このスキルを持っていると地方副業で活躍しやすい!
トップ3の案件を知り、「これならやれる」と思った人もいるかもしれない。ではスキルに関するニーズはどうか。鏑木氏は次のように回答する。
●マーケティング・PR/営業・販路拡大
「マーケティング・PR、営業・販路拡大の知見・実務経験を持つ人材は活躍傾向にあります。特に近年、デジタル化が進んだことを背景に、オンライン上での販売や新たな顧客獲得に向けてデジタルマーケティング・PR・広報に着手するケースが増加しています。同領域においてアドバイスだけではなく、実務作業も併せて行うことができる人材は引き合いが多い傾向にあります」
●人事・採用・人材開発
「人事・採用・人材開発の知見や実務経験を活かして、地域企業に貢献している人材も多くいます。自社社員採用強化のための“採用ブランディング”をはじめ、既存社員のパフォーマンス向上やエンゲージメント強化のためのニーズも高い傾向にあります。本領域においてもアドバイスだけではなく、実務作業も併せて行うことができる人材の引き合いが多い現状です」
その他、「自分の得意分野を言語化し、課題解決方法を提案する力」「コミュニケーション能力」「結果を出すための行動力」などのスキルを持っていると、地方副業で活躍しやすくなるという。
地方創生や貢献の思いが強い人のおすすめの働き方
特に「地方」という点に惹かれる人もいるだろう。自身の故郷への思い入れが強かったり、地方創生に関わることで自己実現を果たしたかったりする人は、地方への貢献意欲が強いと考えられる。そんな人におすすめの案件の例と働き方とは?
案件に関しては、地元の旅館や飲食店、工務店、メーカーなどがおすすめだという。
例えば、山形県の「ホテルシンフォニー」では、コロナ禍による売上の落込みの回復のために、企画と実務のできる人材確保が急務であった。そこで「地元の魅力を発信する企画立案支援」を担う人材を、週4時間程度リモートにて活用開始。マッチングしたのはマーケティング、商品開発、DX支援の仕事を本業とする人材だった。地域の魅力を掘り起こし、SNSなどを活用して旅館をアピールした。コロナ危機からの回復支援のほか、地元の魅力を掘り起こすという地域創生にもつながった事例だ。
また、広島県のオタフクソース株式会社の事例がある。同社はサプライチェーンマネジメントの再構築の課題を抱えており、知見と実行力のある人材を募集し、業務委託を行った。マッチングしたのは、大手飲料メーカーでサプライチェーン構築を成功させた経験を持つ人材。経験とスキルはもちろん、中国地方出身者であったことも、マッチングが実現した理由であった。
その他、山形の地産地消の特産品を大事にする飲食店におけるSNSでの情報発信による集客支援の事例や、京都での地域活性化を目指した工務店による古民家再生のサポート事例などがある。
働き方の形態として、マーケティング・PR職の例でよく見られるのは、リモートで1~3ヶ月間、月10~30時間程度の活動。報酬は月額5万円から。本業の合間を縫って働くことができそうだ。
地方創生が求められる今、地方副業はこれからさらに活性化していくことだろう。特に地方に対して思い入れの強い人は、本業以外の収入はもちろん、貢献という観点からも満たされるのではないだろうか。
取材・文/石原亜香利