近年、新しい働き方としてリモートワークが普及している。本記事では、在宅でもできる職種や、リモートワークのメリット・デメリット、注意点などを具体的に解説する。
目次
ひと昔前、仕事といえば決まった時間に出社して社内で行うものだった。しかし、現在は時間や場所にとらわれないリモートワークを選択できる企業も多く、働き方の多様化が進んでいる。
本記事では、リモートワークの概要と向いている職種について詳しく解説する。リモートワークに取り組む上で理解しておきたいメリット・デメリットや注意点も紹介するので、リモートワークを始めたい方は参考にしてほしい。
リモートワークとは?正社員でも在宅勤務できる?
リモートワークとは、インターネットを活用し会社に出社せずに業務にあたる働き方だ。正社員でもリモートワークが可能な企業もあり、多くの企業で柔軟な働き方が認められている。
まずは、リモートワーク普及の背景と現在のリモートワーカーを取り巻く環境について理解を深めよう。
■リモートワークの普及率は?コロナ禍で大手企業を中心に定着
リモートワークが広く普及したのは2020年から。新型コロナウイルスの流行で、外出や人が集まることが避けられたためだ。総務省が行った令和4年通信利用動向調査によると、日本企業のリモートワーク導入率は5割を超えている。
コロナ禍を経て、現在はリモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークが増加傾向にある。
■リモートワークとテレワーク・在宅ワークの違い
リモートワークは、「remote(遠隔)」と「work(働く)」を組み合わせた造語だ。オフィスから離れた場所で働くことを指すが、テレワークや在宅ワークと違いはあるのだろうか。
結論から言うと、リモートワークとテレワークに明確な違いはない。テレワークは、コロナ禍以前より国の公的機関などを中心に使われていた言葉で、「tele(遠隔)」と「work(働く)」を組み合わせた造語。厚生労働省による定義としては「本拠地のオフィスから離れてICTを使って仕事をすること」であり、リモートワークと同義だ。
一方、在宅ワークは、文字の通り作業場所を自宅に限定している。リモートワークやテレワークに含まれる働き方の一つという位置づけだ。
■リモートワークボックスやホテルのデイユースを利用する人も
リモートワークが普及する以前にも、例えば移動中の新幹線の車内や外回り中のカフェなどで、一時的にパソコンを開いて仕事をする人の姿はしばしば見られた。しかし、コロナ禍ではより多くの人が、より長い時間作業ができる空間を求めた。
自宅にワークスペースを設けた人も多かったが、リモートワークボックスやホテルのデイユースプランも充実し、現在ではさまざまな選択ができるようになっている。
■リモートワークは廃止になりつつある?
コロナ禍に世界的に普及したリモートワークだが、GoogleやAmazonなど海外の大企業では廃止の流れも起きている。理由は、コミュニケーション不足などによる生産性の低下や、工場や店舗スタッフなどリモート勤務ができない社員との公平性を保つためなどが挙げられる。
日本でも、導入していたリモート制度を見直すようになった企業は多い。しかし、若い世代を中心にリモート制度の継続を望む声も一定数あり、従業員のニーズや業務の特性に応じてハイブリッド型の勤務形態を採用する企業も増えてきている。
リモートワークに向いている職種は?求人情報の傾向をチェック
リモートワークは主にインターネットを利用して業務にあたるため、可能な職種が限定される。ここでは、リモートワークに向いている職種を具体的に紹介しよう。
■システムエンジニア
システムやソフトウェアの開発を行うシステムエンジニアは、リモートワークを代表する職種の一つだ。パソコンとインターネット環境があれば大半の作業が可能なため、リモートワークと相性が良い。専門知識が必要な職種だが今後も需要が見込まれる業界のため、求人情報も多い。
■Webデザイナー・Webライター
Webデザイナーの業務内容は、主にWebサイトのデザインや設計だ。専用のツールが充実しており、パソコンでの作業が主である点もリモートワーク向き。資格や免許は不要だが、センスやテクニックが求められるクリエイティブな仕事だ。
Webライターは、Webメディアなどの記事を執筆する。コラム記事やニュースの作成、メールマガジンなど文章コンテンツの種類はさまざま。近年ではインタビュー取材もリモートで可能になり、在宅でライターを始める人も多い。
■翻訳・英語を活かせる職業
