不易流行の精神で挑む世界一への経営ビジョン
現社長の越智勝寛氏が社長に就任したのは2008年。「世界一の靴下総合企業を実現する」という使命を胸に突き進んできた創業者で父・直正氏の意志を受け継いだ。
「ただ、当時は社長になりたいという気持ちはなかったですし、ビジョンも無かった。ただ、先代の掲げた目標を叶えるために役割をどう全うしていくか?それだけを考えてましたね」
ところが、就任時は売り上げも芳しくない状況で、なりふり構わぬ経営で果敢に攻めるも赤字は埋められないまま。
創業者の一存で動いてきた会社ゆえ、「今こそ会社を変えなければならない」、そう思ったという。
「あの頃、「ものづくり=善」「ファッション=悪」というような認識がありました。それに、最先端の技術に無知なほど人間としては格が上であるという意味の分からない価値観も蔓延していたんです。それを変えなければならなかった」
「たとえチャレンジしたとしても失敗するかもしれない。しかしチャレンジしなければ成功することはないというスピリットで、やるしかなかったんです」
先代が目指した「世界一」という目標を成し遂げようと、あらゆる社内改革を実行。
社員教育、マーケティングの仕組みを改めて構築し、SNSの情報発信にも力を入れた。
そして、日本のモノづくりの技術を武器に素材選びから仕上げまで国内で行っている。
ピンチを脱し、生まれ変わった靴下屋。先代が描いた大きな目標を実現するために、今必要なこととは?
「『不易流行』の精神で、変えてはいけないもの(品質)、変わり続けるもの(売り方、サービス、管理ツール)を明確にすることです。今まで以上に勢いをつけて実践していかないと届かないだろうと思っています」
越智勝寛社長はこうも話していた。「自分が経営者でいる間は靴下一本でやっていく」。
靴下に懸ける思い、今後の展望とは?
「私の人生の長さでは、他の事業をする余裕はないと思っています。タビオに在職している間は靴下産業の発展と永続のために、精一杯頑張ります。一個人としては、引退後は越智勝寛っぽく、毎日を過ごしたいと思っています」
取材協力
タビオ株式会社
タビオ越智勝寛社長X
文/太田ポーシャ