セクシーさにスポーティーさをプラスした『レースブリーフ』
レースボクサーの好評を受けて、2023年9月に同じレース生地を使った『レースブリーフ』を発売した。『レースボクサー』同様、『WACOAL MEN』で人気上位になっている。
レース生地のブリーフを望む声は『レースボクサー』の発売直後から届いていた。
「ブリーフを好まれる方も多いので、男性が美しい下着でカッコよく見えるスタイルを楽しんもらうには、ボクサーパンツだけではなくブリーフも必要でした」
『レースブリーフ』はすそ回りにテープを施したほか、『レースボクサー』同様のアウトゴムスタイルとし、ウエストゴムに光沢感を持たせた。透けすぎてセクシーさが強調されないよう、スポーティーさをプラスしている。
『レースブリーフ』もカッコよさにこだわった。ステッチも印象を左右することからいろいろ検討したほどで、ウエストゴムも現在のアウトゴムではなく内側に包み込むスタイルも考えたこともあった。
また『レースボクサー』も、2024年3月にユニセックスモデルを発売する。「はいてみたい」という女性からの声を受け、アウトゴムスタイルはそのままに、フロントの立体設計をなくす変更を施した。
男性下着もこだわって選ぶ投資する価値のあるものへ
『レースボクサー』で男性下着に革新をもたらしたといってもいい同社だが、どのようなトレンドを経て生まれたものなのか?2007年からメンズインナーに携わっている稲積さんに、2000年代後半から現在に至る男性下着のトレンドの変遷を次のように解説いただいた。
2007年頃~
ワイルドな世界観の流行から、男らしく見せるものが流行。
2011年頃~
阪急メンズ東京がオープンした2011年あたりから、ファッションに対する男性の意識が変化。アウターが進化し格段にファッション性が上がったことから見た目に気をつけるようになり、下着もヘルスケア志向の機能性を持ったものがよく売れるようになった。「お腹をへこませる」「ヒップアップ」といった機能の訴求が目立った。
2015年頃~
ネット通販の台頭により、華やかな柄をプリントしたパッと見ただけで選んでもらえるものが売れるようになってきた。店頭で売れるものとネット通販で売れるもので違いが生まれるようになってきた。
2020年頃~
K-POPの影響などから男性の美意識が大きく変化。これまで女性向けのイメージが強かったメイクやピアスが男性に浸透する。『レースボクサー』の誕生も時流に即していたことになる。
では、男性下着はこれからどうなるのか?稲積さんによれば最近の傾向として、いいものを求める人たちが増えてきていることを挙げ、次のように今後を見通す。
「男性下着でできる贅沢を突き詰めていく流れになるのではないのでしょうか。安いものが買われる一方で、高くてもいい下着を選ぶ人が増えていくと思われます。下着は肌に触れるので、選び方一つで心や体に及ぼす変化が異なります。ファッションや車、腕時計と同様、こだわって選ぶ文化をつくり、投資していく価値のあるものだと伝えていきたいです。女性から男性にプレゼントする機会も増やすことができればいいですね」
製品情報
https://www.wacoal.jp/wacoalmen/special/race/?link=topbanner
取材・文/大沢裕司