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リテラシーとは、単に知識を得るだけでなく、その知識を実際の行動や意思決定に生かす能力を指す言葉として、ビジネスシーンで重要な概念だ。本記事では、基本的な意味や種類、リテラシーを高めるポイントを紹介する。
目次
「リテラシー」と聞くと、何となく「情報を正しく扱う力」と思い浮かべる人は多いかもしれない。しかし、実際には「リテラシー」と呼ばれるものには情報やITだけでなく、金融、メディア、ビジネスなど多岐にわたる種類が存在する。
本記事では、リテラシーの基本的な意味やビジネスにおいて必要となるリテラシーの種類、低い場合のリスクや高めるメリットなどを解説する。
リテラシーとは?基本的な意味をわかりやすく解説
「リテラシー」は、もともと「読み書きの能力」を示していたが、現代では「特定の分野に関する知識やスキルを活用する力」といった広義の意味で使われることが多い。
ここでは、リテラシーという言葉の成り立ちや、ビジネスシーンでどのようなリテラシーが求められるのかを探ってみよう。
■リテラシーの成り立ちと現在の使われ方
「リテラシー(literacy)」は英語で「読み書きの能力」を意味し、もともとは「文盲でない状態」を示す言葉だった。しかし時代の変化とともに、特定の分野における知識や活用能力を広く示す用語として使われるようになった。
例えば、コンピュータやインターネットの利用が当たり前になった今、「ITリテラシー」や「情報リテラシー」が注目されている。また、金融や健康、あるいはビジネス上で必要とされる基礎能力を「○○リテラシー」と呼ぶケースも増えており、現代社会で重要な概念だ。
■ビジネスで求められるリテラシーとは
ビジネスパーソンとして活躍する上で、「情報・ITリテラシー」や「金融リテラシー」、「ビジネスリテラシー」が特に重要視されている。これらのリテラシーを高めることが、企業や個人の競争力を維持する上で大きな意味を持つ。
リテラシーの代表的な種類とは?
リテラシーは、情報やIT以外にも多くの分野で使われている。ビジネスシーンでは、こうしたリテラシーの有無が成果や信頼を左右する場面も少なくない。ここでは、代表的なリテラシーの種類とその概要を整理してみよう。
■情報リテラシー・ITリテラシー・メディアリテラシーなど
まずは、近年特に重視されている次のリテラシーから紹介する。
- 情報リテラシー:必要な情報を検索・収集し、その正誤や価値を判断して活用する能力。SNSなどでの虚偽情報が問題となる中、情報の真偽を見極める力が重要になっている。
- ITリテラシー:パソコンやスマートフォン、クラウドサービスなどのITツールを使いこなし、業務効率化や新しいビジネスモデルの創出につなげる力。セキュリティやネットのマナーも含めた総合的な能力を指す。
- メディアリテラシー:テレビ、新聞、ラジオ、Webメディアなどから発信される情報を鵜呑みにせず、どのような意図や偏りがあるかを分析する力。大量の情報に囲まれる現代において、自分で情報を精査する能力が求められる。
■金融リテラシーやビジネスリテラシーの重要性
次に、ビジネス面でも大きなインパクトを持つ以下のリテラシーを挙げたい。
- 金融リテラシー:お金に関する基礎知識や投資判断、資産運用、ローン・保険などの仕組みを理解し、賢い経済活動を行う力。企業の経営判断にも深く関わる。
- ビジネスリテラシー:社会人基礎力とも呼ばれ、コミュニケーションやロジカルシンキング、問題解決力などを総合的に指す。組織内外とのやり取りが頻繁なビジネスパーソンにとって欠かせない。
このように、リテラシーは分野ごとに異なるが、いずれも「知識を得て実践する」点は共通している。自分が高めたいリテラシーを明確にし、効率的に学ぶことが大切だ。
リテラシーが低いとはどういうこと?リスクと影響を考える
「リテラシーが低い人」とは、簡単に言えば「その分野についての知識や能力が十分でない」状態を指す。例えば、ビジネスリテラシーが低い場合は、情報収集の仕方を知らずに誤った意思決定をする可能性が高い。
ここでは、リテラシーが低いとどのようなリスクがあるのか、個人や企業にどんな影響を及ぼすのかを考えてみよう。
■リテラシーが低い人が陥りがちな問題点
リテラシーが低いと以下のようなトラブルやデメリットが起こりうる。
- 情報の選別ができず、誤情報を鵜呑みにする
- SNSやメールでの不注意から炎上や誤送信事故を招く
- セキュリティリスクへの意識不足から情報漏洩などに発展する
- 金融知識が不足し、投資詐欺や無駄なローンを抱え込む
これらは企業にも深刻な損害を与えかねないため、個人任せにせず組織としてリテラシー教育を実施する企業が増えている。
■企業や社会に及ぶデメリットとは
リテラシーが低い社員が多い企業は、以下のような損失に直面しやすい。
