コロナ禍を機にテレワークが一般的となったものの、ここにきてAmazonが週5日出社を義務化するなど、オフィス回帰が進み始めている。そんな中、パナソニック エレクトリックワークス社(以下、EW社)が、ウェルビーイングなオフィスの空間設計と運用を支援する「オフィス診断レポートサービス」の強化を図った。
数値で可視化する「オフィス診断レポートサービス」
「オフィス診断レポートサービス」? 聞き慣れないワードだが、簡潔にいうと、オフィスのエリア利用状況や、温熱快適性、CO2濃度などを数値で可視化。アンケートによる環境分析結果を他社平均値と比較しながら、改善ポイントを明確化することで、最適なオフィスへの改修を継続的に提案するサービスだ。
実際、オフィス改修や移転において各企業は、下記のような課題に直面しているという。
●「従業員の不満や会議室の利用実態に対する定量的な根拠がなく、どう改善すれば良いかわからない」
●「図面を読める人が少なく、社内での意思決定に時間がかかる」
●「Well-Beingなオフィスの指標や実現方法が分からない」
●「一度作ったオフィスが思うように使われていない」
……確かに、各社にオフィスづくりのプロがいるわけではない。「どう改善すれば良いかわからない」というのは当然のことだ。そんな問題を解決すべく同サービスでは、オフィスエリアの利用状況、面積や座席数、個人作業や収納の数、温熱快適性やCO2濃度などの情報を数値化。さらに、従業員アンケートに基づいてオフィス環境に関する満足度や重要度を可視化して「重点改善ポイント」を提示し、働きやすいウェルビーングなオフィスを目指すアクションにつなげているのだ。
ウェルビーイングなオフィスを実現するソリューション
これを実現させるパナソニックらしいソリューションも充実。その一例を紹介しよう。
●『スポット気流』……一見、スポットライトのようだが送風機。これで直進性の高い風を噴射することで、気流を作り温熱快適性を確保する。
●次世代照明『ランターナ』……ランプシェードに液晶を搭載。映像や画像を流し、ユーザーに合わせた自由なコンテンツを映し出す。
●環境音ソリューション……観葉植物ふうの据え置きスピーカーと、天井設置型スピーカーの2つを用意。朝は小鳥のさえずり、昼はラテンミュージック、夕方はジャズといった、時間帯や状況に合わせたサウンドを流せる。
これらがあると、オフィスが快適に「なりそう」な気がするのは確かだ。いや、「なりそう」ではない。
EW社では2020年、パナソニック東京汐留ビルにライブオフィス「worXlab(ワークスラボ)」を開設。ユーザーの声や従業員アンケートを基に改修を重ね、オフィスの課題に対する提案してきた。2022年からは、オフィスの健康度を測る国際的な評価システムである「WELL認証」の取得を支援するコンサルティング事業も開始している。蓄積したデータを活用して、根拠に基づいたオフィスの改善を提案しているのだ。
2025年には、3Dで見やすいBIMを活用し、ウェルビーイングな空間をスコア化するサービスを開始。伴走型のコンサルティングによりオフィスの運用改善を長期的に支援することで、2027年度にオフィスコンサルティング関連事業で30億円の売り上げを目指すという。今後、EW社が提案したウェルビーイングなオフィスが、日本中に増えそうな予感だ。
取材・文/寺田剛治