
マネジメントは、組織の目標達成に欠かせない重要な役割です。基本的な定義や役割、必要とされるスキルを解説します。組織の階層別に求められるマネジメントの特徴も、併せて確認しましょう。
目次
ビジネスシーンでよく使う言葉、マネジメントの基本的な意味を知っていますか?
まずは言葉を理解し、現代のビジネス環境で求められるマネジメント力を身に付けたい方は、ぜひ参考にしてください。
マネジメントとは?
組織として目標を達成し、安定して業績を向上させるには、マネジメントの役割が欠かせません。まずは、マネジメントの基本的な概念や歴史的背景について、基本的なポイントを理解しておきましょう。
■マネジメントの定義
マネジメントは経営資源(ヒト・モノ・カネ)を効率的に活用し、リスク管理を徹底しつつ、組織目標の達成や事業の成長を目指す活動です。
『マネジメントの父』と呼ばれる経営学者のピーター・ドラッカーは、マネジメントを『組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関』と定義しました。企業のマネージャーは、適切なマネジメントを通じて、事業の持続的な発展に寄与する必要があります。
なお、マネジメントと混同されがちな言葉に『リーダーシップ』があります。リーダーシップは組織のビジョンを示し、メンバーにやる気を起こさせ、メンバーを導く能力です。一方、マネジメントは設定した目標に向けて、組織を運営する手段と位置付けられます。
■マネジメントの歴史
マネジメントの概念はいわゆる産業革命以降、徐々に体系化され始めました。例えば、19世紀末には、すでにフレデリック・テイラーが科学的管理法により、業務効率化の重要性を訴えています。
さらに20世紀初頭には、アンリ・ファヨールが管理過程論を展開し、マネジメントの基本的な機能を明確化しました。その後も人間関係論やシステム理論など、多くのアプローチが提唱され、1950年代のピーター・ドラッカーの登場につながります。
ドラッカーは、著書の中で目標管理の重要性を語り、現代のマネジメント理論の基礎を築きました。近年では彼の理論をベースとしつつ、デジタル化やグローバル化に対応した、新しいマネジメント手法も注目されています。
マネジメントの役割や業務内容
マネジメントの役割は多岐にわたり、いずれも組織の成長に不可欠な要素です。マネジメントの担い手となるマネージャーの業務内容について、具体的に見ていきましょう。
■目標設定や進捗管理
目標設定や進捗管理は、マネジメントの重要な役割です。マネージャーは、組織の方向性を示す明確な目標を設定し、チームに周知・浸透させるのが仕事です。
組織の目標設定をする際には、数値を用いて具体的かつ、達成可能な目標を設定する必要があります。具体性のある目標により、社員が何をすべきか分かるようになり、目標達成への意識が高まります。
また、業務の進捗管理もマネージャーの重要な役割です。定期的に社員による業務の進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正を行います。予定通りの場合はさらなる向上を促し、遅れがある場合は原因を分析して改善策を講じます。
■チームの育成
マネージャーは社員一人一人の能力を引き出し、成長を支援することで、チーム全体を育成することも仕事です。日々の業務に対するフィードバックや定期的な面談などを通じて、メンバーの課題・目標を明確にし、適切な指導・支援をする必要があります。
また、チームマネジメントを通じて、メンバー間のコミュニケーションを円滑化し、生産性の向上を図るのも役割の一つです。チーム内の信頼関係を築き、互いの強みを生かせる環境を整えることで、全体のパフォーマンスが向上します。
■動機付け・モチベーション管理
社員の動機付けとモチベーション管理も、マネージャーの重要な役割です。効果的な動機付けには、外発的・内発的動機付けの両方のアプローチが求められます。
外発的動機付けは、報酬・評価など外部からの刺激により、モチベーションを高める方法です。一方、内発的動機付けは、仕事への興味・達成感など内面的な要因により、継続的な行動を促す手法です。
特に、社員の自律性や成長機会を提供することで、内発的な動機付けに注力するのが効果的といわれています。
■人材の評価
マネージャーは一定の基準により、部下に当たる社員を公平・公正に評価しなければいけません。評価基準は、主に『業績』『能力』『情意』の3つがあり、それぞれ具体的な評価項目を設定する必要があります。
多くの社員にとって納得感のある人事評価をするには、明確な評価基準を設定するのはもちろん、心情に左右されない客観的な判断が求められます。評価の根拠となる事実を日頃から記録し、定期的な面談を通じて、一人一人の部下と認識をすり合わせることも重要です。
マネジメントに必要とされる能力・スキル
効果的なマネジメントのためには、さまざまな能力やスキルが求められます。以下のように、マネージャーはコミュニケーション能力や意思決定力が必要であり、強いリーダーシップにより部下を導くことも大事です。
■コミュニケーション能力
組織のマネジメントにおいて、周りと円滑にコミュニケーションを取れるスキルは不可欠です。マネージャーは、日々のコミュニケーションを通じて部下との信頼関係を構築し、それぞれの不安・不満を聞き取り、適切に対応する必要があります。
また、日々の会話から部下の能力を見抜き、成長を促すことも重要です。部下が相談しやすい雰囲気をつくることで、組織の目標達成に向けた協力体制を築けるようになります。
■意思決定力
マネジメントにおいて、意思決定力も極めて重要なスキルです。マネージャーは、組織の目標達成のために、さまざまな局面で慎重な判断を迫られます。しかし、全員の賛同を得られることはまれで、多くの場合異論・対立がある中での決断が必要です。
データ・事実に基づく分析を徹底しつつ、過去の経験や直感も活用しながら、素早く判断を下さなければいけません。同時に、決断に至ったプロセスも明確にして、論理的かつ説得力のある説明ができることも重要です。
■リーダーシップ
リーダーシップは、周りに組織の方向性を示し、一人一人のモチベーションを高める重要な役割を担います。組織のマネージャーに欠かせない資質であり、自らが組織のビジョン・価値観を深く理解し、分かりやすい言葉でメンバーに伝えることが大切です。
また、日々の業務の中で一人一人の個性・強みを理解し、適切な役割を与えることで、チーム全体の成長を促進する必要があります。困難な状況に直面した際も前向きな姿勢を保ち、メンバーの不安・懸念に耳を傾けながら、適切な方向へと導く力が求められます。
■問題解決力
組織のマネジメントにおいて、問題解決力も不可欠なスキルです。問題が発生した際、マネージャーは冷静に状況を分析し、効果的な解決策を見いださなければなりません。問題を特定し、考えられる原因を分析した上で、有効な解決策を立案・実行する必要があります。
さらに、チームで問題の解決に取り組む際には、メンバーの意見を積極的に取り入れ、多角的な視点から解決策を検討する調整力も求められます。うまく問題を解決できれば、チームの結束力が高まり、日々の業務のパフォーマンスも向上するでしょう。