- 業務効率の低下や生産性の停滞:ITツールを使いこなせず、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない。
- セキュリティインシデントのリスク増:不注意や知識不足により、情報漏洩やサイバー攻撃を受ける恐れが高まる。
- 顧客との信頼関係の悪化:メディアリテラシーや情報リテラシーが不足していると、誤った情報発信や炎上で社会的信用を失うリスクがある。
社会全体として見ても、フェイクニュースの拡散や過剰反応による混乱を招くなど、マイナスの影響が大きいと言える。
リテラシーを高めるメリットとは?具体的な効果を知ろう
反対に、リテラシーが高い人や企業はさまざまな利点を享受できる。例えば、ITリテラシーを磨けば業務効率の大幅アップが期待できるし、情報リテラシーを身につければ経営判断の精度を高められる。ここでは、リテラシーが高いことで得られる主な効果を紹介する。
■業務効率や生産性の向上
- ITツールを使いこなす:例えば、クラウドサービスやプロジェクト管理ツールを活用することで、日常業務を効率化し生産性を大きく向上できる。
- コミュニケーションのスムーズ化:メール、チャット、ビデオ会議などを適切に使えることで、意思疎通や情報共有が円滑化し、時間のロスを減らせる。
- 問題解決のスピードアップ:正しい情報を瞬時に収集・分析できるため、トラブル時の対応策を迅速に導き出せる。
■情報活用力のアップとリスク回避
- フェイクニュースや偏った情報に惑わされない:情報リテラシーが高ければ、情報源の信頼性をチェックし、誤情報を拡散せずに済む。
- 金融トラブルや投資詐欺を防げる:金融リテラシーを備えていれば、安易な投資話や怪しいローン契約に巻き込まれない。
- セキュリティ意識の向上:ITリテラシーが高いと、パスワード管理やウイルス対策などを徹底でき、企業・個人情報の漏洩リスクを減らす。
リテラシーが高いほど、個人のキャリアや企業の成長に大きく寄与すると言える。
リテラシーを高めるための実践ポイント
リテラシーを高めるには、ただ知識を詰め込むだけでなく、実際に活用する訓練や習慣が欠かせない。例えば、ニュースや業界の動向を毎日チェックし、情報源の真偽を検証するクセをつけるのは有効な手段だ。ここでは、リテラシーを強化する具体的な方法やポイントを整理する。
■学習機会の確保と継続的な研修
- 研修プログラムの実施:情報リテラシーやITリテラシーを中心に、座学と実践を組み合わせた定期的な研修を行う。
- eラーニングやオンライン講座の活用:忙しい人でも自分のペースで学べるよう、オンライン教材を導入する。
- 資格取得の奨励:ITや金融、セキュリティなどの資格取得を支援し、学習意欲を高める制度を設ける。
■情報の取捨選択を意識したトレーニング
- 疑問を持つ習慣:記事やSNS投稿を読んで「これは本当なのか?」と疑い、情報源や客観的データを確認するクセをつける。
- 複数ソースの確認:ニュースを鵜呑みにせず、海外メディアや専門家の見解などを比較し、多面的に検証する。
- 実際にツールを使いながら学ぶ:新しいITツールやアプリを試し、慣れないうちは先輩・同僚に聞きつつ使いこなすことで、身をもって習得できる。
こうした日常的な行動の積み重ねが、リテラシーを自然と引き上げることにつながる。
リテラシーの英語表現と海外の事情
リテラシーはもともと英語の“literacy”に由来するが、海外での使われ方や背景はどのようになっているのか。ここでは、英語圏のリテラシー事情と合わせて、ビジネスで使いやすい表現例を紹介する。
■英語で「リテラシー」はどう言う?よく使われる言い回し
英語で「リテラシー」を表現するには、以下の単語を使用すると良い。例えば英語圏のプレゼン資料では、「We aim to improve our team’s digital literacy.」などの表現がよく使われる。意味は「我々はチームのITリテラシーを向上させることを目指します」というニュアンスだ。
- literacy:リテラシー全般
- information literacy:情報リテラシー
- IT literacy / digital literacy:ITリテラシー
- media literacy:メディアリテラシー
■海外ビジネスとの比較で見るリテラシーの大切さ
グローバル化が進む今日では、海外のパートナー企業や顧客との取引も多い。その際、リテラシーの差があると以下のような問題が起こりやすい。
- コミュニケーションの不一致:メールやチャットツールの使い方、情報セキュリティの考え方の違い、認識のズレが発生する。
- 競争力の差:デジタル化が進んでいる企業は生産性やイノベーションで有利になる一方、リテラシーが低い企業は対応が遅れる。
海外の企業はリテラシー向上に積極的なケースも多く、日本国内でも遅れをとらないよう取り組む必要がある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部