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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
会社の飲み会後に、社員が死亡しました……。川で溺死してしまったのです。
飲み会後の事故に対して、果たして労災はおりるのでしょうか?
実際にあった裁判を解説します。
(東京地裁 H11.8.9)
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
登場人物
▼ 会社
エンジニアリングなどを行なっている会社
▼ Xさん
ボイラーや発電機の制御盤の試験などの業務を担当
どんな事件か
▼ 送別会の開催
同じ現場で働いていた方の送別会が開催されました。
従業員が企画したもので、参加は自由。
なので参加しない方もいました。
送別会当日。午後6時30分ころ、飲み屋で従業員Aが開会の挨拶をして送別会が始まりました。そして、午後10時30分ころ、閉会の挨拶もなく流れ解散となりました。
Xさんは、従業員Bに送られて午後11時には宿舎に着きました。
▼ Xさんが行方不明になる
翌朝のこと。従業員BがXさんの部屋にいったところ姿が見当たらず。作業所にも出勤していませんでした。同僚らが探し続けましたが発見できず。
▼ 亡くなったXさんを発見……
送別会から4日後。同僚らがXさんを発見しました。なんと、Xさんは川の中で全裸で仰向けになり倒れていたのです(水深わずか38cm)。その川は、Xさんの宿舎から150メートルという近さでした。Xさんの死因は、溺水による窒息死と確認されました。
▼ 労災申請
Xさんの父親は、「これは労災にあたる」と主張して遺族補償一時金などの支給を請求しました。しかし、労働基準監督署は「業務上の事故ではない」と判断して認めず。「この送別会への参加は業務じゃない」との判断でした。
そこで、父親は裁判所に提訴しました。