A5サイズは身近なようで意外と知られていない規格。本記事では、その寸法や特徴、用途、A4・B5との違いをわかりやすく解説!A5のメリットや封筒の選び方も紹介します。
目次
A4サイズやB5サイズは多くの方にとって身近な用紙規格であるが、A5サイズについてはどうだろう。そのサイズ感や実際の使われ方などについて、イメージが湧かない方も多いのではないだろうか。
本記事では、A5サイズの寸法やメリット、他のサイズとの違い、対応する封筒規格、具体的な用途などについて解説していく。
A5サイズの寸法(cm)とは
まず、寸法などA5サイズの基本的な情報について解説する。
■縦・横のA5サイズの寸法まとめ
A5サイズの寸法は次の通りである。
[A5サイズの寸法]
・センチメートル表記:14.8cm×21cm
・ミリメートル表記:148mm×210mm
・インチ表記:約5.83inch×8.27inch
A5サイズは、書類やコピー用紙の定番サイズであるA4サイズ(21cm×29.7cm)の半分である。A5サイズに近いサイズとしては、ひと回り大きいB5サイズ(18.2cm×25.7cm)と、ひと回り小さい B6サイズ(12.8cm×18.2cm)がある。
ちなみに、A5サイズの縦横比率、対角線長さ、面積は次のとおりである。
[A5サイズの詳細]
・縦横比率:1:√2
・対角線長さ:約25.69cm(約256.9mm)
・面積:310.8cm²(31,080mm²)
なお、厚さに関する規定はない。
■A5の表記の意味
なぜ「A5」と表記するのか、疑問に思われている方もいるだろう。まず「A5」の「A」は規格の種類を表しており、具体的にはJIS(日本産業規格:Japanese Industrial Standards)で定められたA判の一種であることを表している。
そして「A」の後に続く「5」などの数字は種類を表している。面積が1㎡、縦横比が1:√2となるサイズ(84.1cm×118.9cm)をA0と定義し、A0を半分に分割したものがA1、さらに半分に分割したものがA2、といったようにA10まで規格化されている。
つまり、「A5」はA判の基準となるA0というサイズを、5回分割したサイズということである。以下で大まかなイメージを確認してほしい。
■A5サイズのメリット
一般的な定番サイズとしてA4サイズとB5サイズがあるが、A5サイズはそれらよりもコンパクトであり、その分、次のようなメリットがある。
・場所をとらない
・手にとって読みやすい
・持ち運びしやすい
・収納しやすい
・印刷や運送のコストが比較的安価
また、A5サイズは最も普及しているA4サイズを半分にしたサイズであるため、用意しやすい(A4用紙を半分に切ればよい)というメリットもある。
ただし、コンパクトである半面、情報量が制限される、図表の視認性が下がる、といったデメリットもある。
A5・B6サイズの違い
A5サイズと比較されやすいサイズとしてB6サイズがある。ここではA判とB判の違いについて解説し、その上でA5サイズとB6サイズの違いについて解説する。
■A判とB判の意味と違い
日本の用紙規格には、主にA判とB判の2種類がある。これらはともにJISにより規定されており、A判については世界共通のISO(国際標準規格:International Standard)にも準拠している。
先に解説した通り、A判は面積が1㎡、縦横比が1:√2となるサイズを基準とした規格である。これに対し、B判は面積が1.5㎡、縦横比が1:√2となるサイズ(103cm×145.6cm)を基準とした規格である。基準となるサイズをB0と定義し、B0を半分に分割したものがB1、B1を半分に分割したものがB2、といったようにB10まで規格化されている。
■A判とB判の制定の背景
A判とB判という用紙規格が制定されたのは1929年のことである。日本では当時、主に書籍で使用されていた「菊判(きくばん)」や「四六判(しろくばん)」といった日本独自のサイズが広く浸透しており、これらをもとに用紙サイズの規格化が進められた。
規格化の際に重視されたのは世界基準である。菊判がISOのA5に近いサイズであったことから、ISOのA判がそのまま日本の用紙規格として採用された。一方、四六判についてはISOに対応する規格が存在せず、そこで用意したのがA判の縦横比をそのままに面積を1.5倍にしたサイズである。このサイズがあると四六判を用いた印刷物を作成しやすくなるため、これが日本独自のB判規格として制定された。
