「論理的」の意味をきちんと理解できてる？「理論的」との違いや考え方を解説

論理的とは何か？基礎知識を簡単に解説

論理的の読み方は「ろんりてき」です。誰かの性格を表す際や議論の場などに用いられる言葉で、日常会話だけではなくビジネスシーンでも使われます。

それでは、論理的とは何か、意味や「理論的」との違いを確認していきましょう。あわせて、類語・言い換え表現、対義語表現を解説します。

■意味は「きちんと筋道を立てて考えるさま」

論理的とは、「筋道を立てて考える様子」のことです。

「論理」とは、以下のようなことを意味します。

• 考えや議論などを進める筋道
• 思考や論証の組み立て
• 思考の妥当性が保証される法則や形式

その「論理にかなっているさま」のことを、論理的と表現します。つまり、「思考や論証が組み立てられた様子」「思考の妥当性が保証されている状態」だといえるでしょう。

■論理と「理論」との違い

論理と混同しやすい表現に、「理論」があります。どちらも同じ漢字を用いたものですが、意味が異なるため注意が必要です。

理論とは、「原理や法則などをもとに、筋道を立てて考える体系自体」を指します。考えのよりどころは、原理や法則といった「感情や主観が関与しない明確な事実」です。

また、実践に対する純粋な論理的知識として、「実践のともなわない理論だ」などと表現する場合もあります。

理論と論理は似ているものの、意味的にはそれほど重なりません。どちらを用いるのがそのシーンに合っているのかを簡単に見分けるには、「過程」か「完成したもの」、どちらを伝えたいかというポイントを押さえましょう。

論理は結論を出すまでの考え方であるため、「過程」だといえます。一方、理論は知識をまとめた体系自体であるため、「完成したもの」だといえるでしょう。

ただし、それらに「的」をつけた論理的と理論的は、どちらも「筋道が通っていること」という意味があるため、似たニュアンスで用いられています。

■論理的の類語・言い換え表現

「合理的」は、言い換えできる表現です。「道理や論理にかなった様子」「理屈に合っていること」を指します。「道理」とは、「物事の正しい筋道」のことです。

また、合理的には「無駄がなく効率的な様子」という意味もあります。

■論理的の対義語表現

一方、対義語表現には以下のような言葉があります。

＜非論理的＞
論理的ではない。論理的に否定を意味する「非」をつけた言葉。

＜直感的＞
勘などをもとに感覚によって物事を捉える様子。

＜感情的＞
感情に関するさま。理性を失って感情をむき出しにするさま。

論理的な考え方とは

論理的な思考力は、何かを学びたいときや問題把握能力などに役立ちます。また、世の中の情報を深く理解するためにも重要な要素です。誰かのことを「論理的な考え方だ」と表す場合には、ポジティブな意味で用いられていると考えられるでしょう。

それでは、「論理的思考」「ロジカルシンキング」の意味や特徴、重要性、その思考力が必要となるITエンジニアなどの例を解説します。

■「論理的思考」「ロジカルシンキング」の意味

「論理的思考」とは、「論理的な考え方とその技法」のことです。物事を体系的に整理し、矛盾が生じないように筋道を立てる思考法を指します。

「論理的」を英語にすると「logical（ロジカル）」です。つまり、「ロジカルシンキング（logical thinking）」とは、論理的思考を英語にした表現です。

■論理的思考の特徴とは？

論理的思考の特徴は、「感情や直感で考えないこと」「主張と根拠を明確にした考えであること」などです。論理的思考は特別なことではなく、実は日々の生活のなかで自然におこなわれています。

