
面接の逆質問は、入社への熱意を示す絶好のチャンスです。しかし、場にふさわしくない質問をすれば、マイナスの印象を与えてしまいます。面接を突破する逆質問のテクニックを身に付けましょう。
目次
逆質問の重要性と目的を理解しよう
面接の印象を左右する要素の一つに、『逆質問』があります。戦略的に活用すれば、他の候補者に差を付けることが可能です。採用面接における、逆質問の重要性を解説します。
■逆質問とは何か?
面接の終盤では、面接官から「何か質問はありませんか?」と聞かれるケースがほとんどです。応募者が面接官に対して行う質問は、逆質問と呼ばれています。
応募者の中には、「特にありません」と答える人もいますが、質問の有無や内容が面接の印象を大きく左右するのをご存じでしょうか?
逆質問は、単なる疑問解消の場ではなく、自身の熱意・理解度をアピールする重要な機会です。応募する企業の情報を事前にリサーチした上で、適切な逆質問を投げかけるのが望ましいでしょう。
■逆質問が面接官に与える印象とは
逆質問の内容を考える前に、面接官の視点で『なぜ応募者に逆質問を求めるのか』を考えてみましょう。
- 不安や疑問を解消するため
- 応募者の熱意や志望度を判断するため
- 自社との相性を確認するため
面接官は、逆質問を通じて応募者のコミュニケーション能力・積極性・入社意欲・企業との適合性などをチェックしています。企業研究に基づいた具体的な質問や、入社後の活躍をイメージさせる質問は、本人の印象をアップさせます。
逆に、「特にありません」と答えた場合、消極的な印象を与えかねません。給与や福利厚生、年間休日数に関する質問は、自己中心的と捉えられる可能性があるでしょう。
質問内容は面接の各段階で変えるのが理想
面接の段階によって、効果的な逆質問の内容は変化します。各段階で求められる質問の深さや焦点が異なるため、面接官の期待に応える逆質問を準備することが重要です。
■一次面接での逆質問
一次面接は、人事担当者や応募部署の社員などが担当し、コミュニケーションやビジネスマナーといった『ビジネスパーソンとしての基礎力』をチェックするケースが多く見受けられます。
若手社員が面接官になるケースもあるため、相手の立場・ポジションを考慮した質問内容を考えましょう。事業内容や経営ビジョンに関する質問は、二次面接以降が望ましいといえます。
業務内容や企業文化に関する質問を中心に熱意をアピールすれば、企業研究をしっかり行っているという印象を与えられます。
■二次面接・最終面接での逆質問
二次面接や最終面接では、担当部署の責任者・マネージャー・経営層といった、より地位の高い人が面接官になる傾向があります。一次面接よりも審査基準が厳しくなるため、的外れな質問は避けなければなりません。
面接官のポジションに応じて、中長期的な成長戦略や経営ビジョン、業界の動向について質問するのもよいでしょう。一歩踏み込んだ質問は、企業への理解度と興味を示せます。自身の将来的な貢献可能性を盛り込めば、印象はさらに良くなります。
好印象を与える逆質問の具体例
準備不足で慌てないためにも、逆質問の内容はあらかじめ考えておく必要があります。面接官に好印象を与える逆質問の具体例を、3つのパターンに分けて紹介します。
■会社の将来性や方向性に関する質問
会社の将来性や方向性に関する逆質問は、十分な企業研究を行っていることの表れです。企業のWebサイトを読み込んだ上で、相手のポジションに合った質問内容を考えましょう。
特に最終面接では、役員・社長といった経営層が面接官を務める場合が多いため、会社全体の方向性・将来の展望に関する質問が適しています。これらの質問を通じて、会社への深い理解と将来に向けた共感性を示せます。
【質問例】
- 10年後に描いているビジョンを教えていただけますか?
- 今後注力していきたい事業はありますか?
- 〇〇事業を通して、どのような社会課題を解決したいとお考えですか?
■業務内容や職場環境に関する質問
業務内容や職場環境に関する逆質問は、入社後のイメージを具体化し、自身との適合性を確認する上で重要です。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、疑問点・不安点は面接の段階で解消しておくのが望ましいといえます。以下のような逆質問は、入社への熱意と志望度の高さを示せるでしょう。
【質問例】
- 1日の業務スケジュールを教えていただけますか?
- 〇〇部署には、どのような人柄やスキルを持った人がいらっしゃいますか?
- 御社ではリモートワークを導入していますが、チーム内でのコミュニケーション方法を教えてください。
■キャリアパスや成長機会に関する質問
キャリアパスや成長機会に関する逆質問は、面接官に自身の長期的なキャリアプランと意欲をアピールする絶好の機会です。質問する際は謙虚さを忘れず、相手の立場を考慮しながら適切なタイミングで行いましょう。
例えば、キャリアパスやスキルアップ研修、プロジェクト参加に関する質問は、将来を見据えた姿勢を示せると同時に、自己成長への熱意や貢献意欲をアピールできます。
【質問例】
- 若手社員が〇〇プロジェクトに携わる機会はありますか?
