裁判所のジャッジ
裁判所
「Yさん、支社長、会社は連帯して80万円払え」
(連帯とは、80万円ずつではなく合計80万円)
▼ 支社長の責任
裁判所は「支社長が『Xさんは秘書の電話を録音している』と情報を伝達させたことはXさんの名誉を低下させる」と判断しました。
ここで支社長とXさんがバトったのは【Xさんが支社長に「秘書の電話を録音している」と伝えたのかどうか】でした。
支社長は「Xさんがそう言った」と主張したのですが、Xさんグッジョブです。支社長と面談するときに録音していたんです。
その録音データには、Xさんが支社長に「秘書の話を録音している」と話している箇所がなかたっんです。支社長はグウの音も出ず。録音は最強です。
▼ Yさんの責任
裁判所は以下の理由を挙げて「名誉毀損だ」と認定。
・ほかの従業員がフラッグなどを見れば、Xさんが盗聴や秘密録音などをしているとの印象を抱く。
・Xさんの社会的評価を低下させる。
―― Yさん、少し不服そうですが。
Yさん
「Xさんを精神的に追い詰めるつもりはなかったんです……」
裁判所
「んなもんカンケーねー( 正しくは → Yさんの主観的な目的がそうであったとしても名誉毀損に該当すると判断は左右されない)」
▼ 会社の責任
会社も民事的に同罪。使用者責任アリ(民法715条)と認定されました。なぜなら、Yさんと支社長の行為は職務に関連して行われたものだからです。
さいごに
同僚間のイジメも証拠を残せば損害賠償請求できる可能性があります。今回のXさんのように、写真を撮るなどしてイジメの証拠を残しておきましょう。
そして、なんといっても今回のMVPは録音でしょう。録音がなければ【vs 支社長】の戦いは負けていたかもしれません。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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