「インプットはしているけど、アウトプットが苦手」と感じる人は多いものです。アウトプットを行うことで、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか?具体例や実践方法を解説します。
目次
アウトプットとは?
アウトプットの本質を理解し、適切な方法で実践することは、ビジネスパーソンに大きな成長をもたらします。インプットとの関係性や、アウトカムとの違いについて理解を深めましょう。
■英語の「output」のカタカナ語
アウトプットは、『output』のカタカナ語です。outputには、収穫・生産・出力などの意味があり、元々は情報技術分野や生産工程でよく使われる用語でした。
例えば、『生産性』とは、投入した生産資源(インプット)に対して、どれだけの成果(アウトプット)が得られたのかを意味します。
ビジネスシーンにおけるアウトプットは、自分が得た知識・経験などを外に向けて表現したり、伝えたりすることを指すのが一般的です。効果的なアウトプットを行うことで、知識やスキルが定着しやすくなるほか、自己成長につながります。
■インプットとアウトプットの関係性
アウトプットは、インプットした情報を外に向けて表現することでもあります。インプットは、入力・入力操作・投入(量)などの意味を持つ英語『input』が語源です。
ビジネスシーンにおいて、インプットは新しい知識や情報、経験を取り入れることを意味します。読書やセミナーへの参加は、インプットの一種といえるでしょう。
効果的なアウトプットを行うには、質の高いインプットが不可欠です。同時に、アウトプットを意識することで、より深い理解と記憶につながるインプットが可能になります。
インプットばかりで行動に移さない『知識偏重』や、逆にアウトプットばかりで新しい情報を取り入れない『経験偏重』では、真の成長は望めません。両者を適切に組み合わせることで、知識と実践のサイクルが生まれ、継続的な成長が可能となるのです。
■アウトカムとの違い
アウトプットと似た言葉に、『アウトカム(outcome)』があります。アウトプットが知識・経験を表現する行為であるのに対し、アウトカムはアウトプットで得られる成果・効果のことです。
プレゼンテーションの実施がアウトプットなら、それによって獲得した新規顧客数がアウトカムです。また、インプットした知識・経験のアウトプットにより、アウトカムが得られるという『インプット→アウトプット→アウトカム』という関係性が成り立ちます。
アウトカムは、過去のデータと比較がしやすく、組織全体の成果を測る指標としても用いられます。
アウトプットの具体例
『書く』『話す』『発信する』は、アウトプットの基本の形です。ビジネス・学習・読書の各分野における、具体例を紹介します。
■ビジネスシーン
アウトプットは、日々の業務の中で実践できます。代表的なものは以下の通りです。
- TODOリストを作成する
- 自分のアイデアを書き出す
- 企画書をまとめる
- 会議で意見を述べる・情報を共有する
- プレゼンテーションをする
- 部下や新人に教える
- 社内勉強会で講師をする
『TODOリスト』が習慣化しているビジネスパーソンは、少なくありません。頭の中にあるタスクを書き出すことで優先順位が明確になり、業務効率が向上します。
ミーティング中のメモ取りも重要なアウトプットの一つです。単に内容を記録するだけでなく、自分の意見や考えを書き留めましょう。
■学習
アウトプットは、学習においても重要な役割を果たします。新しい知識を得た後、それを実践的に活用することで、より深い理解と長期的な記憶が促進されます。
- 学んだ内容を要約する
- 他人に教える
- 教わった内容を文章や図でまとめる
- 仲間とディスカッションをする
- 演習問題を解く
近年は、オンラインディスカッションへの参加や学習ブログの執筆など、デジタルツールを活用したアウトプットが注目されています。語学学習では、ネイティブとの会話や交流が上達の鍵となるでしょう。
■読書
読書は、ビジネスパーソンの思考力を磨くのに最適です。ただ漫然と読むだけでなく、以下のようなアウトプットを意識しましょう。
- 重要なポイントを書き出す
- 内容を要約する
- 日記・感想文を書く
- SNSで本を紹介する
- 読書会に参加する
- 人に感想を話す
おすすめなのが、読書会への参加です。複数人で音読する・感想を述べ合う・好きな本をプレゼンテーションするといった機会を通じて、内容を効率的にアウトプットできます。自分一人では気付けない、新たな視点も得られるでしょう。
アウトプットがもたらすメリットとは?
