相互尊重とは
良好な人間関係は、相互尊重によって成り立つといってもよいでしょう。どのような考え方なのか、具体的に解説します。
■相手も自分も受け入れること
相互尊重とは、互いの考え・価値観や立場を認め合い、大切にし合うことをいいます。人はそれぞれ異なる背景や経験を持っており、考え方や感じ方も多様です。
そうした互いの違いを理解し、自分の価値観を押し付けるのではなく、相手の意見にも耳を傾ける姿勢を持つことが必要です。また、相互尊重は単に相手を受け入れるだけでなく、自分自身を大切にすることも含まれます。
自他を尊重することで、対立や偏見を減らし、バランスの取れた関係性の実現が可能になるでしょう。
■相互尊重が重要な理由
相互尊重も、良好な人間関係の維持にとって不可欠です。相互尊重によって、双方が対等な立場でお互いを認め合い、共通の理解を深めることができるでしょう。
また、組織内の『心理的安全性の向上』にもつながります。互いに尊重し合う環境では、安心して意見を述べられる関係性が築きやすくなるためです。
メンバー同士の間に信頼感が生まれて、新しいアイデアなどを出しやすくなり、創造性や生産性が向上します。
逆に、互いに対する尊重が欠けると誤解・対立が生じやすくなり、関係の悪化を招く可能性があるでしょう。職場では、従業員の満足度や定着率にも影響します。
■相互尊重の高め方
相互尊重を高めるには、相手の行動に対して前向きにフィードバックすることが効果的です。相手の話を聞いたら、「面白い考え方ですね」など、肯定的な言葉を添えるのもよいでしょう。相手の考え・価値観を認めていることを、分かるように伝えます。
また、相手に対する感謝の気持ちを言葉で伝えることも大切です。「ありがとう」という一言は、相手の存在価値を認める強力なメッセージになります。
加えて、自己尊重と他者尊重のバランスも意識しましょう。自分の意見を適切に伝えつつ、相手の考えも受け入れることで、互いに尊重し合う関係が築けます。
アサーティブ・コミュニケーションとは
相互尊重を意識したコミュニケーションの手法を、アサーティブ・コミュニケーションと呼びます。この手法を身に付けることで、職場での人間関係や生産性の向上が期待できます。
アサーティブ・コミュニケーションの具体的な方法やメリット、実際の活用例について見ていきましょう。
■相互に尊重したコミュニケーション方法
アサーティブ・コミュニケーションは、相手の考えを尊重しながら、自分の意見や感情を適切に伝える方法です。『アサーティブ』には、『積極的』『自己主張』といった意味がありますが、ただ自分の意見を攻撃的に押し通すことではありません。
対立を避けるために受け身になって、自己の意見を控えることとも異なります。互いの権利を尊重しつつ、対等な関係を築くことを目的としたコミュニケーション方法です。
■アサーティブ・コミュニケーションのメリット
アサーティブ・コミュニケーションには、さまざまなメリットがあります。まず、チーム内のコミュニケーションが活性化されて、風通しの良い職場環境が構築されるでしょう。
生産性向上の面でも、効果を発揮します。チームワークの強化や適切な業務分担につながり、効率的な仕事の進め方が可能になるためです。
また、個人のメンタルヘルスにも良い影響を及ぼすといわれています。自分の意見や気持ちを率直に伝えられることで、職場に対するストレスが軽減し、より生き生きと働けるようになるでしょう。
■アサーティブ・コミュニケーションの活用例
アサーティブ・コミュニケーションを活用するには、誠実・率直・対等・自己責任の四つを意識することが大切です。
- 誠実:相手に対して誠実な態度や言葉遣いを心がける
- 率直:感情的にならず自分の意見として率直に述べる
- 対等:お互いに対等な関係で意見を交わし合う
- 自己責任:結論に対しては自分にも責任があると自覚する
これらを意識することで、相手を傷つけずに自分の意見を伝え、互いにとってより良い結果を導き出せます。
例えば、対応が難しい仕事を依頼された場合に「忙しいので無理です」とぶっきらぼうに断ったり、断り切れずにしぶしぶ引き受けたりするのは、アサーティブ・コミュニケーションとはいえません。
相手の要望を受け入れつつ自分の意見を述べるには、「今日は忙しいので難しいですが、明日なら対応できます。それでいかがでしょうか」と伝えます。
自己や他者を尊重し良好な人間関係を築こう
尊重とは、相手の価値や権利を認め、大切にする態度を指します。相手の立場や優れた点を評価するのではなく、良い面も悪い面も含めたありのままを認めることです。
また、他者だけでなく、自己も尊重の対象となります。自分には価値があると認識することで、自身の成長や幸福感につながるだけでなく、他者に対する尊重の姿勢を持てるようになるでしょう。
互いに相手を認め合う相互尊重は、アサーティブ・コミュニケーションにもつながります。相手の考えを尊重しながら自分の意見を適切に表現することで、お互いに不快な思いをしない円滑なコミュニケーションが可能になります。
構成/編集部