
UI/UXは、それぞれユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスを意味します。製品・サービスの顧客満足度に直結するため、ユーザーの視点に立ってデザインすることが大切です。
目次
UI/UXとは
UI/UXは、製品・サービスの成功に不可欠な要素です。まずは、UIとUXの定義やそれぞれの特徴、重要性について確認しておきましょう。
■UIとはユーザーインターフェースの略
UIとは、User Interface(ユーザーインターフェース)の略称で、ユーザーと製品・サービスをつなぐ接点のことです。具体的には、Webサイトやアプリの画面デザイン・ボタンの配置・メニューの構成など、ユーザーが直接操作する部分全てを含みます。
使用されている画像や、フォントの色・種類なども含まれるため、見た目の良さを重視するものだと思われがちですが、実際はそれだけではありません。
製品・サービスの使いやすさに大きく影響するものなので、ユーザーが迷わずに目的の操作を行えるようデザインすることが大切です。
■UXとはユーザーエクスペリエンスの略
UXとは、User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略で、『ユーザーが製品・サービスの利用を通じて得られる体験』のことをいいます。
例えば、Webサイトなら『欲しい情報を見つけやすい』『画面の切り替わりが速い』などがUXです。製品・サービスの利用中だけでなく、利用前・利用後に得られる体験もUXに含まれます。
また、Webサイトやアプリなど、デジタルの製品・サービスだけに関わるものではありません。飲食店などでの接客やインテリアなどによって、ユーザーが得られる体験もUXになります。
■UI/UXが重要な理由
UI/UXは、顧客満足度に直結する重要な要素です。例えば、直感的で使いやすい製品・サービスは、顧客のロイヤリティ向上につながります。
そのため、市場での優位性を得るには、いかに使いやすさや魅力的な体験をユーザーに提供できるかが肝心です。また、デジタルの普及により、ユーザーが製品・サービスを選ぶ方法も多様化しました。
ユーザーの価値観も『モノ消費』から『コト消費』へと変化しており、単に良いものを提供するだけでは十分な顧客満足度は得られません。ユーザーに快適な体験を提供するためには、製品・サービスにたどり着くまでの過程も考慮したUI/UXが鍵となります。
UI/UXデザインの設計ポイント
優れたUI/UXを、デザインするためのポイントを知っておきましょう。ここでは、代表的な三つのポイントについて詳しく解説していきます。
■ユーザー視点になる
まず、ユーザーの視点に立って考えることが重要です。どんなに見た目がおしゃれでも、視認性・操作性が悪ければ、ユーザーにとって使いやすいデザインとはいえません。
ユーザーの行動や思考を深く理解し、ニーズに合わせてデザインすることが必要です。年齢や性別だけでなく、職業・趣味・ライフスタイルなど、ターゲットとするユーザー像を描いてみましょう。
また、使用環境を想定することも大切です。例えば、使用するデバイスがスマートフォンとパソコンでは、求められるUI/UXが異なります。常にユーザーを中心に考えることで、より魅力的で使いやすいデザインが実現できるでしょう。
■目的やゴールを明確にする
デザインの基本的な目的は、ユーザーが迷わずに使えることです。しかし、製品・サービスによって、最終的なゴールは変わります。
例えば、アプリならダウンロード数を増やす、ECサイトなら商品の売上を伸ばすなどさまざまです。それぞれのゴールによって、『ボタン一つでアプリをダウンロードできる』『ワンクリックで商品の説明が表示される』など、求められるデザインも変わるでしょう。
具体的なゴールを明確にしておくことで、デザインの方向性が定まり、改善のサイクルを効果的に回せます。
■実装前に検証をする
実装前に、しっかり検証を行うことも重要です。ターゲット層と同じ条件のユーザーにプロトタイプを利用しもらう『ユーザビリティテスト』を行うのがおすすめです。
デザインにあたっては、ユーザーの立場に立つのが基本ですが、つい制作側の視点が入ってしまうことも少なくありません。実際にユーザーに利用してもらった反応を見ることで、デザインの問題点・改善の必要な部分が見えてきます。