翻訳をはじめとした英語を活かせる職業も、リモートワークが可能。翻訳は原文のデータを基に文章を作成し、提出する。英語力とパソコンがあればどこでも仕事ができる。その他にも英会話教室のオンライン授業講師や海外企業への営業スタッフなど、選べる業種もさまざまだ。
■一般事務
データ入力やメール対応、資料や書類の作成が主な業務である事務も、リモートワークに向いている。パソコンと、必要なソフトやシステムにアクセスできる環境があればリモートで仕事が可能だ。来客対応やオフィスに届いた書類の確認など、リモートでは難しい業務もあり、出社が必要な場合もある。
■オペレーター・アポインター
オペレーターやアポインターは電話やメール、チャットでの顧客サポートが主であるため、リモートでも業務ができる。電話対応をする場合は、外の音が入らない静かな環境であることが理想だ。
リモートワークのメリット・デメリット
リモートワークに取り組むにあたり、メリットとデメリットについて確認しておこう。この章では、ワーカーにとってのメリット・デメリットを紹介する。
■リモートワークのメリット
リモートワークには、以下のようなメリットがある。
- 通勤時間が不要、もしくは短縮される
- 子育てや介護をしながらでも働きやすい
- 社内の人間関係の悩みが減る
自宅で仕事ができるため、通勤に時間を取られないのは大きなメリットだ。都市部に通勤している場合など通勤時間が長く、プライベートな時間の減少や身体の疲労が深刻な方も多いだろう。
リモートワークは通勤時間がかからないため、勤務外の時間をより有効に使えるようになる。時間や場所にとらわれず柔軟に働けるため、子育てや介護など家庭の事情がある人にとってもメリットが大きい。
また、リモートワークでは社員間において業務外の会話や飲み会などの機会が減るが、それをメリットと捉える人も一定数存在する。職場での人間関係に悩んだ経験のある人にとっては、一人で作業に集中できるリモートワークの方が、ストレスが少ない場合もあるだろう。
■リモートワークのデメリット
リモートワークのデメリットには、次のような点が挙げられる。
- コミュニケーション不足になる
- 在宅だと作業に集中しづらい
リモートワークは一人で作業ができる一方で、社員間のコミュニケーションが取りづらいとも言える。社員間の交流が円滑に進まず、作業効率に影響する場合もあるだろう。社内であればちょっとした会話で解決する疑問や確認事項なども、メールや電話での問い合わせが必要になる。
また、リモートワークのデメリットとして、プライベートな空間では気を引くものが多く、オンとオフの切り替えが難しいという意見も多い。
リモートワークの注意点
ここからは、リモートワークの注意点について詳しく解説する。これからリモートワークを始める人や現状より効率よく業務を進めたい人は、リモートワークの注意点を理解して自身のワークスタイルに活かしてほしい。
■在宅でも仕事に集中できるデスク環境を整える
先述したように、リモートワークは在宅の場合の作業効率低下が懸念される。自宅にワークスペースを設ける際には、仕事に集中できるデスク環境を整えることが重要だ。
リモートワークにおすすめのデスクの特徴
リモートワークに適したデスクを選ぶ場合、次のようなポイントを考慮すると良い。
- 十分に作業できる広さがある
- 良い姿勢を保てる
- 自室にマッチしたデザイン
- 整理整頓しやすい
- 高さの調節や移動が容易
作業スペースが確保できることや、必要な収納力を確認した上で、自室に合ったサイズやデザインのデスクを選ぼう。スタンダードなデスクは選択肢が多く、L字型デスクは限られたスペースでも配置しやすい。昇降式デスクは立ち作業に便利でローデスクは楽な姿勢で作業できるなど、それぞれのタイプにメリットがある。
便利アイテムを取り入れる
快適なデスク環境を維持するために、デスクの掃除グッズや収納アイテムを利用しよう。ノートパソコンスタンドや機能性の高いマウスなど、作業効率向上が期待できるアイテムの活用もおすすめ。
■タスクや時間割を明確にして自己管理する
オフィスと変わらない生産性でリモートワークを継続するには、自己管理が重要。自宅では家族がいたり他にしたいことを見つけてしまったり、集中力を欠いてしまいがち。1日にやるべきタスクを決める、時間で区切って作業をするなど、工夫が必要だ。
■会社とのコミュニケーションを取る
リモートワークは社員間のコミュニケーションが希薄になり、業務にも影響が出る可能性がある。報連相は欠かさず、チャットツールやビデオ会議を活用して協力体制を整えよう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部