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リゾート開発から都市開発までフジメディアHDの窮地を救った不動産事業の気になる中身

2025.02.16

フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスは、2025年1月30日に今期の通期売上高が500億円程度下振れる下方修正を発表しました。従来予想のおよそ1割減。一方、営業利益は5割減となるものの、赤字は回避しています。

実はフジテレビを中核とするメディア・コンテンツ事業は赤字見通し。黒字に押し上げているのが都市開発・観光事業。いわゆる不動産事業です。

視聴者とクライアントの信頼回復を進める

一連の問題で広告主はCMを自粛していますが、フジテレビはACへの差し替えやキャンセル分について、広告料金を請求しない方針をとりました。広告収入は通期計画に対して233億円のマイナス。フジテレビは前期の4Q単体(2024年1-3月)の放送収入が474億円でした。今期も同規模の計画を立てていたとすると、広告収入のおよそ半分が吹き飛んだことになります。

第三者委員会の調査報告書が提出されるのが2025年3月末。ちょうど期のかわるタイミングであり、広告料金を請求しないことで早期信頼回復を図りたいところでしょう。2025年2月6日には「再生・改革プロジェクト本部」の設置を発表。メンバーは中堅・若手を中心に構成され、組織の在り方を見直すといいます。内部通報制度の拡充 ・通知方法の再検討などを行い、目に見える形で改革を進める意向です。

フジテレビは今回の問題が取り沙汰される前から、視聴率の低迷に苦しんでいました。組織体制の見直しを図り、ブランドを一新して再び高視聴率を狙う体制づくりが必要。このタイミングで悪しき風土を変えなければ、優秀な人材が流出すれば視聴率の低下に拍車がかかりかねません。ピンチをチャンスに変えられるかどうかの瀬戸際に立たされています。

事業活動にこれほどの支障が出ても、業績を持ちこたえることができたのはフジ・メディア・ホールディングスが事業を分散していたため。この会社はテレビ番組や映画を主体としたメディア・コンテンツ事業と都市開発・観光事業、そして人材ビジネスなどを扱うその他事業があります。主力はメディア事業と不動産事業の2つ。

2024年3-12月のメディア・コンテンツ事業の売上高は3225億円。一方、都市開発・観光事業は871億円でした。メディア事業の売上規模は不動産事業の3.7倍。しかし、同期間におけるメディア事業の営業利益は151億円で不動産事業は131億円。ほぼ同水準なのです。

メディア事業の営業利益率は5%。不動産事業は15%。収益性の高い不動産事業に救われた形です。

バブルが弾けて経営危機に陥ったリゾート開発企業を買収

不動産事業の中核を担っている会社が株式会社サンケイビル。1951年設立で、もともとは産経新聞社の不動産管理を担う会社でした。1961年に株式を上場。このころから不動産ディベロッパーとしての性格が強まります。

オフィスビルや商業施設、分譲マンション、有料老人ホームなどの開発を行ってきました。大阪の商業施設「ブリーゼブリーゼ」や、分譲マンション「ルフォン」、オフィスビル「S-GATE」などはサンケイビルが手がけた物件です。

2012年にフジ・メディア・ホールディングスがサンケイビルに公開買付を実施。それにともなって上場廃止となります。

潮目が大きく変わったのが、2015年のグランビスタホテル&リゾートの買収。賃貸事業と販売・売却事業のほかにホテルリゾート事業が加わりました。

グランビスタは、1960年代に札幌グランドホテルや鴨川シーワールドなどを取得して勢力を拡大した会社。ホテルやリゾート施設だけでなく、有料道路の熱海ビーチラインを開発するなど、総合的なリゾート企業へと成長しました。

しかし、バブル崩壊後はゴルフ場事業などの累積赤字が増加するなど、経営が行き詰るようになります。2005年に200億円の債務免除を受けました。経営再建を目指し、日本政策投資銀行などを中心とし、370億円近い資金支援を得ました。

しかし、2011年に企業再生支援機構の事業支援を受けることが決定します。2005年に債務が免除されたものの、2011年3月期は16億円の債務超過。不採算施設が足を引っ張っていたほか、老朽化が進んだ建物の改修工事も必要でした。

企業再生支援機構による事業再生は成功し、2015年にサンケイビルがグランビスタの株式を取得しました。

賃貸や販売・売却事業は減収減益

グランビスタはコロナ禍で52億円以上の損失を出しました。しかし、現在はインバウンド需要の盛り上がりや、新施設のオープンで業績を急拡大させています。

2024年3Q(2024年10-12月)のグランビスタの売上高は前年同期間のおよそ1.5倍となる113億円、営業利益は2.5倍の15億円でした。

銀座グランドホテルやインターゲートホテルズは海外観光客で高稼働が続いており、2024年10月にオープンした「神戸須磨シーワールド」も好調。今期の業績に大きく貢献しています。

なお、賃貸事業や販売・売却事業を行うサンケイビルは、減収減益でした。グランビスタが救世主となったのです。

フジテレビがこれほどまでの前代未聞の逆風の中でさえ、グループ全体で業績を安定させるフジ・メディア・ホールディングス。その強さを改めて感じさせられます。

文/不破聡

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