社員の安全を守るため、ひいては事業継続のために、企業において災害対策は欠かせない。では企業が最も想定しているリスクは何で、具体的にどんな対策を講じているのだろうか?
イトーキはこのほど、自社の防災の取り組みを把握している20-60代のオフィスワーカー1,239名を対象にした「企業の防災に関する実態調査」を実施し、その結果を発表した。
最も想定しているリスクは「地震」で83.8%。「感染症」「豪雨」も50%超
勤めている事業所において事業継続にあたってリスクとして想定しているものについて、「地震」が最も多く83.8%という結果となった。次いで「感染症(新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等)が57.3%、「豪雨」が50.0%といずれも半数以上がリスクとして想定している結果となった。
具体的なリスクは「従業員及び従業員家族への身体的な被害」が最多。インフラへの影響も高い結果に
想定している具体的なリスクとしては、「従業員及び従業員家族への身体的な被害」が最も多く61.7%となった。次いで「通信インフラの途絶」が58.3%、「交通インフラの途絶」が58.0%、「生活インフラの途絶」が57.9%と、インフラへの影響をリスクと捉えている人が多い結果となった。
「十分に対策できている」は約4人に1人以下。規模が小さいほど対策に課題を感じている
現在勤めている事業所における防災対策の現状について尋ねたところ、「十分に対策できている」は22.8%となり、4人に1人以下となった。特に、事業所や会社・組織全体の従業員規模が小さいほど「十分に対策できている」「やや対策できている」と回答した割合が少なく、対策に課題を感じている人が多い結果となった。
最も多い対策は「防災用品の備蓄」で約8割。ハード面の対策は最も少なく7割未満
災害・リスクへの対策としては、「防災用品の備蓄」が最も多く79.7%となった。次いで「ソフト面(マニュアル整備、訓練・教育の実施など)」が75.0%、ハード面(オフィス環境整備など)が69.8%となっている。
最も備蓄されている物は「水」。タオルや就寝・防寒具は半数程度に留まる
備蓄している防災用品は、「水」が最も多く83.7%という結果となった。次いで「ヘルメット」(76.5%)、「食糧」(76.5%)、「救急用品」(71.7%)となった。一方、「帰宅支援用品」(31.0%)、「個人用の防災用品セット」(38.9%)、「救助用品」(50.8%)、「就寝・防寒具」(51.0%)、「防災ラジオ」(51.3%)、「タオル」(51.3%)が比較的少ない結果となった。
ソフト面での対策は「避難訓練」が最多。一方で「リモートワーク環境の整備」「情報収集できる体制の整備」が課題に
ソフト面で具体的に実施している対策では、「避難訓練」が最多で68.1%となった。一方で、「リモートワーク環境の整備」(47.5%)、「情報収集できる体制の整備」(47.1%)がともに半数以下と、課題が浮き彫りになった。
ハード面では「避難動線の確保」が59.2%で最多。備蓄やソフト面と比較し全体的に低いスコアに
ハード面で具体的に実施している対策は、「オフィス内の避難動線の確保」が59.2%で最多となった。以下「家具の転倒対策」(55.7%)、「防災用品の備蓄スペースの確保」(55.1%)、「サーバールームの保全」(51.9%)と続く。ハード面は備蓄やソフト面に比べ全体的にスコアが低い傾向となった。
リスク対策の見直しは半数以上が「1年に1回以上」
災害・リスク対策を見直す頻度については、「半年に1回程度以上」(13.8%)と「1年に1回程度」(38.6%)の合計が52.4%と半数以上となった。一方で、「2~3年に1回程度」(15.2%)と「4~5年に1回程度」(7.3%)を合わせると74.9%となり、残りの4分の1はそれ以下の頻度か不定期で見直している結果となった。
<調査概要>
・対象者:自社の防災の取り組みについて把握している20-60代のオフィスワーカー
・対象エリア:全国
・サンプル数:1,239ss
・調査時期:2024年6月末
・調査方法:インターネットリサーチ
出典:株式会社イトーキ
構成/こじへい