裁判所のジャッジ
裁判所
「2回目の休職命令だけ違法です」
「得られたであろう50万円と慰謝料10万円を支払いなさい」
順番に解説します。
▼ 消化器、投げた?
まずはここが争われました。
Xさん
「消化器を投げてないんです!」
裁判所
「投げたと認定します」
[理由]
・消化器が落下した3分前から1分前にかけて、Xさんはマンション敷地内に入ってエレベーターで移動している
・逮捕後の弁解録取書には「投げたことは間違いない」と書かれており、そこに署名指印している。
※ マメ知識:これに署名指印するとほぼ一貫の終わりです。
・勾留質問の時にも同じ回答をしている
・略指揮命令を受けて科料を納付している
▼ 休職(1回目)
裁判所
「1回目の休職命令はOKです。就業規則の休職事由『逮捕~され、就業させることが不適当と認めるとき』に該当するからです」
▼ 休職(2回目)
裁判所
「でも、2回目の休職命令は違法です。会社は『前各号のほか、特別の事情があって休職させることを適当と認めたとき』に該当するとして休職命令を出してますが、コレに該当しないからです。Xさんが就労することで職場の秩序維持や企業の社会的信用に大きな影響が生じるとはいえません」
――― 会社さん、不満があるようで?
会社
「Xさんは過去にも粗暴行為などによって懲戒処分を受けており、今回の消化器ブン投げ行為について、懲戒解雇が検討される状況だったので、就業規則の『特別の事情があって休職させることを適当と認めたとき』という要件を満たします」
裁判所
「いや、満たさないね。かりにXさんに対して重い懲戒処分が検討される状況にあるとしても、その調査および検討をすることと、Xさんがライフプランナーとして就労することは両立するからです」
というわけで2回目の休職命令が違法と判断されました。
▼ Xさんが得た金額
休職してなければもらえた給料 50万円
慰謝料 10万円
「消化器ブン投げ」という1個の事実で、ダブルの休職命令は認められませんでした。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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