
「やる気のある無能」は、ドイツのゼークト氏の「組織論」に由来する言葉で、現代社会でも問題視されています。このタイプの人は自己判断で仕事を進め、ミスを認めず、効率が悪く、報告・連絡・相談をしない特徴があります。情報共有環境の構築や積極的なコミュニケーションが有効です。
CONTENTS
「やる気のある無能」という言葉を知っていますか?
所説はあるものの、ドイツの軍人のゼークト氏が提唱した「組織論」が由来だとされています。「組織論」とは兵士の役割を4つに分けたもので、その4つの中で一番やっかいだとされていたのが、「やる気のある無能」なのです。
その「やる気のある無能」は現代社会においても、会社組織の中でもっとも問題視されているやっかい者だと言われています。現代社会での「やる気のある無能」とは、自分の考えが正しいと思い込み、自らの考えだけで行動に移してしまう人のことを指します。周囲は大きな迷惑をかけられることもあり、管理職としても扱いにくいタイプと言えるでしょう。
この記事では、「やる気のある無能」によく見られる特徴や、アプローチ方法をご紹介します。
「やる気のある無能」によく見られる特徴
「やる気のある無能」と思われるタイプの人には、よく見られる特徴があります。
日本では、長時間労働を美徳され、やる気という仕事に対する姿勢が評価される傾向があります。そのため、やる気をもって熱心に働くことで評価されることが多々起こってしまうのです。それが「やる気のある無能」を生んでしまう原因とも言えます。
ここでは、「やる気のある無能」タイプの人にどのような特徴があるのか見ていきましょう。
1.自己判断で仕事を進める
「やる気のある無能」タイプの人は、特徴の冒頭で触れたように評価されてきた可能性もあり、自信家な人が多いとされています。なので、自分の仕事のやり方が正しいと思い、周囲に相談することなく自己診断で仕事を進めてしまう傾向があります。
その自己判断が正しければいいのですが、“無能”とされている人なので誤っている場合が多く、周囲が巻き込まれてしまうことも多いでしょう。
2.ミスを認めない・何度も同じミスを繰り返す
1.で取り上げたように、自信家な人が多いので、自分のミスを簡単には認めないという特徴があります。また、ミスしても反省も学習もしないため、何度も同じミスを繰り返します。
同僚からのアドバイスも上司からの注意も受け入れないので、やっかい者と認定されてしまうことも。
3.仕事の効率が悪い
一生懸命仕事をすることが正しいという考えを持っていることが多く、目の前の仕事をやる気を持って一生懸命取り組みます。この一文だけだとそこまで悪いことではないように感じるかもしれませんが、“目の前の仕事”というところがダメなポイントです。
仕事は優先順位をつけて、効率よくこなすことが大切です。しかし、「やる気のある無能」タイプの人はそれができません。時間をかけた割に成果が出ていないということも多いのです。
4.報告・連絡・相談をしない
自己流の仕事のやり方が正しいと思い込んでいるので、報告・連絡・相談をしないこともしばしば起こります。
この特徴を持つ人と一緒に仕事をしていると、問題が発生しても気づかないまま、もう取り返しがつかないレベルになってしまうことも起こります。大きなミスが発生することはチームの士気を下げることにもつながってしまいます。
5.仕事を抱え込む
自分の仕事のやり方に自信があるので、他人に任せるよりも自分でやったほうがいいという考えを持っています。また、多くの仕事を抱えることは、周囲から認められている証だと認識している場合もあります。
しかし、仕事の優先順位や効率を考えないので、結局手に負えなくなって周囲に迷惑をかけてしまうことも多いでしょう。
「やる気のある無能」へのアプローチ方法
上記のような特徴を持つ「やる気のある無能」タイプの部下に手を焼いている管理職も多いはず。最後に、アプローチ方法をお伝えします。
1.情報共有する環境を作る
特徴で説明した通り、このタイプの人は仕事の進捗や状況などの情報を共有することが苦手です。なので、情報共有することを業務の1つとして取り入れましょう。チャットツールや情報共有ツールを導入したり、スケジュールを決めてミーティングの機会を設けることが有効です。
2.積極的にコミュニケーションを取る
コミュニケーションを積極的に取ることで、何か困ったときに相談しやすい環境を作ることができます。
コミュニケーションによって信頼関係が構築されていくことで、こちらの意見に対して耳を傾けてくれる可能性もアップします。そのときには改善点だけではなく、褒めるポイントも見つけて一緒にフィードバックするようにしましょう。部下の仕事に対するモチベーションを低下させないことも上司の務めの1つです。
3.目標を共有する
このタイプの人は仕事に優先順位をつけることが苦手です。なぜ苦手になるかというと、各仕事の目標という基準が明確ではないからです。仕事の方向性を明らかにすることで、取り組むべき仕事が明確になります。それによって、自己判断で突っ走ってしまうことや、業務に時間をかけすぎるという効率が悪さを改善することが期待できます。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理・福祉の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
巻き込み力は社会人にとって重要なスキルの1つだと言われています。巻き込み力を高められれば、同僚や部下など多くの人の協力を得ることができ、成果を上げることが可能に...
早期発見がポイント!部下のメンタル不調のサインを見つける方法
仕事をしていく中で、ストレスはつきものです。さまざまなストレスに晒され続けることでメンタル不調になってしまう人も少なくありません。 メンタル不調は深刻化してしま...
部下に頼んだ仕事がなかなか終わらない。そもそも進捗の報告すらない。 そんな状況になったとき、上司であるあなたはイライラした気持ちを隠しつつ、部下に「あれ、どうな...