罹患とは、「病気にかかること」を指します。「罹」という漢字はあまり使わない表記で、読み方を間違えてしまいやすいです。そのため、正しく伝えられているのかと不安に思うこともあるでしょう。 この記事では、罹患という言葉の意味や読み方、例文、類語・言い換え表現を簡単に解説します。
目次
罹患は、読み方を間違えやすい言葉です。「らかん」ではなく「りかん」と読むため、読み方を間違えないようにしましょう。
それでは、罹患の意味や漢字表記、同じ漢字を用いた「罹る」の意味、「罹患率」「罹患後症状」とは何か、使い方・例文を確認していきましょう。
罹患とはどういう意味?基礎知識をわかりやすく解説
■意味は「病気にかかること」
罹患とは、「病気にかかること」「疾病すること」を指します。たとえば、新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・がん・風邪などの病気です。「インフルエンザに罹患する」「風邪に罹患した」などといいます。
罹患という言葉は、かかった病気の重さには関係なく使用できる表現です。症状が重篤であっても軽くても、「〇〇に罹患した」と伝えられます。
■罹患の漢字表記
漢字で書く場合は、「罹患」だけではなく「り患」という表記も可能です。一般的に、「罹」の漢字は常用漢字にはあたらないため、あえてひらがなも用いています。
「罹」と「患」の漢字の意味は、それぞれ以下のとおりです。
- 罹……「〇〇をこうむる」「〇〇にかかる」
- 患……「病気」「病気の人」「病んでいる」
同じ「罹」という漢字を用いた「罹災」とは「災いをこうむること」を、「罹病」とは「病にかかること」を意味します。同じ「患」を用いた「患者」は病気の人を、「患部」は「病んでいる箇所」を指す言葉です。
■「罹る」とは
「罹る」とは、「病気や災難にあうこと」を指します。「罹」の訓読み表現で、「かかる」と読みます。
病気に関連した「かかる」といえば、「医者にかかる」という言葉があります。しかし、この場合には「罹る」と表記するのではなくて、「医者に掛かる」が正しい表記です。
よく処置をお願いするお医者さんを意味する「かかりつけ医」も、漢字表記をすると「掛かり付け医」です。
■「罹患率」「罹患後症状」とは
罹患を用いた言葉に、「罹患率」「罹患数」「罹患後症状」などがあります。これらの言葉の意味は、それぞれ以下のとおりです。
- 罹患率……特定の病気にかかった人の割合
- 罹患数……特定の病気にかかった人の人数
- 罹患後症状……罹患後、感染性が消失してからも残る症状。いわゆる後遺症のこと
このようにどれも病気にかかったことに関する表現ですが、それぞれ意味する内容が異なるため、使用する際は注意しましょう。
■罹患の使い方・例文
罹患の使い方を簡単な例文で確認しましょう。
- 医者から「がんに罹患している」と伝えられた。
- インフルエンザにかかってしまったため、罹患証明書を会社へ提出した。
- 新型コロナウイルス感染症は、少なくとも2か月以上持続した罹患後症状が確認されているようです。
- 新型コロナウイルス感染症に罹患しないように、今度ワクチンを打ちにいく予定だ。
罹患に関連する表現の意味と違い

罹患に関連する表現には、「発症」「感染」などがあります。また、罹患率と似た表現に「有病率」「死亡率」などもあります。
これらの表現の意味やそれぞれの違いを、あわせて確認しておきましょう。
■罹患と発症との違い
発症とは、「病気になってから、なんらかの症状が現れたこと」を指す言葉です。一方、罹患とは「病気にかかること」自体を意味します。
つまり、「発症した」と伝えた場合には、病気にかかっただけではありません。「病気によってなんらかの症状が現れたこと」にフォーカスしているかどうかが、罹患と発症とで意味が異なる点です。
■罹患と感染との違い
感染とは、「特定の病原菌が体内に入り込んだこと」を意味します。また、病原体とは「病気のもととなるもの」のことです。病気の原因が外部のウイルスではない場合は、「罹患した」とは表現できますが「感染した」とはいいません。
感染には、さまざまなとらえ方があります。たとえば、あくまでも一説ですが「病原体が体内へ入ったけれど、体の免疫機能によって病原体が死滅した」場合は、「感染はした」けれど「罹患はしなかった」というとらえ方が可能です。
■罹患率と有病率・死亡率との違い
罹患率や有病率、死亡率とは、以下の意味を表す言葉です。
- 罹患率……特定の病気にかかった方の割合
- 有病率……ある一時点において疾病を有している方の割合
- 死亡率……特定の病気が原因で亡くなった方の人数
「がん」に関することならば、以下のように異なることを表します。
- がんの罹患率……がんにかかった方がどれほどいるか
- がんの有病率……がんという疾病を有している方がどれほどいるか
- がんの死亡率……がんが原因で亡くなった方がどれほどいるか
罹患率の確認によって疾病者が発生した数が増えたタイミングがわかるため、「疾病と発生要因との因果関係」も探れます。
また、有病率は特定の時点での健康問題の大きさをはかれる指標です。死亡率は、その病気によって命を落とすかどうかというインパクトの大きさなどがわかります。
たとえば、罹患率と死亡率の変化をあわせて確認すると、その疾病の対策を考える際に役立つデータが取りやすくなります。
罹患の意味や使い方、関連語を理解しよう

罹患とは「病気にかかること」で、読み方は「りかん」です。使う際は、「がんに罹患した」「風邪に罹患しないように気をつける」などと用います。
また、「医者にかかる」と伝える際には「罹(かか)る」という漢字を使わないため、あわせて注意しましょう。
罹患に関連する表現には、「発症」「感染」があります。さらに、「有病率」「死亡率」などは罹患率と似た表現です。これらはどれも病気に関する表現であるものの、意味するものが少しずつ異なるため注意が必要です。
罹患や関連する言葉の意味や使い方などを理解して、自信を持って使えるようになりましょう。
構成/chihaya







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