
英語の『theory』を語源とする『セオリー』には、複数の意味があります。ビジネスシーンでは、どのような意味で使われているのでしょうか?使い方やよく使われるフレーズを紹介します。
目次
セオリーとは、理論や学説、または個人の持論・自説を指す言葉です。
ビジネスシーンや日常会話では、確立された方法や最善の手段として使われることも
。この記事では、セオリーの正確な意味や使い方、モットーやマニュアル、ノウハウとの違いについてわかりやすく解説します。言葉のニュアンスを正しく理解し、スマートなコミュニケーションに役立てましょう。
セオリーとは?
ビジネスシーンや日常会話では、『セオリー』という言葉がよく使われます。普段何気なく使っていても、正確な意味や使い方を理解していない人もいるのではないでしょうか?まずは、基本の意味と英語での使い方をチェックしましょう。
■基本的な意味
セオリーには、大きく二つの意味があります。一つは、『理論』『学説』です。科学や哲学、物理学などの分野において、ある事象を証明するための原理を意味します。概念や原則とも言い換えられるでしょう。
もう一つは、『持論』『自説』です。一般的な原理ではなく、その人の経験から導き出された意見・主張もセオリーと呼ばれます。以下、使い方を例文でチェックしましょう。
【例文】
- 〇〇がセオリーというが、私には全く理解できない
- 「組織力を強くするには、エンゲージメントの向上が重要」というのが彼のセオリーだ
■英語「theory」のカタカナ語
セオリーは、英語の『theory』をカタカナ表記したものです。理論・持論・仮説などの意味があり、以下のように使われます。
【例文】
- Darwin’s theory of evolution(ダーウィンの進化論)
- Theory of Relativity(相対性理論)
- His theory is that drinking coffee before studying improves your
- memory.(勉強前にコーヒーを飲むと記憶力が良くなるというのが彼の持論だ)
theoryの語源であるギリシャ語の『theoria(テオーリア)』には、見ること・眺めること・考察などの意味があります。
ビジネスシーンにおけるセオリーとは?
ビジネスシーンでは、セオリーはどのように解釈されているのでしょうか?ここでは、よく使われるフレーズや具体的な例文を紹介します。これらを理解することで、ビジネスコミュニケーションがより円滑に行えるでしょう。
■「確立された方法」の意味で使われる
セオリーの基本的な意味は理論・持論ですが、現代のビジネスシーンでは『既に確立された方法』『最善の方法・手段』を指すケースが多いでしょう。日本語の『定石(じょうせき)』と同義です。
新規事業の立ち上げにおいては、過去の成功事例を分析し、最適な戦略をセオリーとして確立することが重要です。これにより、短期間で大きな成果を出すことが可能になります。
ビジネスセオリーというと、企業にとって利益となる知識・経験を体系化したものを意味します。素人が自己流で物事を進めるよりも、セオリーを理解した上で行動する方が効率良く進む可能性があるでしょう。
■よく使われるフレーズと例文
効果的な方法や成功パターンを見いだして定着させることを、『セオリーを確立する』と表現します。『〇〇のセオリー』は、特定の分野における定石のことです。
従来のやり方で物事を進める際は、『セオリーに則って』という言い回しが使われるケースが多いでしょう。『セオリー通り』は、既にある方法に従うことを意味します。
【例文】
- セオリーに則って、準備を進めてほしい
- 海外では、日本のマーケティングセオリーが通用しないことがある
- まずはセオリー通りにやってみて、うまくいかなければ解決法を考える
セオリーと混同しやすい用語
セオリーの概念をより深く理解するためには、似た意味を持つ用語との違いを把握することが重要です。用語の特徴や使い方の違いを通じて、セオリーの本質がより明確になるでしょう。
■モットー
モットーは、英語の『motto』が語源です。個人や組織が大切にする行動指針・目標で、『座右の銘』とも言い換えられます。セオリーが理論・方法論を指すのに対し、モットーは日々の行動で心掛けるべき指針を表現したものです。
主に、チームの団結力を高めたり、困難な状況でモチベーションを維持したりする役割を果たします。就職活動の自己紹介では、自分の価値観を簡潔に伝える手段としても活用されます。
セオリーは、特定の状況における、適切な行動の選択を示すのが基本です。一方、モットーはより広範囲な場面で適用される、個人や組織の信念・姿勢を表現するものといえるでしょう。
■マニュアル
マニュアルは、英語の『manual』のカタカナ語で、作業の手順やポイントを体系化した冊子・ドキュメントを指します。
社内にマニュアルがあることで、メンバーは一定のスピードと質を保って業務を遂行できるのがメリットです。特定の人に仕事が集中する属人化も防げます。
マニュアルには、既に確立された方法が記載されているため、セオリーと意味が近いといえるでしょう。ただし、説明書や手引書の意味がある点において、熟練者よりも初心者・新人を対象とする傾向があります。
■ノウハウ
ノウハウとは、英語の『know-how』に由来します。知る(know)と方法(how)の二つの言葉から成る単語で、業務上で得られる技術・経験を指すのが一般的です。
また、機密情報や知的財産といった、技術競争の手段になり得る情報を意味することもあります。ノウハウは、企業の財産であると同時に、他社との差別化につながる強力な武器です。
セオリー同様、ノウハウもビジネスシーンで頻出する用語です。以下の例文で、使い方を覚えておきましょう。
【例文】
- A社の弱みは、独自のノウハウがないということだ
- スムーズに提案ができたのも、先輩が営業のノウハウを教えてくださったおかげだ
セオリーには複数の意味がある
セオリーは、理論・学説を意味します。一般的に認められている原理・原則を指すだけでなく、自分の経験や実践から導き出された持論・自説もセオリーという言葉で表現できます。また、ビジネスシーンでは、既に確立された方法や最善の方法を指すのが通常です。
このように、文脈やシーンによって意味合いが変わるため、例文を通じて使い方を覚えておく必要があります。ビジネスパーソンとして、セオリーの類語とその違いも把握しておきましょう。
構成/編集部