- 御社での〇年後のキャリアパスを具体的に教えていただけますか?
- 新しい技術やスキルを習得するための社内制度はありますか?
逆質問の準備のポイント
面接での逆質問を成功させるためには、十分な準備が不可欠です。ここでは、効果的な逆質問を行うための二つのポイントを紹介します。
■事前リサーチを徹底する
効果的な逆質問を行うためには、事前の入念なリサーチが欠かせません。企業のWebサイトや最新のプレスリリース、業界ニュースなどを徹底的に調査し、企業のビジョンや最新の取り組みについて深く理解するところから始めましょう。
LinkedInなどのプロフェッショナルネットワークを活用し、役員や企業の最新動向を収集するのも有効です。プロジェクトや業績に関する知識を得ることで、より具体的で深い質問が可能になります。
例えば、「御社の〇〇戦略に関心があります。今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか?」といった質問は、リサーチ力と興味の高さを示せます。
■質問内容を組み立てる
逆質問は、企業研究に基づいた具体的な質問でなければなりません。質問する際は、単に疑問をぶつけるのではなく、その意図を伝えることが肝心です。理由や目的が不明な逆質問は、「なぜその質問をしたのか?」と相手に疑問を抱かせるでしょう。
例えば、「前職で〇〇の経験を積みましたが、御社ではどのように生かせるでしょうか?」のように、自身の経験・スキルと関連付けた質問をすることで、貢献意欲を効果的に伝えられます。
また、「1日でも早く即戦力になりたいので、早めに身に付けておくべきスキルがあれば教えてください」という逆質問も、前向きな印象を与えられます。
面接本番で意識すべきこと
面接での逆質問は、単なる情報収集にとどまりません。逆質問を通じて自己をアピールし、面接官の心を動かすためのテクニックを紹介します。
■面接官との関係性を築く
逆質問は、面接官との良好な関係性を築くのにも効果的です。面接官個人の経験や視点を聞くことで対話が深まり、自分に対しても興味を持ってもらえます。
例えば、「御社で最も印象に残っているプロジェクトについて、教えていただけますでしょうか?」という質問で個人的な体験を引き出し、相手への共感を示します。
「仕事のやりがいやつらいと思ったことを教えてください」「御社の社員として成功するために、どのような姿勢や行動が重要だとお考えですか?」といった質問は、面接官の価値観を理解しようとする姿勢を示せるでしょう。
■質問のタイミングと数を考慮する
逆質問のタイミングと数は、面接の流れを見極めながら決めます。一般的に、面接の終盤で質問を促されることが多いですが、自然な流れで質問できる機会があれば逃さないようにしましょう。
質問回数は、面接段階によって異なります。「一人1個まででお願いします」など、数の指定があった場合は必ず従う必要があります。数の指定がない場合は、5個以内が望ましいでしょう。
二次面接以降は、2個以上の具体的な質問を準備し、企業理解を深めつつ熱意をアピールします。最終面接では、より踏み込んだ質問を数個用意し、入社後のビジョンを明確にするのが理想です。
逆質問に関するQ&A
応募者の印象を悪くするNGな質問や、質問したい内容が浮かばないときの対処法など、逆質問に関するQ&Aをまとめました。十分な事前準備をし、本番では臨機応変に対応することを心掛けましょう。
■印象を下げる質問例は?
面接官にマイナスの印象を与えやすいのは、以下のような逆質問です。仕事への興味が低いと判断されたり、企業研究が不十分と見なされたりする恐れがあります。
- 企業のWebサイトや求人情報で簡単に調べられる基本情報
- 面接中にすでに説明があった内容
- 待遇面に偏った質問
- 「はい」「いいえ」で答えられる簡単な質問
- 抽象的で意図が分かりにくい質問
- 面接官が答えられない質問
- プライバシーに関わる質問
特に注意が必要なのは、待遇面に偏った質問です。給与や福利厚生については、内定後の『内定者面談』で交渉するようにしましょう。
■逆質問がないときはどうする?
応募者の中には、「質問すべき内容が思い浮かばない」という人もいるかもしれません。逆質問をいくつか用意していたものの、面接中に回答が得られるケースもあります。
どうしても質問が浮かばないときは、「今後のプロセスについて教えていただけますでしょうか」と次のステップを確認しましょう。
「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。御社についてより深く理解できました」と、感謝の気持ちを伝えて締めくくっても構いません。
逆質問で他の応募者と差を付けよう
面接官に「何か質問はありますか?」と聞かれて焦る人もいますが、逆質問は自身の印象をアップさせるチャンスです。
長所や適性をアピールしたり、入社意欲を示したりすることで、他の応募者と差を付けられます。適切な逆質問は、面接官との関係性構築にも役立つでしょう。
ポイントは、面接段階に応じて質問内容を変えることです。面接官のポジションを考慮しながら、相手が答えやすい質問を選ぶ必要があります。焦ってNG質問をしないように、万全の準備をして臨みましょう。
構成/編集部