■A判の種類とB判の種類
A0からA10のサイズ、およびB0からB10のサイズは次の通りである。
[A判規格のサイズ]
A0サイズ:84.1cm×118.9cm
A1サイズ:59.4cm×84.1cm
A2サイズ:42.0cm×59.4cm
A3サイズ:29.7cm×42.0cm
A4サイズ:21.0cm×29.7cm
A5サイズ:14.8cm×21.0cm
A6サイズ:10.5cm×14.8cm
A7サイズ:7.4cm×10.5cm
A8サイズ:5.2cm×7.4cm
A9サイズ:3.7cm×5.2cm
A10サイズ:2.6cm×3.7cm
参考までにA0~A7のサイズの違いを図で確認してみよう。
[B判規格のサイズ]
B0:103.0cm×145.6cm
B1:72.8cm×103.0cm
B2:51.5cm×72.8cm
B3:36.4cm×51.5cm
B4:25.7cm×36.4cm
B5:18.2cm×25.7cm
B6:12.8cm×18.2cm
B7:9.1cm×12.8cm
B8:6.4cm×9.1cm
B9:6.4cm×4.5cm
B10:4.5cm×3.2cm
B判のサイズの違いのイメージは以下の通りだ。
■A5・B6サイズの違い
A5サイズと比較されやすいサイズにB6サイズがある。それぞれには具体的にどのような違いがあるのだろうか。
まず、A5サイズ(14.8cm×21cm)はB6サイズ(12.8cm×18.2cm)よりもひと回り大きいサイズである。面積で比較するとB6サイズはA5サイズのおよそ75%の大きさとなる。A5サイズは、定番サイズであるA4サイズの半分であるため、用紙が手に入りやすいといった特徴がある。
さらに、A5サイズは世界共通のISOで定められたサイズであるため、あらゆる国々で使用されている。一方、B6サイズは日本独自のJISで定められたサイズであるため、日本での普及率は高いが、日本以外ではあまり使用されていない。
A5サイズの用紙に適した封筒のサイズと用途
最後に、A5サイズの封筒サイズや用途について解説する。
■A5サイズに最適な郵便封筒の規格
A5サイズのものを郵送する場合、どのような封筒を使用すればよいのだろうか。
[折らずに郵送する場合]
A5サイズのものを折らずに郵送したい場合、角形6号や角形5号の封筒を使用する。A5サイズが14.8cm×21cmであるのに対し、角形6号は16.2cm×22.9cm、角形5号は19cm×24cmであるため、折らずに封入できる。印刷物の厚みに合わせて使い分けるとよいだろう。
[折って郵送する場合]
A5サイズのものを折って郵送したい場合、長形4号の封筒を使用する。A5サイズが14.8cm×21cmであるのに対し、長形4号は9cm×23.5cmであるため、二つ折りにすることで封入できる。
■A5サイズに適した用途
A5サイズの用途として、書籍や手帳、発注書・納品書などがあげられる。
[書籍]
A5サイズは書籍としてポピュラーなサイズである。ノウハウ本や学術書などに多い。
[手帳]
机やテーブルがなくても手で持ちながら記入できる上、記入スペースとしても十分である。
[発注書・納品書]
通常、ビジネスシーンではA4サイズが好まれる。しかし、納品書や発注書は、たとえば契約書や企画書、決算書類といった他の書類と比べて発行・処理する枚数が多いため、コストを考慮し、A5サイズが選ばれることも多い。
まとめ
A5サイズについてまとめる。
- 寸法は「14.8cm×21cm」
- 縦横比は「1:√2」
- 1929年に制定された
- 定番サイズであるA4サイズの半分
- JISとISOで定められたA判の一種
- 書籍や手帳、発注書・納品書などの用途で使用されている
A5サイズに関する知識のなかった方もいるのではないだろうか。このような用紙規格に関する知識は仕事でもプライベートでも役立つため、参考にしていただければ幸いである。
文/松下一輝(まつしたいっき)
大学院修了後、ITエンジニアとして大手システムインテグレータに入社。通信キャリアを顧客とする部署に配属され、業務システムやWebアプリケーションなどの設計・開発業務に従事する。その後、文章を書く仕事に興味を持ち、ライターに転身。ITやサイエンス、ビジネスといった分野の記事を執筆している。