
「益々のご活躍をお祈り申し上げます」のように、敬意を示す言葉とセットでよく使われる「益々」ですが、どのような言葉と組み合わせるべきかよくわからないという方もいるのではないでしょうか。今回は、使い方や「増々」や「ますます」との違い、例文などを詳しく解説します。
目次
「益々」とは
「益々」は「ますます」と読み、物事の程度が一層大きくなる様子をあらわす言葉です。ビジネスシーンでは、相手の発展や成長などを願うときや、祝福する際に使用します。前向きな事柄について使うことが特徴です。
参考:デジタル大辞泉
■「増々」との違い
「増々」も「ますます」と読み、益々と同じような意味で使える言葉です。ただし、ビジネスシーンやフォーマルな場面では、益々のほうを使用するのが一般的であることを押さえておきましょう。
■「ますます」との違い
益々をひらがなで表記したのが「ますます」です。2つとも意味は同じですが、漢字の益々は、「益々のご発展を心よりお祈り申し上げます」といったようにフォーマルな使い方をするのに対し、ひらがなのますますはカジュアルなシーンでも使われます。
「益々」の使い方と例文
ここからは、益々の使い方のポイントと例文をご紹介します。実際に使用する際の参考にしてください。
■ポジティブなことに使う
益々は、ポジティブな事柄に対して使います。たとえば、企業に対するさらなる繁栄や発展、個人に対するさらなる活躍や健康であることを願うときなどに用いましょう。
■「益々」の後に敬意をあらわす言葉を添える
益々の後には、敬意をあらわす言葉を添えることも重要です。たとえば、「益々のご活躍をお祈り申し上げます」の場合、益々のすぐ後の「ご活躍」は「活躍」の尊敬語で、「お祈り」は「祈る」を丁寧に伝える表現、「申し上げる」は謙譲語にあたります。
■「益々」を使った例文
益々を使った例文は、以下のとおりです。
- 平素は格別のご高配を賜り、御礼を申し上げます。貴社におかれましては、益々ご隆盛のこととお慶び申し上げます
- このたびのご契約に至りましたこと、心より感謝申し上げます。貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます
- このたびのご昇進、誠におめでとうございます。今後も益々のご成功をお祈り申し上げます
「益々」とセットで使う言葉
益々のすぐ後にくる、セットで使用する言葉として、以下の5つをご紹介します。
- ご活躍
- ご健勝
- ご清祥
- ご発展
- ご隆盛
それぞれの意味や使い方を確認しましょう。
■ご活躍
「ご活躍」は、めざましく活動することを意味する「活躍」に、尊敬語である接頭語の「ご」をつけた敬語表現です。基本的に企業や団体ではなく、個人に対して使われます。挨拶や文書における、結びの挨拶として使用されることが一般的です。
【例文】
- 新しい職場でのご活躍を期待しています
- 新天地でのご活躍をお祈りしています
- 今後も業界でのご活躍を願っております
■ご健勝
「健勝」は「けんしょう」と読み、健康で元気なことやそのさまを意味します。身体の状態についての表現であるため、企業や団体に対しては使用しません。文書の挨拶やイベントのスピーチ、年賀状や結婚式の招待状などで使用されます。
【例文】
- 皆様の益々のご健勝をお祈りいたしまして、結びの言葉とさせていただきます
- 旧年中は大変お世話になりました。皆様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます
- 皆様のご健勝を心より祈念申し上げます。
参考:デジタル大辞泉
■ご清祥
「清祥」は「せいしょう」と読み、相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶ挨拶の言葉です。活躍や健勝と同じように、人の状態についてあらわす表現のため、企業や団体に使用するのは適切ではありません。スピーチや文書の冒頭の挨拶として用いられます。
【例文】
- 貴社におかれましてはご清祥のこととお慶び申し上げます
- 時下、益々ご清祥の段、大慶に存じます
- 肌寒い日が続きますが、皆様ご清祥のことと存じます
参考:デジタル大辞泉
■ご発展
「発展」は、物事の勢いなどが伸び広がって盛んになることをあらわす言葉です。「経済が発展する」、「大事件に発展する」などと使います。「ご発展」は、企業や団体に対してのみに使用され、個人に対しては使いません。
【例文】
- 謹んで新春のお慶びを申し上げます。貴社のご発展と社員の皆様のご多幸をお祈り申し上げますとともに、本年もどうぞよろしくお願いいたします
- 貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます
- 貴社の益々のご発展と更なる飛躍を心よりお祈り申し上げます
■ご隆盛
「隆盛」は「りゅうせい」と読み、勢いが盛んなことやそのさまを意味します。「ご隆盛」はご発展と同じように、企業や団体に対して使用しましょう。
【例文】
- 貴社ますますのご隆盛をお慶び申し上げます
- 貴社のご隆盛に少しでも貢献できるよう、引き続き頑張ってまいります
- 末筆ながら、貴社のますますのご隆盛をお祈りしております
「益々」の類似表現
益々には、同じような意味を持つ類似表現がいくつかあります。
ここでは、類似表現である「いっそう」や「さらなる」、「以前にも増して」について、意味や使い方を見ていきましょう。
■いっそう
「いっそう」は、程度が一段と進むさまを意味する言葉で、漢字では「一層」と「ひときわ」「ますます」とも言い換えられます。漢字では「一層」と表記します。
【例文】
- 商品リニューアル後は、いっそう売上が増えた
- プロジェクトの成功に向けて、なおいっそうの努力が必要だ
- よりいっそう充実したサービスをお客様にご提供できるよう励みます
参考:デジタル大辞泉
■さらなる
「さらなる」は、「ますますの」や「いっそうの」という意味の言葉です。益々よりもややカジュアルな表現のため、日常会話でも使用しやすいといえるでしょう。
【例文】
- お客様にさらなる価値提供をするために、現状のサービスへの不満や要望を集めたい
- その商品は、今後さらなる開発が期待される
- これは、さらなる研究を必要とする分野だ
参考:デジタル大辞泉
■以前にも増して
「以前にも増して」も、益々の類似表現の1つです。なおさらやいっそうといった意味になり、益々よりも堅苦しい印象を与えずに伝えられます。成長する、盛んになるといったポジティブな意味でも使われますが、ネガティブな意味でも使われる言葉です。
【例文】
- システムの導入により、以前にも増してトラブルの発生率が低下した
- おかげざまで、当社は以前にも増して業績を伸ばせた
- 以前にも増して離職率が高まりつつある
■一段と
「一段と」は、ほかと比べて明らかに違いがある様子をあらわす表現です。「一段と◯◯になった」として、ある状態を指して以前からの変化を伝えます。ポジティブな変化だけでなく、ネガティブな変化にも使える言葉です。
【例文】
- この時期は一段と問い合わせが増える
- お客様の声をもとに改良を重ね、当社の製品の耐久性は一段と向上しました
- 市場の不透明感が高まり、売上回復が一段と厳しい状況になっている
「益々」の正しい使い方をマスターしよう
益々は、物事の程度が一層大きくなる様子をあらわし、スピーチやビジネス文書の冒頭の挨拶などで使われます。ポジティブな事柄に使う表現であることを押さえておきましょう。また、益々の後には敬意をあらわす言葉をつけることがポイントです。
ひらがなで表記した場合、漢字表記の益々と意味は同じですが、カジュアルなシーンでも使いやすい表現になります。
益々の使い方をマスターして、ビジネスシーンで使いこなせるようにしましょう。
構成/橘 真咲