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SHISEIDO「エッセンス スキングロウ ファンデーション」の成功から紐解く、新時代の美容と価値観

2025.02.25

美容液でファンデーションを包む。新たなファンデーションの形を実現したSHISEIDO『エッセンス スキングロウ ファンデーション』。発売から8か月で累計出荷数約50万個を突破し、1年以上経過した今でもデパートファンデーション市場でシェアNo.1を獲得している。

今回は、資生堂ジャパン株式会社 プレステージ事業本部SHISEIDOブランドマネージャー松村美穂さん(肩書きは取材当時のもの)に、商品開発の背景や苦労した点、ヒットの要因を伺った。

*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

変化する美意識に応えた、新しいメイクとスキンケアの提案

資生堂ジャパン株式会社 プレステージブランド事業本部SHISEIDOブランドマネージャー松村美穂さん

メイクであり、スキンケアでもある新体験を叶えた『エッセンス スキングロウ ファンデーション』。実現のキーとなったのは、資生堂の独自技術「セラムファースト技術」だった。

※イラストはイメージです

「セラムファースト技術は、ファンデーションの色材を美容液でコーティングする技術です。肌にまず美容液が浸透し、その後にファンデーションが美容液の膜から出てきます。美容液がただ入っているだけだと、美容液が肌に浸透しません。この手法は、美容液とメイクの仕上がり、それぞれの役割を果たす、未だかつてない処方になっています」

開発の背景には、コロナ禍で加速したファンデーション離れがあった。

「コロナ禍で実施した、20~30代の女性を対象とした美容意識調査で『自分のために心地良く過ごせる時間をあげたい』や『自分を大事にしたい』といった、いわゆるご自愛意識が高まっていると分かりました。同時に、ファンデーションを使わないノーファンデ派の方や、レスファンデ派の方がとても増えている結果も出たんです。こうしたお客様の変化を捉え、新たなベースメイクカテゴリーを提案しました」

「ファンデーション美容液」という新たなカテゴリーを打ち出した資生堂。商品開発には、研究員の並々ならぬ努力があったと松村さんは続ける。

「美容液でファンデーション色材を包む技術は、いままでありませんでした。ただ、研究員の方々が『実現したい』と熱意を持って取り組んでくれたことで、かたちにできたと考えています。私たちがお客様の声を察知してニーズに応えられるきっかけを作り、研究員の方が叶えてくれる。コラボレーションによって、良い商品開発ができました」

本物のファンデーションを作るために挑んだ1000回以上の試作

ブランドSHISEIDOは、いわゆる資生堂を代表するコーポレートブランドに当たる。松村さんは、だからこそ生活者の不満を解決できる“本物のファンデーション”を作ろうと、社内一体で取り組んだと話す。

「スキンケア成分を訴求したファンデーションは、数多くあります。しかし、生活者の意識は変わらず、『ファンデーションをつけると肌に負担がかかる』と考えている人が多かったんです。そうした生活者の不満を解決するのが、資生堂の総意でした。『次元を超えた新しいカテゴリーを見出したい』この想いを共有して取り組みました」

コロナ禍を経て、ファンデーションを使わない人が増えたと話す松村さん。ファンデーション離れという課題に対し、「未来の美しさに繋がるメイク体験」を提供しようと考えた。

「“メイクの瞬間もスキンケア体験”がキーワードだったので、まず使い心地の良さを重要視しました。目指したのは、目を閉じてファンデーションを使ったときに『美容液かな?』と思えるような感触です。そして、目を開けたら肌が綺麗に見える。本当に美容液で彩っているようなメーキャップの実現を目指しました」

「肌に負担をかけずにキレイに見せたい」と願う人のニーズを叶えるべく、何度も試作を繰り返したという。

「製品化までの試作は、1000回以上に上ります。同商品はグローバル展開を含めて30色をラインナップしていますが、特別な手法で作られているので1日に1色しか作れなかったんです。30色あるものの、1日に1色しか作れず、1000回以上の試作を行う。SHISEIDOの中でも、これ以上試作をした商品はないと聞いています。ただ、この苦労があったからこそ、新しいカテゴリーを生み出せたのだと思います」

