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フジテレビのCMをやめても売上に影響なし!?最近よく聞く「広告換算費」はリアルな数字なのか

2025.02.24

フジテレビのCM差し替え問題が、広告業界に大きな波紋を広げています。

タレントのスキャンダルに端を発したこの問題は、一部企業の広告返還交渉や契約解除にまで発展。その背景には、長年、広告効果の指標として使われてきた「広告換算費」への不信感がありました。「広告換算費って、本当に意味あるのか」「売上に繋がっているか分からない…」今回の騒動は、そんな広告主の漠然とした疑問を、改めて浮き彫りにしたと言えるでしょう。

中居正広さんのスキャンダルとフジテレビの対応

事の発端は、タレントの中居正広さんと女性とのトラブルに関する報道でした。

この報道にフジテレビ社員が関与していたとされ、企業側の不信感は一気に高まりました。フジテレビは、事態収拾のために第三者委員会を設置する予定ですが、CMを見合わせた企業は1月20日時点で75社にものぼり、その影響は系列の地方局にまで及んでいます。

ホンダやSUBARUといった大手企業も、CM差し替えを決定するなど、事態は深刻化しています。

なぜ企業はCMを取りやめるのか?

企業がCMを取りやめる理由は、もちろんブランドイメージの毀損を恐れてのことです。しかし、それだけではありません。

今回の問題で注目すべきは、一部企業が広告料金の返還交渉に動いている点です。

これは、企業が「メディア露出」という価値に対して、疑問を抱いていることの表れではないでしょうか。

広告換算費とは?本当に効果があるの?

我々がよく耳にするメディア露出の指標に「広告換算費」というものがあります。

広告換算費(広告換算値)とは、PR活動によって得られたメディア露出を、もし広告として出稿したら、これくらいの費用がかかったはず、という金額に換算したものです。

例えば、

•新聞記事で自社の商品が紹介された
•テレビ番組で自社のサービスが取り上げられた

このような場合、記事の大きさや放送時間から、広告料金表を参考に「〇〇円分の広告効果があった」と算出します。

一見、分かりやすい指標のようですが、実は多くの問題を抱えています。

■広告換算費の3つの落とし穴とネット広告の台頭

広告換算費には、以下のデメリットがあります。

1.売上との関係が見えない: 広告換算費は、あくまで「露出量」を金額換算したものです。 それが、実際にどれだけ売上に貢献したのか、ブランド認知度を高めたのか、という点は全く考慮されていません。

2.ネガティブな報道もプラスに?: 広告換算費は、記事や報道の内容までは考慮しません。 そのため、たとえ企業にとってネガティブな内容であっても、露出さえすれば「広告効果あり」とされてしまうのです。

3.操作可能?水増しの誘惑: 広告換算費は、メディア露出量を増やせば、簡単に数値を上げることができます。 しかし、それが必ずしも効果的なPR活動とは限りません。 場合によっては、企業の評判を落とすことにもなりかねません。

インターネットの普及は、広告の世界を大きく変えました。 特に、インターネット広告費は年々増加し、2023年には3兆3,330億円と過去最高を更新しました。しかし、このデジタル化の波は、広告換算費という指標を、さらに時代遅れなものにしています。

なぜ、従来の広告換算費ではダメなのか?

•多様すぎるメディア: ウェブサイト、SNS、動画プラットフォームなど、インターネット上には、無数のメディアが存在します。 これら全てを、同じ基準で評価することは不可能です。

•ターゲティングの進化: インターネット広告は、年齢、性別、興味関心など、細かくターゲットを絞って配信できます。 従来のマス広告とは、根本的に考え方が異なるのです。

•データで効果が丸わかり: クリック率、コンバージョン率、サイト滞在時間など、インターネット広告は、様々なデータをリアルタイムで取得できます。 広告換算費のような、曖昧な指標は必要ありません。

広告効果測定の新しい常識とは?データに基づいたPDCAサイクルを

デジタル時代において、企業はどのような広告戦略を取るべきなのでしょうか。

1. メディアミックスで、多角的にアプローチ

テレビCMだけに頼るのではなく、インターネット広告、SNS、オウンドメディアなど、様々なメディアを組み合わせることが重要です。 それぞれのメディアの特性を活かし、ターゲット層に合わせたメッセージを届けることで、より効果的なPR活動が可能になります。

2. ターゲットを絞り、パーソナライズされた情報を

マス広告から、特定のターゲット層に焦点を当てた広告戦略へとシフトが必要です。 デジタル技術を活用すれば、顧客の行動データを分析し、一人ひとりに最適化された広告を配信できます。

3. データに基づいた効果測定で、PDCAを回す

広告換算費ではなく、売上、顧客獲得数、コンバージョン率など、具体的なデータに基づいて効果測定を行いましょう。 その結果を分析し、改善策を立て、実行する。このPDCAサイクルを繰り返すことで、広告効果を最大化できます。

デジタル時代には、検索エンジン、ディスプレイ広告、ソーシャルメディア、動画など、複数のチャネルを組み合わせた広告キャンペーンが不可欠です。これらのチャネルを統合的に管理し、効果測定に基づいた最適化を行うことが、成功の鍵となります。

まとめ:フジテレビCM問題から学ぶべきこと

今回のフジテレビCM問題は、企業にとって、広告戦略を見直す良いきっかけとなりそうです。

「広告換算費」という幻想から脱却し、データに基づいた効果測定を行うこと。 そして、デジタルマーケティングを駆使し、変化する時代に対応した広告戦略を構築すること。それが、これからの企業に求められる姿勢ではないでしょうか。

文/山下耕太郎
一橋大学経済学部卒業後、証券会社で営業、マーケットアナリスト、先物ディーラーを経て個人投資家/金融ライターに転身。年間300本以上の記事を手掛ける。

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