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タカラトミーが第3四半期累計期間の売上高、営業利益、経常利益の過去最高を更新、ベイブレードが引き続き好調

2025.03.02

タカラトミーの業績が絶好調です。

2025年3月期第3四半期累計期間の売上高は前年同期間の1.2倍、営業利益は1.3倍、純利益は1.6倍となりました。純利益は144億円で、第3四半期累計期間においては過去最高を更新。ベイブレードなどのアクショントイが好調です。

営業利益は今期計画をすでに超過

タカラトミーは通期の売上高を前期比15.2%増の2400億円、営業利益を同22.2%増の230億円、純利益を同47.8%増の145億円と予想しています。売上高の進捗率は8割を越え、営業利益はすでに超過、純利益もほぼ達成しています。しかし、中長期経営戦略達成に向けた投資を検討しているとして、通期業績予想は据え置きました。

※決算短信より筆者作成

タカラトミーは2030年3月期に売上高3000億円、営業利益300億円を達成するという、「中長期経営戦略 2030」を進めています。今期はその初年度であり、好スタートを切ったと言えるでしょう。

業績の伸長に貢献しているのがアクショントイ。第3四半期累計期間における売上高は316億円で、前年同期間のプラス95億円でした。トミカやプラレールを中心としたプリスクールはプラス34億円、リカちゃんなどのファッショントイが33億円です。

タカラトミーは2023年7月に第4世代となるベイブレード、ベイブレードXの展開を開始しました。このシリーズは大ヒットし、2024年6月時点で国内累計出荷数が500万個を突破。

スタジアムの内側にレールを配置し、コマの軸先にあるギアがそれと噛み合うことで、歴代最速のアタックを生み出すというエクストリームダッシュ機構を開発しました。

モーターや電子制御を使わない単純な機構でありながら、思いもよらない動きをすることが子供だけでなく、大人の心も惹きつけています。

ベイブレードは遊びからスポーツへの進化を掲げており、2024年8月には女性限定のレディースカップを開催するなど、性別や年齢を飛び越えたヒット商品になりました。

海外展開でも成功の兆しが

ベイブレードがスポーツという新機軸を打ち出したのには理由があります。新たな顧客層の開拓を進めているためです。

中長期経営計画で売上高3000億円を目指していますが、そのうち2000億円は既存顧客がもたらすベースラインから得られることを想定。プラス1000億円はオーガニックの成長だけでなく、年齢や地域軸を超えた新たな顧客開拓によって得ることを計画しているのです。

ベイブレードXにおいては、海外でも成功の兆しが見えており、正に経営戦略に合致した商品であると言えます。2025年2月12日の決算発表において、取締役常務執行役員CFOの伊藤豪史郎氏は「昨夏に本格展開を開始した北米において堅調に推移しています。アニメ展開も世界的に拡大していて、視聴率も良いと聞いています。」と発言しています。

タカラトミーは2022年11月にアメリカにT-Licensing Inc.を設立していました。欧米におけるライセンス業務を展開する会社で、アニメ作品の放映・配信権の販売、メディア戦略などの立案を行っています。いわば、ブランドを浸透させるための要となる会社。ベイブレードXは海外でもメディアミックス展開を行っており、アメリカ圏で人気を獲得しはじめている様子がわかります。アメリカ版ではスパイダーマンやアイアンマンでおなじみのマーベルとのコラボレーションが実現しており、ファンを獲得するためのマーケティングにも力を入れています。

ベイブレードの起源はベーゴマ。日本の伝統的な遊びであるベーゴマが現代風にアレンジされ、世界市場を席捲しはじめているわけです。ポイントはタカラトミーがそれを進化させ続けたこと。アクション性が増して遊ぶ楽しさを洗練させたことが、成功へとつながっているのでしょう。

投資ファンドからの支援を受けた過去も

タカラトミーの歴史は、ベイブレードのヒットと深い関係があります。

2009年5月に投資ファンドの丸の内キャピタルと資本業務提携契約を締結しました。これにより、丸の内キャピタルが筆頭株主となり、後のCEOとなる小島一洋氏が社外取締役として派遣されます。この時期は業績の低迷、特に減収に悩まされていました。2008年に1900億円を超えていた売上高は、2010年に1700億円台まで下がってしまいます。

当時はゲームが隆盛を極めており、アナログの玩具は苦戦していました。タカラトミーは2008年にベイブレードの第2世代の販売を開始しています。ベイポイントなどのデジタルによる先進的なシステムを取り入れましたが、会社の業績をけん引するほどのヒットとはなりませんでした。このころは、アナログ玩具らしい強みが出ていなかった印象を受けます。

潮目が変わったのが2015年から始まった第3世代のベイブレードバースト。ここで初めて相手のコマを破壊するバーストギミックという機構を取り入れます。これが再び大ヒット。このシリーズは8年間製品展開が行われ、最長となりました。

タカラトミーはベイブレードバーストが大ヒットした2015年に丸の内キャピタルとの資本・業務提携を解消しました。丸の内キャピタルが全保有株を売却したのです。

バーストギミックやエクストリームダッシュというギミックは、アナログ玩具という枠組みの中で試行錯誤を重ねた中から出てきたものであり、デジタルで表現できるものではありません。タカラトミーならではのものだと言えるでしょう。

文/不破聡

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