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「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行う Great Place To Work Institute Japan(以下 GPTW Japan)は、 2025 年版 日本における「働きがいのある会社」ランキング ベスト 100 を2月12日に発表した。
日本における「働きがいのある会社」ランキングは今年で 19 回目の発表となる。同ランキングでは、従業員の高い働きがい (エンゲージメント)を引き出している上位 100 社が「ベスト 100」企業として選出されている。
各部門トップ10企業
企業規模に合わせた各文における「働きがいのある企業」上位10社を紹介したい。
大規模部門 (1,000 人以上)
1 位 DHL Express (運輸業,郵便業)
2 位 Cisco (情報通信業)
3 位 Hilton (宿泊業,飲食サービス業)
4 位 ディスコ (製造業)
5 位 セールスフォース・ジャパン (情報通信業)
6 位 アメリカン・エキスプレス (金融業,保険業)
7 位 マネーフォワードグループ (情報通信業)
8 位 マイクロンメモリジャパン (製造業)
9 位 ラクス (情報通信業)
10 位 ノースサンド (サービス業(他に分類されないもの))
中規模部門 (100-999 人)
1 位 アチーブメント (学術研究,専門・技術サービス業)
2 位 アトラエ (情報通信業)
3 位 フロンティアホールディングス (不動産業,物品賃貸業)
4 位 Tanium (情報通信業)
5 位 Box Japan (情報通信業)
6 位 グロービス (教育,学習支援業)
7 位 ファイブグループ (宿泊業,飲食サービス業)
8 位 Adobe Systems (情報通信業)
9 位 エイペックス (サービス業(他に分類されないもの))
10 位 テックタッチ (情報通信業)
小規模部門 (25-99 人)
1 位 あつまる (情報通信業)
2 位 Mahalo (分類不能の産業)
3 位 KINGSMAN TOKYO (サービス業(他に分類されないもの))
4 位 イベント 21 (サービス業(他に分類されないもの))
5 位 アイグッズ (製造業)
6 位 湘南ゼミナールオーシャン (教育,学習支援業)
7 位 バーテック (製造業)
8 位 Aphros Queen (サービス業(他に分類されないもの))
9 位 ヘルスベイシス (情報通信業)
10 位 アンジェラックス (生活関連サービス業,娯楽業)
※「ベスト 100」企業について
「働きがいのある会社」調査により一定水準を満たした企業が「働きがい認定」企業として選出され、その中から上位 100 社(大・中・小規模ごとの選出社数の合計が 100 社)がランキングとして選出されています。
【大規模部門 従業員 1,000 名以上】 15 社
【中規模部門 従業員 100~999 名】 40 社
【小規模部門 従業員 25~99 名】 45 社 計 100 社
調査期間:2023 年 7 月~2024 年 9 月(2025 年版調査)
参加社数:657 社
人的資本への投資が「働きがい」につながる
DHLジャパンの代表取締役社長トニー カーンは次のように語った。
「人と人をつなぎ、生活の向上に貢献するという私たちのパーパスを実現するには、やる気と意欲にあふれた従業員が不可欠です。従業員の満足度向上を追求し、働きがいのある職場づくりに邁進してきた私共の取り組みの成果が、13年連続のランクインかつ第1位受賞の栄誉に結実したことを大変誇りに思います」
「やる気のある人材が優れたサービス品質をもたらす」をモットーにする同社は、従業員満足度およびエンゲージメントの向上こそが、優れた品質のサービスを生み出す源になると考え、従業員にとっての働きやすい、そして働きがいを感じられる職場づくりに取り組んできたという。
全社員を対象に社員満足度を測る独自の「社員意識調査」を毎年社内で実施、その調査結果をチーム単位で分析し職場環境の改善活動を行っており、また、管理職と従業員間の相互理解を深めるため、社長自らが社員集会のために国内全拠点をまわるなど、2024年は年間50回近く、従業員との直接対話の場を設け、現場の声に耳を傾けている。
DHL Expressは、世界220以上の国と地域をスピーディーに結ぶエアネットワークを築き、オンラインショッピングから企業の国際貿易まで、人々の生活やビジネスを国際輸送でサポートする国際エクスプレスのリーディングカンパニーとなっている。
中規模部門で1位になったのは、創業から38年目を迎える人材教育コンサルティング企業のアチーブメントだ。
「創業以来貫き続けてきたのは『人を大切にする経営』です。売上や世間の評価ではなく、社員幸福度が高い組織体であるかを愚直に追求してまいりました。報酬や制度面の改定はもちろんのこと、一人ひとりの社員が「なぜこの会社で働くのか」という目的をもち、職業人として、そして人として成長できること、そんな「自己実現の舞台」を社員に提供することに重きを置いています」(アチーブメント)
小規模部門で1位に輝いたあつまるのコメントは次の通り。
「私たちあつまるでは、『全従業員のビジョン』と 『会社の経営計画』を連動させる『個人ビジョン経営』を行っています。従業員一人ひとりが、自分自身のビジョンを実現するために、無限の可能性へ挑戦できる環境があります。 4年連続の受賞に恥じないよう、企業理念を軸に個人ビジョン経営を実践し、全従業員が能力を最大限発揮できるよう、働きがいのある会社づくりに努めてまいります」
あつまるは、新規見込み顧客や就活生があつまるようにする「集客マーケティング」と「新卒採用マーケティング」のサービスを提供している。
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人的資本に関する情報開示が義務化され2 年目になる。
上場企業は勿論、開示義務がない非上場上企業においても、人的資本に関する情報開示をする動きは年々、加速している。
開示指標として特にエンゲージメントサーベイスコアの開示を行う企業が増えており、先進的な企業では、人的資本投資におけるねらいや実現したいことを発信する動きも出てきている。
GPTW Japan の「働きがいのある会社」調査に参加する企業も年々増えているのは、こうした狙いのものとに、参加している企業も増えているのだろう。
働きがい=企業の人的資本投資の賜物以外の何ものでもないのだから。
取材・文/峯亮佑