実装前にこうした検証をすることで、大きな手戻りを防ぎ、ユーザーにとってより使いやすいデザインを実現できるでしょう。
UI/UXデザイナーに必要なスキル
UI/UXデザイナーには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。以下で、主なスキルを三つ挙げて紹介します。
■デザインの基本知識
ユーザーにとって使いやすいインターフェースを作るためには、デザインの基本知識が不可欠です。色彩理論やタイポグラフィ、レイアウトの原則など、グラフィックデザインの基礎を理解しておくことが求められます。
また、デザインに必要なソフトウェアの操作スキルも身に付けておきましょう。Adobe IllustratorやPhotoshopなどの基本的なツールに加えて、Figma・Adobe XD・Sketchなども使いこなせるようになっているのがおすすめです。
UXのデザインには、これらのツールを使わないことも多いかもしれませんが、チーム内でのアイデアの共有などに役立つでしょう。
■マーケティングに関する知識
ユーザーのニーズを的確に把握し、効果的なデザインを生み出すためには、市場調査や分析といったマーケティングの知識も必要です。
例えば、UI/UXをデザインする際に重要となるペルソナの設定は、マーケティングの基本的な施策でもあります。
また、アンケートやフィールド調査などのマーケティングリサーチで得たデータを分析することで、ユーザーが求める『良い体験』の提供が可能になります。マーケティングの知識を身に付けていれば、データを基にした効果的なデザインが実現できるでしょう。
UI/UXデザインを学ぶ方法
UI/UXデザインを学ぶには、さまざまな方法があります。実践的なスキルを身に付けるための、主な方法を三つ紹介します。
■スクールで学ぶ
スクールに通って学ぶのも一つの方法です。スクールでは、講師から直接指導を受けられるため、疑問点があったときでも素早く解決できるというメリットがあります。また、同じ目標を持つ仲間が周りにいるので、モチベーションを維持しやすいでしょう。
スクールを選ぶ際は、自分の学習スタイルに合った環境か確認することが大切です。通学が難しい場合は、オンラインスクールで学ぶという方法もあります。
転職を考えている人は、サポートが充実しているか事前にチェックしておくと安心でしょう。スクールでの学習は費用がかかりますが、デザインについて体系的に学びたい人にはおすすめです。
■資格を取得する
資格を取得しておくのもよい方法です。UI/UXデザインに役立つ代表的な資格には、以下のようなものがあります。
- Google UX Designプロフェッショナル認定:UXデザイン専門の資格。約6カ月のオンライン講座を受講するとGoogle認定の証明書を取得できる。
- ウェブデザイン技能検定:Webデザインに関する国家検定。1〜3級まで。1級・2級の受験には実務経験が必要。
- Webクリエイター能力認定試験:民間資格。スタンダードとエキスパートの2種類。Webサイト制作のデザイン能力やコーディング能力が認定される。
資格を取得しておくと、転職などで有利になる可能性があります。特に実務経験が浅い人にとっては、自身のスキルを客観的に証明する有効な手段となるでしょう。
■既存のデザインをトレースする
実践的なスキルを身に付けたいときは、優れたデザインをトレースするのが効果的です。トレースとは、Web上にアップされているサイトが、どのようにデザインされているのかを見てみることをいいます。
さらに、なぜそのようなデザインになっているかを分析することで、ユーザーにとって魅力的なUI/UXとはどういうものかを学べます。
トレースには、デザインに定評のある企業のサイトなどを選ぶのがおすすめです。優れたデザインをトレースすることで、なぜ高い評価を得ているのかが分かるでしょう。
UI/UXの重要性を知っておこう
UI/UXは、ビジネスの成功にとって重要な要素です。優れたUI/UXは、単なるデザイン要素ではなく、ユーザーの満足度や信頼を築く基盤となります。
使いやすく快適な体験を提供することで、顧客のロイヤリティが向上し、競争の激しい市場で優位性を確保できるでしょう。
特に、ユーザーの価値観が『モノ消費』から『コト消費』へと変化する現代において、良い体験の提供は欠かせません。UI/UXの重要性を理解し、常に改善を続ける姿勢が、ビジネスにおける長期的な成長につながります。
構成/編集部