煩雑をどう読むのかわからなかったり、自信を持って意味を答えられなかったりする方も多いのではないでしょうか。煩雑は「はんざつ」と読み、込み入っていてわずらわしいという意味の言葉です。今回は煩雑の意味や使い方、類似表現などを解説します。
目次
煩雑の読み方と意味

煩雑は「はんざつ」と読み、事柄が入り組んでいてわずらわしいことをあらわす言葉です。
「煩」の漢字は「火」と「頁」に分けられ、「頁」は「頭」を指すことから、頭が熱くて痛いことをかき乱すという意味であり、「煩」はわずらわしいという意味を持ちます。
また「雑」にはまとまりがなく、粗い様子という意味があるため、煩雑は事柄が複雑に絡み合い、理解しにくい状況を表現します。
参考:デジタル大辞泉
■繁雑との違い
繁雑も、やるべきことが多くゴタゴタしていることをあらわし、漢字は違うものの意味と読み方がほぼ同じです。
ただし、煩雑が「物事が入り組んでいてわずらわしい」というニュアンスであるのに対し、繁雑は「やるべきことが多い」という意味合いが強い点がやや異なります。
■複雑との違い
複雑は、物事の関係や要素が重なり混じり合って解決しにくい、説明しにくいという意味の言葉です。日常会話でも頻繁に使われる言葉の1つといえるでしょう。
煩雑と意味は似ていますが、複雑には「わずらわしい」という感情は含まれないのに対し、煩雑には物事が込み入っておりわずらわしいという意味である点に注意しましょう。
煩雑の使い方と例文

煩雑は、以下のような使い方をすることがあります。
- 煩雑を極める
- 煩雑化
- 煩雑さ
それぞれの言葉の意味を確認しましょう。
■煩雑を極める
「これ以上先はないところまで行き着く」という意味の「極める」と組み合わせて、「これ以上はないくらい、込み入ってわずらわしい状態」をあらわします。
【例文】
- 現状の経費精算の手続きは煩雑を極める状態になっている
- 決裁手続きが煩雑を極めるため、承認までに時間がかかっている
- プロジェクトの進行管理に関わる人数が多すぎると、調整作業が煩雑を極める状態になりかねない
■煩雑化
煩雑に、変化を表現する「化」をつければ、「物事がますます込み入ってわずらわしくなる」という意味をあらわすことが可能です。
【例文】
- 業務プロセスの煩雑化を解消するためにシステムを統合する
- 社内ルールの増加は、手続きの煩雑化と業務効率の低下を引き起こすだろう
- 顧客対応が煩雑化したことが、現場の疲弊と混乱を招いている
■煩雑さ
煩雑に、状態をあらわす「さ」をつけて、「煩雑さ」として使用することもあります。
【例文】
- 在庫管理の煩雑さを軽減するために、倉庫システムの導入を検討している
- 現状の業務の煩雑さの解消が必須だ
- 契約書を確認する作業は煩雑さを伴うため、法務部門の軽減負担が課題だ
煩雑の類似表現

煩雑の類似表現として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 煩瑣(はんさ)
- 錯綜(さくそう)
- 難解
- 面倒
- ややこしい
それぞれの意味や使い方を解説します。
■煩瑣(はんさ)
煩瑣は「はんさ」と読み、「こまごまとしてわずらわしいこと」を意味する言葉です。わずらわしいという意味の「煩」と、小さいことやわずらわしいことをあらわす「瑣」の組み合わせで成り立っています。
主に書き言葉で使われ、会話で使用されることは少ないでしょう。「煩瑣な手続き」などと使います。
参考:デジタル大辞泉
■錯綜(さくそう)
錯綜は「さくそう」と読み、「物事が複雑に入り組み混乱すること」をあらわす言葉です。
「錯」は交じり合うという意味であり、同じように「綜」にも入り交じるという意味があります。「事件の情報が錯綜している」といったように使用します。
参考:デジタル大辞泉
■難解
難解は「なんかい」と読み、「わかりにくいことや難しいこと」を意味する言葉です。「この資料を解読するのは非常に難解だ」というように使用します。
参考:デジタル大辞泉
■面倒
面倒は、「手間がかかったり解決が容易ではなかったりしてわずらわしいさま」をあらわす言葉です。「面倒な手続き」などと使います。「面倒くさい」という場合は、さらに「いかにもわずらわしく感じる」というように、心情も加わります。
参考:デジタル大辞泉
■ややこしい
ややこしいは、「込み入っていてわずらわしいさま」をあらわす言葉で、話し言葉としてもよく使われる表現の1つです。人に対して「彼はややこしい人だ」と使うことも、物事に対して「このルールは非常にややこしい」などと使うこともできます。
「ややこ」は「稚児」と書いて赤ちゃんを指し、「赤ちゃんのお世話を上手にすることは難しい」ことから転じて、込み入っていてわずらわしいことを表現するようになったといわれています。
参考:デジタル大辞泉
煩雑の反対表現

煩雑の反対の意味をあらわす表現としては、「単純」や「簡易」が挙げられるでしょう。それぞれの意味や使い方を解説します。
■単純
単純とは、形式や構造が込み入っていないことを意味する言葉です。「シンプル」とも言い換えられます。「マニュアルを改訂し、作業をより単純にした」などと使ったり、物事がすっきりしていてわかりやすいことを「単純明快」と表現したりすることもあります。
参考:デジタル大辞泉
■簡易
簡易は形式や手続きが簡単で、容易に行えることを意味する言葉です。たとえば、簡易書留という郵送方法は、一般的な書留よりも手続きが簡略化されていることが特徴です。「オンライン申請を導入し、簡易な手続きで契約を完了できるようにした」などと使います。
参考:デジタル大辞泉
煩雑の意味を知り使い方をマスターしよう

煩雑は事柄が複雑に絡み合い、わずらわしい状態をあらわす言葉です。「煩雑を極める」「煩雑化」「煩雑さ」といった使い方もします。
漢字や意味が似ている言葉に、繁雑や複雑があります。ただし、繁雑はわずらわしいというニュアンスよりも、やるべきことが多いという意味合いが強いといえるでしょう。また、複雑にもわずらわしいという感情は含まれない点が、煩雑との違いといえます。
そのほか、類似表現としては「煩瑣」「錯綜」「難解」「面倒」「ややこしい」などが、反対表現には「単純」「簡易」などがあります。
煩雑の意味を知り、正しい使い方をマスターしましょう。また、この機会に類似表現や反対表現もセットで覚えると、語彙の幅が一気に広がるためおすすめです。
構成/橘 真咲







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