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つい数か月前まで学生だった新入社員が一人前のビジネスパーソンとなるためには、十分な上司の指導と育成環境が欠かせない。
では新入社員を育成するのはどれくらいの期間を要し、また、その裏にはどんな苦労があるのか?
リクルートマネジメントソリューションズはこのほど、営業系、企画・事務系、研究開発系などに従事する1,226名に対して「職場における新入社員育成の実態調査」を実施し、その結果を発表した。
新入社員の育成を経験後、育成の機会への捉え方は、新入社員育成を任された当初より5.3ポイントアップする結果に(図表1)
新入社員育成を任された当初、育成の機会への捉え方は、「前向き」「やや前向き」(46.4%)が「後ろ向き」「やや後ろ向き」(20.4%)を上回った。
また、新入社員育成経験後、育成の機会への捉え方は、「前向き」「やや前向き」(51.7%)が、「後ろ向き」「やや後ろ向き」(15.2%)を上回った。「前向き・やや前向き」が新入社員育成を任された当初より5.3ポイントアップする結果となった。
育成経験後のポジティブな意識変化の要因は「自分自身の気づき」や「間近で成長を見届けられる喜び」(図表2)
育成当初「後ろ向き」「やや後ろ向き」と回答したが、経験後に「前向き」「やや前向き」と回答した人の理由を調べると、「自分の学びや成長」「育てる醍醐味」「前向きな感情」「意外にやりやすい」などの理由が挙げられた。
<図表1・2から>
→育成の機会への捉え方が育成当初の「後ろ向き」「やや後ろ向き」から、育成後に「前向き」「やや前向き」に変化した理由として、自分の学びや成長に加え、育成自体への醍醐味やポジティブな感情を感じたことが挙げられた。
「育成」という仕事は、育成担当者にとって心身的な負荷はかかるものの、それ以上にメリットをもたらすと感じる人が一定数いることが示唆される。育成を体験して、育成に対する印象が前向きになる人が一定数いることを鑑みると、実際にやってみることで、初期に感じる印象が変わる可能性も十分に考えられる。
育成担当者は、育成に対してネガティブな印象があったとしても、育成経験がもたらす自分にとっての価値を探しながら新入社員と関わることで、役割への納得感を高めることができるだろう。
企業は育成を「新人を育てるためのもの」という目的だけでなく、中堅リーダーの育成や、組織全体のチームワークや育成風土づくりの機会と捉え取り組むことで、組織全体にとっての価値を最大化することができる。