
成長のスピードは人によって差があると感じたことはありませんか?もちろん持って生まれた能力の差が全く関係ないとは言えないかもしれません。しかし、成長スピードが速い人は、その持って生まれた能力の差を、共通した思考の癖でカバーすることができています。今回は成長する人が共通して持っている思考の癖を紹介したいと思います。
大前提、成長する人はチャレンジ数が多い?成功率が高い?
スマートに仕事をこなし、成長を早い人を見ると、「あの人は効率が良い」「要領がいい」と感じたことはありませんか?そのように見える人は、一見、仕事の成功率が高いように見えます。
ここでご注意いただきたいのは、初めから成功率高く仕事をこなせる人はごく一部であるという事実です。今、見えている成功の裏には無数の練習と失敗があるはずです。
しかし、成長が早い人は練習や失敗の跡が見えないことが多いです。それは、なぜでしょうか?成長の遅い人の行動と比較し、考えていきたいと思います。
成長が遅い人は、初めて仕事を行う時や、失敗してしまった時には、歩みを止めて、時間をかけて考えたくなります。失敗しないように入念に準備したくなります。行動する前に、しっかりと準備すべく時間をかけてしまい、歩みが遅く見えるので、どんどん練習や失敗の跡が目立っていきます。
対して、成長が早い人は、くよくよしても何も変わらないことを理解しています。とにかく行動しようとします。行動しながら修正するイメージです。結果、練習や失敗の跡が見えづらくなっていくのです。
そして行動数を上げていった結果、質が担保され、次第に成功率が高くなっていきます。行動数が多い→成功率が上がる→行動数も多いので成功回数も多くなる。このように行動数が多い人は、時間の経過とともに成功回数が多く見えるので、結果、練習や失敗の跡が目立たなくなっていき、成長が早い人=スマートに仕事している人と周りに認識されるようになっていきます。スマートな人ほど、行動数が多いという事実に注目いただきたいです。
がむしゃらに行動することの罠
前段で行動数を上げる重要性をお伝えしましたが、とにかくがむしゃらに行動を繰り返すだけで、スピード早く成長できるのでしょうか?
答えは、NOです。
人は慣れる生き物なので、単純に行動数を増やすだけでも慣れによる成長は起きます。しかし、慣れによる成長だけだと、周りから一目置かれるような成長を起こすことにはつながりません。周りから一目を置かれるような成長を起こすためには、重要なポイントがあります。それは、「失敗と向き合う」ということです。
がむしゃらに行動する人は、失敗に向き合うことを行っていないケースが多いです。失敗したことは横に置いて、別の取り組みにチャレンジする。その取り組みが失敗したら、また別の取り組みにチャレンジする。取り組みも無限に出てくるわけではないので、結果、行き詰ってしまい、過去失敗したことに対しても「1回やったし、今度こそ大丈夫」のような根拠のない考えのもと、再チャレンジして行動数を稼ごうとする。がむしゃらさは、時に思考能力を奪い、手段の目的化が起きてしまいます。成長するために行動数を上げているはずなのに、行動数を上げることが目的にすり替わってしまうのです。
では、ここで改めて成長とはどういうことを差すのかをシンプルに考えたいと思います。
失敗と向き合うことは好きですか?
成長の定義をシンプルに表現すると「出来なかった事を出来るようにすること」といえるのではないでしょうか?様々な偉人やことわざでも「失敗は成功のもと」と表現されています。ここからも、成長するためには、まず自分の失敗に向き合うことが重要になってきます。
ここで、注目したい事実が一つあります。失敗と向き合うことが好きな人はあまりいないという事実です。人は誰しも、自分の失敗からは目を背けたくなります。失敗からは目を背けることは成長につながらないと頭ではわかっていても、ついつい目を背けてしまうのです。ここは感情の問題なので、非常に難しい問題になってしまいます。
この問題をクリアするために、まずは失敗の認識を変えましょう。
自分が出来なかった事を失敗と捉えるのではなく、諦める事や歩みを止めることを失敗と捉えるようにしてみてください。
そうすれば、自分が今まで失敗と見えていいた事柄も別の見方が出来るのでないでしょうか?見え方が変わり、失敗と認識していた事柄を「成長のための必要な経験」と認識できるようになれば、向き合い方も変わるはずです。「失敗」と感情ベースで見えていた事柄も「出来なかった事」と事実ベースで認識できるようになります。
失敗と向き合い、出来なかった事を認識できたら、次にやるべきことは、原因分析を行い、再発防止策を考えることです。この再発防止策が正しいものが出せた際には、出来なかった事が出来るようになり、成長できた状態になります。
しかし、出来なかった事の原因分析を最初から正しくできる人はいません。原因分析の精度を高めるべく、なぜそれが起きてしまったのか、原因に対する仮説を立て、再発防止のための行動変化がその仮説に連動したものになっているかを留意し、再発防止策を考え(Plan)行動(Do)をする。その結果、再発防止につながったかをチェック(Check)して次の行動につなげていく(Action)。
このPDCAサイクルを回していく過程で、原因分析と再発防止のための行動変化の精度が高まり、成長につなげることが可能となります。
ここでお気づきいただきたいのは、成長ために担保すべき行動数とはこの失敗と向き合った先にあるPDCAの回数ということです。
まとめ
ここまで、持って生まれた能力をカバーする成長するために必要な思考の癖を紹介してきました。ポイントは「いかにして失敗と向き合うか」ということになります。
そのために失敗の認識を変えることを行ってください。極端な言い方になるかも知れませんが、成功するまでやり続けることができれば、そこには失敗の概念はなくなります。一見すると失敗に見える事柄も、すべて成功のために必要な経験と認識することに繋がります。そのように認識を変えることができれば、出来なかった事を出来るようにすべく、高速でPDCAを回すのみです。
ここまでの流れを一人で行うことは確かに難しいかもしれません。
だからこそ、他人との約束にして、やりきることも重要になります。自分の周りの人もうまく活用しながら、成長のためのPDCAを回し続けましょう。
文/識学
この記事はマネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」による寄稿記事です