本来商品を企画・開発しない小売店などが展開する「プライベートブランド」。日本でも大手小売店などが様々な自社開発商品を販売し人気を博しているが、世界市場において。プライベートブランドはどれほどの地位を確立しているのだろうか。
NIQ/GfK Japanはこのほど、グローバルで行った世界市場におけるプライベートブランドの消費動向に関するレポートを発表した。
世界的なプライベートブランド 人気の高まり
これまでプライベートブランドはヨーロッパ地域での普及が進んでいたが、現在、ヨーロッパを含む世界の様々な国や地域でプライベートブランドの人気が高まっている。2024年8月に実施された調査*によれば、ドイツで61%の回答者がこれまで以上にプライベートブランド商品を購入していると回答。また、サウジアラビア(59%)、インド(56%)、コロンビア(56%)において、調査対象国平均である50%を上回る結果となった(図1)。
価格にこだわらない消費者
調査結果から明らかになった事は、“値段が高くても、自分が気に入ったプライベートブランド商品を買う”と回答した消費者属性である。“プライベートブランド商品にもっとお金をかけてもいい”と回答したミレニアル世代(46%)とZ世代(46%)の割合は、同じ質問に“いいえ”と回答したベビーブーマー世代(23%)の2倍であった(図2)。
NIQが2024年に発表した「Spend Z」レポート1でも明らかなように、該当の二世代は価格にこだわらずプライベートブランド商品を購買している。またミレニアル世代とZ世代の購買客が、今後数年のうちに驚異的な消費力を持つようになり、商品の嗜好やブランドロイヤリティの形成は彼らの中ですでに始まっている。
1:https://nielseniq.com/global/en/landing-page/spend-z/
プライベートブランドは世界的にシェアを拡大
2025年に向けて、世界の消費者の消費活動は改善の兆しを見せているが、各国でのインフレの影響により、消費者の購買における商品・サービスへの吟味の目は厳しくなっている。その結果、購買客は自分が支払う金額に見合うと思われる商品の特性を見極めた上で、より意図的に消費するようになると想定される。
今回発表の販売データの推移は、消費者がプライベートブランド商品に独自の価値を見出して購入していることを証明している(図3)。2024年第2四半期のNIQ RMSのデータによると、プライベートブランドは世界における12ヶ月間で+5.6%の金額売上成長を達成した。中東・アフリカ(34.3%増)と中南米(14.2%増)がインフレ水準の上昇に牽引され、最も速い伸びを示した。より緩やかではあるが、世界の金額シェアもこの期間に伸びており、購買客がこれまで以上にプライベートブランド商品を購入しているという主張を裏付けている。
市場におけるプライベートブランド商品の種類やクオリティ、品ぞろえは国によって異なり、それぞれの国や地域の消費動向は異なるが、ターゲットとなる消費者にとって重要な要素を理解することが、企業が市場で成功するために最も重要であることは共通である。
構成/こじへい