高まる美意識。スキンケアは全世代共通の価値に

開発から発売まで約3年を要した同商品。松村さんは、細部にまでこだわりを詰め込んだと話す。

「ナイアシンアミド*1とケフィア発酵エキスGL*2を配合することで、メイクでもありながら、スキンケアでもあるということにこだわりました。。ナイアシンアミド*1は美容成分の中でも生活者の認知が高く、SNS上でバズっている美容成分です。ファンデーションにナイアシンアミド*1を入れたことで、とても話題になりました。ケフィア発酵エキスGL*2は、北海道のブランド米『ななつぼし』の発芽玄米を使い、抽出したエキスです。発酵に優れたメーカーさんとのコラボレーションで実現しました。SHISEIDOは日本発のグローバルブランドなので、世界のお客様に日本の成分や日本の技術の素晴らしさを伝えることにもこだわっています」

※画像はイメージです
*1 うるおい保護成分 *2 保湿成分:乳酸桿菌/コメ発酵物、グリセリン *3 効能評価試験済み

ターゲット層は設定していたものの、想像の斜め上を行く反響があったと続ける。

「ターゲットで設定したのは『スキンケアにこだわりがあり、肌そのものが美しく見えるファンデーションを求めている、20代後半から30代後半のお客様』です。最初は、ターゲット通りのお客様に反応していただきました。ところが、1年経過し、10代から40代、50代の方まで幅広く好評の声をいただいています。スキンケア効果は、年代関係なくお客様に評価されるポイントだと改めて実感しました」

スキンケア性をダイレクトに感じてもらえるよう、ネーミングやパッケージにもこだわった。

「スキンケアができて、かつ、仕上がりの特徴であるツヤにフォーカスして『エッセンススキングロウ』と名付けました。パッケージも、スキンケア製品のようなデザインを目指しています。最初は『ファンデーションに見えないけど大丈夫なのか?』と声も上がりました。ただ、今回はファンデーションではなくスキンケアだとお客様に伝えたかったのでこちらに決めました」

これからの時代に求められる“本質的な美の価値”とは

多くのファンデーションが発売されている中、まず手に取ってもらうために「お客様が信頼できる人」に発信してもらったという。

「最初に重要視したのは、ジャーナリストやメディア、そしてインフルエンサーの方々に共感していただくことです。私達の熱意を同じ温度感で感じていただき、商品の良さを分かりやすくポイントを絞って伝えていただこうと考えました。複数のメディアを活用したのもポイントです。さまざまなニーズに応える多角的なコミュニケーションプランを設計し、発信し続けました」

松村さんは、ヒット要因について次のように分析する。

「商品のコンセプトを、狙い通りジャーナリストやメディアの方々に共感いただけたこと。そして、感度の高いご購入者様が『色付き美容液』や『スキンケアするファンデーション』とSNS上で話題にしてくださったことが大きかったです。また、時間が経つほど素肌が美しくなるスキンケア効果をお客様が発信してくださったこともあり、時系列でどんどん売り上げが拡大していくのを実感しました」

最後に松村さんは、今後の美容トレンドや美容業界に求められるものについて話してくれた。

「トレンドの変化に対応していくには、常に生活者の声を聞き、行為に適用していく必要があると思います。難しいですが、変化を先読みして、変化が起きたときにすぐに適用できる状態になっていることが重要です。また、『本質的な価値』の開発にシフトしていく必要があるとも考えています。見た目の美しさと心身の健やかさ、この境界が曖昧になっているお客様が増えています。資生堂は長年にわたり、肌、体、そして心まで密接に繋がっていることを解明する研究を進めています。本質的な価値とは何かを解明しながら、パーソナルビューティーウェルネスを実現していきたいです」

https://brand.shiseido.co.jp/essenceskinglow.html

取材/DIME編集部 文・撮影/久我裕紀

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