アウトプットは、大きな価値を生み出す重要な活動です。適切に行うことで、個人のスキル向上や自己成長、さらには周囲からの評価獲得につながります。
■知識やスキルが定着する
新しい知識・技能を学んだ後、それらを実践的に使用することで、より深い理解と長期的な記憶につながるのがメリットです。
例えば、ゼロから業界知識を得ようとする場合、ひたすら資料を読み込む人は多いものです。しかし、資料を眺めて得られる情報は、時間がたつとすぐに忘れてしまいます。
アウトプットは『運動』と同じようなものです。書く・話す・発信するといった行為は、運動神経を使った『運動性記憶』であり、一度覚えると忘れにくいのが特徴です。
資料を読み込んだ後、自分なりの考えをノートにまとめたり、人に話したりすると長期の記憶となり、やがて自分のものとして定着します。
■自己成長が期待できる
インプットだけだと単なる自己満足で終わってしまいますが、適切なアウトプットは自己成長をもたらします。
例えば、アウトプットに対する他者からのフィードバックがあれば、新たな視点や気付きを得られます。自分の理解不足な点や曖昧な部分が明確になり、次のインプットやアウトプットに生かせるでしょう。
定期的なアウトプットは、知識の定着はもとより、思考力・表現力の向上をもたらすのがメリットです。結果として、業務の効率化と品質の向上へとつながります。
■周囲の評価を得られる
優れたアウトプットは、自身の成長を周囲に伝える効果的な手段となります。質の高いアウトプットを継続的に行うことで、周囲の信頼と評価が徐々に高まるでしょう。
例えば、会議での的確な発言や分かりやすい報告書の作成は、同僚・上司からの信頼感を醸成します。新たな業務や重要なプロジェクトを任される機会が増えていき、キャリアアップにつながるかもしれません。
アウトプットの質を向上させることは、マネージャーとしてのキャリアを視野に入れる上でも重要な要素となります。
効果的なアウトプットのコツ
効果的なアウトプットを行うためには、いくつかの重要なコツがあります。これらの方法を日々の業務や学習に取り入れれば、アウトプットのスキルが磨かれるでしょう。
■ゴールを明確にする
目標達成のためのアクションプランを立て、定期的に進捗を確認することで、アウトプットの質と量を着実に向上させられます。アウトプットの目的と、達成したい効果を明確にすることから始めましょう。
ポイントは、漠然とした目的ではなく、具体的で測定可能な目標を立てることです。例えば、『1日1回、学んだことを社内SNSで共有する』といった数値目標を設定すれば、アウトプットの機会を確実に増やせます。
さらに、『顧客対応スキルの向上』『プレゼンテーション能力の改善』など成果を想定することで、より効果的なアウトプットが可能になります。
■思い浮かんだことはすぐにメモする
アウトプットを効果的に行うためのもう一つの重要なコツは、思い浮かんだことをすぐにメモすることです。脳が一度に記憶できる事柄は限られており、良いアイデアが浮かんでも、時間がたてばすぐに忘れてしまいます。
アイデア・気付きをすぐにメモする習慣を身に付ければ、忘れやすい情報を文字として残せるほか、曖昧なイメージを明確化できます。例えば、新商品を思いついた場合は、形・色・大きさなどの詳細を細かくメモしましょう。
ペンとノートがない場合は、スマートフォンでも構いません。重要なのは、その場ですぐにメモすることです。メモの習慣は創造力を高め、アウトプットの質を向上させます。
■インプットする量を増やす
「必要になったときに学べばよい」と考えて、日頃のインプットをおざなりにしている人は少なくありません。
インプットとアウトプットはバランスが重要といわれますが、最初のうちはインプットの量を増やすことを意識しましょう。専門書を読む・セミナーに参加する・業界ニュースをチェックするなどの方法を通じて、自分の中の『素材』を増やすのです。
日頃から質の高い情報を積極的に取り入れることで、アウトプットの量・質ともに徐々に向上します。忙しいビジネスパーソンは、1日のうちでインプット・アウトプットに費やす時間・タイミングを決めておくのもよいでしょう。
■SNSを効果的に活用する
SNSは、アウトプットの質と量を向上させる有効な手段です。プラットフォームを使い分けることで、多様な形式でのアウトプットが可能になります。
例えば、X(旧Twitter)は、日々のつぶやきを気軽に投稿できます。YouTubeの動画で、学んだことをシェアするのもよいでしょう。
SNSでのアウトプットは、他者からの即時フィードバックを得られるのも大きな利点です。コメントやいいねを通じて、自身の考えや表現方法の改善点を把握できます。
また、自分とは異なるタイプの人とつながることで、新たな知識や視点を得られ、さらなるアウトプットの機会が生まれます。ただし、個人情報や機密情報の漏えいにつながらないように、投稿内容には十分注意を払いましょう。
社会人には継続的なアウトプットが不可欠
アウトプットは、学んだ知識・経験を外部に表現する行為であり、理解の深化やスキル向上にプラスの効果をもたらします。ビジネスシーンでは、プレゼンテーションやレポート作成がアウトプットに当たります。
近年は、SNSやブログによる新たなアウトプット手段も登場し、より多様な形態で知識・意見を共有できるようになりました。インプットとアウトプットを継続的に行うことで、個人の成長やキャリア発展につながる可能性が高まります。
構成/編集部







DIME MAGAZINE