また、論理的思考をする方の特徴は以下のとおりです。

• 分析力が高い
• 物事の本質を理解できる
• 問題発見能力や問題解決能力が高い
• 発言に説得力がある
• 説明が上手
• 自分の感情にとらわれにくい

■論理的思考の重要性

論理的思考が重要だとされている理由は、複数あります。

論理的に考えられるようになることで、たとえば、自分の考えを正確に伝えられる、意見や主張の説得力が高まる、人を納得させる能力が身につくことなどがメリットです。

原因と結果の関係性を整理できるため、問題解決能力が高まり、経験したことのない出来事でも適切に対応できるようになります。

これらは、日常生活はもちろんのことですが、ビジネスシーンでとくに大切な能力だといえるでしょう。

■ITエンジニアなど、論理的思考が必要となる例

論理的思考が必要となるときは、さまざまです。たとえば、ITエンジニアは論理的思考力が求められるといわれています。

ITは、そのほとんどが論理（ルール）によって作られている技術です。「条件」と「結果」をつなげることで、プログラムや機械を扱います。

また、論理が破綻した条件でプログラムされていると、期待通りに動くことはありません。そのため、論理的思考が必要だといわれているのです。

また、子どもや部下に何かをしてほしいときに、「なぜ、このままではいけないのか」を論理的に伝えられれば、相手が納得して自主的に動こうとしてくれる可能性が高まります。

論理的思考を身につけるには？

このように、論理的思考を身につけることは重要です。周囲からの合意を得やすくなる、メンバーと円滑なコミュニケーションを取れるようになるなど、論理的思考によってビジネスで役立つ能力が手に入ります。

それでは、論理的思考を身につけるために知っておきたい思考法やフレームワーク、鍛え方を解説します。あわせて、数学は論理的思考を身につけられる学問なのかどうかも確認しましょう。

■論理的思考に関連する思考法

論理的思考を身につけるのに役立つ思考法は、以下のとおりです。

＜演繹法（（えんえきほう））＞

一般的な法則や前提から、個別の結論を導く方法です。誰もが納得するような主張の根拠になりうることを「特殊な事例（解決すべき問題など）」に当てはめて推論し、結論を導き出します。

＜帰納法（きのうほう）＞

複数の具体的な事実から共通点を見つけだし、一般的な法則を導く方法です。事例から一般的な法則を推論して結論を導くため、演繹法とは逆のアプローチだといえます。

■論理的思考に関連するフレームワーク

論理的思考に役立つフレームワークの例は、以下のとおりです。

＜MECE（ミーシー）＞

事象を構成する要素を漏れなく、ダブりなく洗い出します。

＜ロジックツリー＞

問題の原因や解決策を、論理的に明らかにしていく論理的思考法です。

問題や要点であるかを整理する「Whatツリー」、なぜその出来事や問題が発生したのかという「Whyツリー」、目標や結果を達成する方法や優先順位を明確にする「Howツリー」からできています。

■論理的思考の鍛え方

論理的思考は、たとえば「So Why？分析」で「なぜ？」を繰り返して考えることで、筋道を立てて考える力が身につくでしょう。

また、ロジックツリーを使うと考えを整理しやすくなります。数独やマインスイーパー、将棋、チェスのようなロジカルなゲームをすることでも、論理的な考え方が鍛えられるでしょう。

■数学は論理的思考を身につけられる学問なのか

「数学は論理的思考を身につけられる」と、いわれることがあります。しかし、数学を学んでいたからといって、機械的な計算をしていただけではただの作業になってしまい、論理的な思考力が身につきません。

正しくは、論理展開を意識したうえで問題の答えを導く経験を重ねれば、論理的思考力が身につくといえるでしょう。

論理的の意味や考え方を理解しよう

論理的であることは、日常生活はもちろんのことビジネスシーンでとくに重要となる能力です。論理的とは、「きちんと筋道を立てて考えるさまのこと」を指します。

相手に伝える際に納得してもらいやすくなるため、円滑なコミュニケーションを取れるようになったり発言に説得力が出たりと、多くのメリットがあります。

言葉自体の意味や関連語を理解して、適切に使えるようになりましょう。また、日常生活やビジネスシーンで活用できるように、今回ご紹介したポイントをもとに論理的思考力を身につけましょう。

構成／chihaya