
目標という言葉はビジネスシーンでも日常でも比較的よく使う言葉ですが、その意味を深く理解し、目的や方針との違いなどをきちんと説明できる方はそう多くないのではないでしょうか。今回は、目標の意味のほか、設定するメリットや方法、設定時のポイントを解説します。
目次
目標とは、ある期間内にそこに到達するように目印にするものを指します。仕事やプライベートなど、さまざまなシーンで設定されます。耳馴染みのある言葉ですが、あらためて「目標とは何か」を紐解いていきましょう。
目標とは?
ここでは、目標と似た言葉である「目的」「ゴール」「方針」との違いについて、確認しましょう。
参考:デジタル大辞泉
■目的との違い
目的とは、最終的に目指したい到達点のことです。端的にいうと、「目的」という最終ゴールにたどり着くまでの過程に立てられるのが「目標」です。つまり、目的は最終到達点であり、目標は通過点といえるでしょう。
目的は漢字からもわかるように目に見える的のことであり、最終的に狙っていくものであるのに対し、目標は目に見える「標」という意味であり、「的」に近づいているかを確認する「標」をあらわします。
■ゴールとの違い
ゴールとは、目的および目標に達することを意味する言葉です。目的と言い換えられることが多いものの、目標の意味合いも含まれることがポイントです。
目標と似たような意味で使われますが、目標のように、目的達成のための具体的な行動や段階を意味するわけではありません。あくまでも、「最終的な目標点」という意味合いで用いられます。
■方針との違い
方針とは、計画を実行するにあたって必要な、原則やルールのことです。目標は目的達成のための行動や段階を指すのに対して、方針は目的達成のためのおおまかな方向をあらわします。
目標は「段階」、方針は「姿勢やスタンス」と整理され、いずれも「目的」に紐付く概念であることを知っておきましょう。
目標の類似表現
目標と似た意味で使われる表現としては、以下のようなものが挙げられます。
- 標的
- 目当て
- 目処
標的には、攻撃目標やターゲットという意味で使用されることが多いでしょう。目当てや目処は、目標とするものという意味で、目標に近い意味で用いられる言葉です。
目標を決めるメリット
目標を決める主なメリットは、以下の5点です。
- モチベーションが高まる
- 長期的な視点に立てる
- 行動力がアップする
- 現状把握につながる
- 達成感を味わえる
各メリットを解説します。
■モチベーションが高まる
目標を設定することで、モチベーションが高まりやすくなります。目標が定まらないまま仕事を依頼した場合、相手にとってはやらされている感が増すだけで、結果的に受け身なスタンスで仕事をする可能性が高いでしょう。そのようなスタンスでは、全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼしかねません。
目標を設定することで、何気なく取り組んできた業務の意義がはっきりします。それにより、従業員はより意欲的に業務に取り組むようになるでしょう。
■長期的な視点に立てる
目標があると、場当たり的に目の前の仕事をこなすのではなく、長期的な視点に立って仕事に向き合えます。その結果、将来のキャリアパスを明確に描けるようになり、さらなる飛躍へとつながるでしょう。
■行動力がアップする
目標が明確になると、行動力もアップします。たとえば、「売上アップを目指す」という漠然とした指示のみが与えられた場合、誰がいつまでに何をしなければならないのか、判断できないでしょう。しかし、具体的な目標が設定されれば、具体的なゴールが明確になります。それに伴い、達成するためにはどのような行動を取るべきか、従業員自らが主体的に考え、動きやすくなります。
■現状把握につながる
目標を決めることは、現状把握にもつながります。ノーベル経済学賞受賞者であり、人工知能(AI)の生みの親であるハーバート.A.サイモンは、「問題解決は、目標設定と現状の際の発見から始まる」と述べました。
目標から逆算して現状をみることで、不足している部分や進捗の遅れに気づけるようになります。
■達成感を味わえる
目標を決め、それに向かって自分の力で試行錯誤を繰り返し達成できれば、大きな達成感を味わえます。大きな達成感を得ると、「またあのような達成感を味わいたい」と考えるようになります。それにより、企業全体としてさらなる生産性の向上を期待できるようになるでしょう。
目標を設定する方法
目標を設定する際は、「What(何を目標にするかを考える)」「When(達成時期をいつにするかを決める)」「Why(なぜその目標にすべきかを考える)」に分解して考えるのがおすすめです。それぞれの項目について、解説します。
■What:何を目標にするかを考える
はじめに、何を目標にするかを考えましょう。まず、すでにある課題に対する解決目標なのか、現状をよりよくするための目標なのかを整理します。
そのほか、容易ではないものの、少し手を伸ばせば達成を目指せるストレッチ目標なのか、自らを大きくレベルアップさせるための目標なのかを決めることも大切です。
■When:達成時期をいつにするかを決める
目標の達成時期を、いつにするかについても決めなければなりません。期限を決めないと、行動の先延ばしにつながるほか、進捗状況の把握も困難になります。目標内容や達成難易度に応じて、達成を目指す期限を設定しましょう。
■Why:なぜその目標にすべきかを考える
なぜその目標にすべきかも考えましょう。その目標を立てるのはなぜなのかを考えることは、目標の必要性や重要性の定義にもつながります。それにより、受け身な姿勢を脱却できます。