
「ストレス」とは心身に影響をもたらす外部刺激によって起こる反応です。ストレスの原因「ストレッサー」による変化を「ストレス反応」と呼びます。ストレスコーピングには、問題焦点型、情動焦点型、ストレス解消型の3つがあり、自分に合った方法を使い分けることが大切です。
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「ストレス」という言葉は多くの人が使っており、その意味を知っている方も多いでしょう。
では、「ストレス反応」という言葉の意味を知っていますか?
簡単に言うと、ストレスに晒され続けたときの心や体、行動の変化のことです。今回は、ストレスに関連した、「ストレス反応」と「ストレッサー」を取り上げ、ストレスとの上手な付き合い方をご紹介します。
ストレスとは
まず、皆さんがよく口にする「ストレス」とはどのようなものなのかを解説します。
ストレスという言葉ですが、元は物理学で使用されており、その意味は「物体に圧力を加えることで生じるゆがみ」となります。その言葉が心理学では、「心身に影響をもたらす外部刺激によって起こる身体の反応」を指すものになり、それが一般化されるようになったとされています。
ストレスと聞くと、良くないものだと思う方が多いですが、良いストレスもあります。例えば、受験勉強や、目標の高い仕事などがそうです。このストレスは成長や自信を促してくれます。
次で説明しますが、ストレスの原因となるものを「ストレッサー」、ストレッサーを受けたことで起こる心や体、行動の変化のことを「ストレス反応」と言います。この2つのものを例を出して説明すると、ストレスのない状態を空気の入ったボールとしてそのボールを凹ますほど強く押したとき、押しているものを「ストレッサー」、ボールが凹んだ状態が「ストレス反応」となります。
ストレッサーとは
次に、ストレスの原因となるもの「ストレッサー」について説明します。
ストレッサーは大きく3つに分けることができます。
・物理的ストレッサー……暑さや寒さ、騒音や混雑など
・化学的ストレッサー……公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰、一酸化炭素など
・心理・社会的ストレッサー……人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など
参照:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
人はストレスに晒され続けると、ストレス反応として心身に出ている症状にばかり目がいき、自分は何にストレスを感じているのか理解していない人が多くいます。
ストレスをなくすためには、まずは自分が何にストレスを感じているのか知ることが大切です。日々自分がどのような出来事を体験しているのか、一度整理してみる必要があります。
そのためには、ストレス反応が出てきた以降の最近の出来事を一度紙に書き出してみてください。そして、その出来事によって生まれた感情も付け足してください。そうすることで何に対してどう思ったのかが明確になり、その中で負の感情があるものがストレッサーだと気づくことができます。
ストレス反応とは
次に、「ストレス反応」について説明します。
ストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます。
・心理面……活気の低下、イライラ、不安、気分の落ち込み、興味・関心の低下など
・身体面……頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸や息切れ、胃痛、食欲低下、便秘や下痢、不眠など
・行動面……飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスや事故、ヒヤリハットの増加など
参照:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
上記の3つのうち、どれが出やすいかは人によって違います。心理面の不調が出やすいタイプもいれば、行動面が先に出るタイプもいます。ストレス反応の出方は個人差があるのです。
ストレスとうまく付き合っていく方法
ストレス反応がある場合には、ストレッサーを知り、次に「ストレスコーピング」という、ストレスとうまく付き合う対処法を取り入れましょう。
ストレスコーピングには下記のような3つの方法があります。
・問題焦点型
・情動焦点型
・ストレス解消型
この3つを説明していきます。
問題焦点型コーピング
問題焦点型コーピングは、ストレッサーに直接働きかけることでストレスを取り除こうとする方法です。
例えとして、仕事がストレッサーの場合には、仕事量を調整してもらえるように働きかけることや、転職をしてその仕事から離れることがこれに該当します。ストレスの原因になるものを自ら取り除いていくものとなります。
情動焦点型コーピング
情動焦点型コーピングは、ストレッサーに働きかけるのではなく、考え方(認知)を変える方法です。
例えは、自分の悩みを友人やカウンセラーなど専門家に聞いてもらうことが該当します。自分の中にある感情を他人に話すという言語化をすることで整理することができます。また、話すことによってストレスを発散することも期待できます。
ストレス解消型コーピング
ストレス解消型コーピングは、ストレッサーから離れたり、発散させる方法です。
例えば、仕事がストレッサーであれば、休日に友人や家族などと気晴らしに旅行や買い物をすることがこれに該当します。
☆ ☆ ☆
「ストレスコーピング」は自分に合ったものを選ぶのはもちろんですが、1つだけに決めるというよりも状況に応じて使い分けるとより効果的です。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理・福祉の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
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