であることが大前提となります。具体的には以下の3つの判断基準を用います。
・業務による心理的負荷は「強」か
・業務以外の心理的負荷はどれくらいか
・個体側要因(個人に内在している脆弱性・反応性)の有無
さいごに
判決文には業務の詳細が記載されており、裁判所は、Xさんが具体的にどのような業務を割り振られ、どのようなことで悩み、友人に相談し、上司が手を差し伸べなかったことなどの事実を認定し、心理的負荷は「強」と判断して労災認定しました。
■ 相談するところ
いまツライかたは#いのちSOSに電話しましょう。また、上司からパワハラを受けていたり、処理しきれない仕事を振られている方は労働局に申し入れてみるのも方法です(相談無料・解決依頼も無料)。
限界が訪れる前に外部機関に相談してください。
取材・文/林 孝匡(弁護士)
https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
https://twitter.com/hayashitakamas1
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