日本の多くの企業では、稟議が意思決定の重要なプロセスとなっているが、その運用には非効率や課題が潜んでいる。特に、紙やメールでのやり取りが主流の環境では、承認に要する時間や確認漏れが発生しやすく、業務全体のスピードを低下させる一因となっている。
こうした背景から、弁護士ドットコムは、契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン(R)」の利用者312名を対象に、契約締結の前段階である「社内稟議」に関する実態調査を実施し、その結果を発表した。
稟議承認までの所要時間、1日以上が約7割、約半数の企業が「2〜3日」と回答
「申請から承認完了までにかかる所要時間」を尋ねたところ、最も多かったのは「2〜3日」が52.5%、次いで「1日以内」が19.3%、「4〜5日」が14.4%となった。その中で、「1日以内に終わる」の割合が26.5%、「1日以上かかる」の割合が73.5%となっている。
稟議手段の80.1%がデジタル、「紙とハンコ」は7.4%
「稟議の手段」を尋ねたところ、最も多かったのが67.6%で「ワークフローシステムを利用している」となった。次いで「メールやチャット」が12.5%、「紙とハンコ」が7.4%、「稟議の仕組み自体がない」が4.5%となっている。
中堅企業8割強が「ワークフローシステムを導入している」と回答
稟議のワークフローシステムを導入している企業について、企業規模ごとに並び替えたところ、最も多かったのは「501〜1,000人の企業」が93.3%、次いで「1,001人以上の企業」が86.3%、「101〜500人の企業」が80.8%となった。
約6割が稟議申請の仕組みに課題を感じている
「所属組織の稟議の仕組みについて課題があると思うか」と尋ねたところ、「ある」「多少ある」を選んだ回答者は65.2%となった。また、「ない」「あまりない」を選んだ回答者は18.8%となっている。
具体的な課題を複数回答で尋ねたところ、「承認完了までに関わる人が多すぎる」が最多の41.0%となった。また、「稟議書作成前の相談や根回しに時間がかかる」が35.9%、「稟議書の作成が必要となる対象範囲が広すぎる」が31.6%と続いた。
この他にも「稟議書の記載事項が細かすぎる」など、手続きの煩雑さを指摘する声が上位を占める一方で、「上司や他部署のチェックが甘すぎる」「稟議書の記載事項が大雑把すぎる」など、手続きのゆるさを問題視する声も目立った。
<調査概要>
調査機関:プロフェッショナルテック総研(弁護士ドットコム株式会社内)
調査方法:クラウドサイン利用者にウェブアンケートを実施
調査対象:クラウドサイン利用者で回答が得られた312名
調査期間:2024年9月25日〜10月31日
出典:弁護士ドットコム株式会社
構成/こじへい