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迫る〝2025年の崖〟企業がクラウド化、人材育成、DX推進で陥りがちな失敗

2024.12.27

DX推進人材が育たない…避けては通れない人材育成

DX推進にあたっては、人材不足が深刻な課題となっている。これも2025年の崖の大きな要因とされる。

●よくある失敗

DX推進といっても社内でデータ活用できる人材は限られる。いくらクラウド化やデータ整備に成功したとしてもDXは進んでいかない。

クラウド型データ活用プラットフォーム「Domo(ドーモ)」を提供するドーモ株式会社のコンサルタントである八木幹雄氏は、現場のDX人材課題について次のように話す。

「『推進人材の不足』と『推進のための具体的な指針の欠如』に集約されます。多くの企業ではDX推進担当者が任命されていますが、進め方が分からず、PoC(概念実証)ばかりを繰り返す『PoC貧乏』に陥るケースが少なくありません。この状況では、推進担当者は『評価』担当者に留まり、組織変革の実現には至りません。

この課題の背景には、データ活用やDXの全体像を理解するための教育が不足していることや、具体的な成功モデルを社内に持ち込めていないことが挙げられます。真のDX推進には、PoCの成果をもとにした施策を業務に定着させることが重要であり、成功事例やフレームワークを学ぶ機会が求められます」

●失敗を防ぐには?

課題を受け、同社はただプラットフォームの提供だけでなく、データ活用人材の育成プログラムもセットで提供している。「わかりやすいプラットフォーム」と「人材育成」を組み合わせることで誰もがデータを扱えることを目指す。

「弊社の『データアンバサダー養成講座』は、”データドリブンなビジネス環境の実現”、いわゆる『データの民主化』を目指すDX推進担当者がPoCの評価を超え、データ活用文化を社内浸透させるための手法を体系的に学べるプログラムです。

本講座では、弊社がこれまでお客様を支援する中で培ったベストプラクティスをもとに、DX推進の考え方や実行プロセスを具体的に解説し、経営層、IT部門、事業部門などの関係者を巻き込む際に必要な知識・ノウハウを提供します」

同社が定義する「データアンバサダー」は、DX推進の際にデータ活用を全社に展開し、企業文化として根付かせる重要なポジションだという。データ人材といわれるデータエンジニア、データサイエンティスト、データアナリストではカバーできなかった新たな職務を担うものだ。

「DX推進に必要な『ビジネスアナリスト』などの人材ロールに関する関連研修も充実しており、受講者は具体的な実行計画を立てられるようになります。この包括的な支援を通じて、組織全体でDXを推進する力を身につけられます」

●成功事例

「データアンバサダー養成講座」を導入した企業の一つに、ある精密機器製造メーカーがある。製造部門にDomoを導入したのが2019年のこと。情報収集とデータ加工がいつでも可能になったことからデータ活用が進み、製品の棚卸し削減に成功した。

同時に育成トレーニングなどを通じてDomoを社内に浸透させ、データ活用人材を段階的に増やしていった。しかし全社的なデータドリブン文化の醸成には至らず、データ活用にDomoを利用する意義を各部門に説明するのに時間をとられていた。

そうした中、社内ではDomo活用を進め、サプライヤーへの情報共有にかかる工数を月間51時間削減。関わった担当者をロールモデルとして、DX人財育成プログラムを立ち上げ、伴走型の研修をスタートした。受講した社員の一人は、Domoを活用して分析業務に要する工数を、従来と比べて60%削減したという。これも成長過程を伴走するプログラムの成果だ。

2025年度末までに100名のビジネスアナリストを育成することを目標にしている。2025年の崖を目前にDX推進を加速する必要があるが、課題が山積みであり、見切り発車では失敗のリスクが高い。

専門ベンダーをうまく活用しながら、現場に根付く「民主化」をキーワードに地道に進めていくことが重要だろう。

取材・文/石原亜香利

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