
昨今とは、はっきりとした期間が定まっていないあいまいな表現です。いつからいつまでなのか、似た表現と比較してどのように用いればいいのかなどを疑問に思うこともあるでしょう。この記事では、昨今がどのくらいの期間なのか、言葉の意味や読み方、使い方・例文を解説します。さらに、昨今の類語・言い換え表現や対義語表現もご紹介するため、あわせて確認しましょう。
目次
昨今とはどのくらいの期間?基礎知識を簡単に解説
ニュースで「昨今の日本では~」「昨今の少子高齢化によって~」と伝えるなど、昨今は日常的に聞く言葉です。また、ビジネスシーンでも、かしこまった場面などで昨今というフレーズが使われています。
それでは、実際に昨今とはどのくらいの期間なのかを確認しておきましょう。あわせて、読み方や使い方・例文も解説します。
■意味は「現在に近い過去から現在までの期間」
昨今とは、「現在に近い過去から現在までの期間」を意味する言葉です。このフレーズは、はっきりといつからいつまでという具体的な期間が定まっているわけではありません。
たとえば、「今日このごろ」や「近ごろ」と似たような概念の言葉です。今からそれほど離れていないころから現在までを指すことはわかるものの、「〇年前から現在まで」のようにはっきりとした期間とは決まっていません。
■昨今の読み方
昨今の読み方は「さっこん」です。「昨日」や「昨年」などはどちらも、「昨」という漢字を「さく」と読みます。そのため、つられて「昨今」を「さくこん」と読んでしまわないように気をつけましょう。
「作(さく)」と「今(こん)」という漢字を「さっこん」と読むのは、発音しやすくするためです。これを「促音化(そくおんか)」といいます。
「昨」という漢字を「さく」と読むフレーズは、以下のようなものがあります。
- 昨日……さくじつ
- 昨年……さくねん
- 昨晩……さくばん
■昨今の使い方・例文
- 昨今の日本では、リモートワークが普及してきました。
- 昨今はお忙しいようだとうかがいましたが、お元気でしたか?
- 昨今の異常気象により、大雨などでの被害が増えているようです。
昨今には具体的な定義がないぶん、使用された文脈でどれほどの期間かを察する必要があります。昨今の期間は、おおよそ1か月程度の短い期間~数年単位であることが多いです。
「昨今の日本では~」といった場合にはおそらく数年前から現在まで、「昨今はお忙しいようですね」の場合にはおそらく数か月前から現在までなど、文章から期間を読み取りましょう。
昨今に関連する表現
関連する表現には、以下のようなものがあります。
<類語・言い換え表現>
- 近年
- 近頃(近ごろ)
- 最近
<対義語表現>
- いにしえ
- かつて
- 昔時(せきじ)
昨今には明確な対義語はないものの、これらのように「昔」を指す言葉は対義語表現だといえるでしょう。
それでは、類語・言い換え表現と対義語表現をそれぞれ確認していきましょう。
■昨今の類語・言い換え表現
類語・言い換え表現には、近年・近頃・最近などがあります。また、近い過去~今現在までを指す「今日(こんにち)」も意味が近いです。「きょう」と読んだ場合には「話し手が今現在身を置いている時間」「今過ごしている、この日」を指します。
それでは、意味や使い方の例などを確認していきましょう。
1.近年
「ここ数年」、少なくとも1年以上前~現在までを意味します。ここ数年間の傾向などを伝える際に、使うことが多いです。
たとえば、「近年、人材の確保が難しくなってきている」などと用います。言い換えが可能なものの、昨今よりは少し長めの期間である傾向です。
2.近頃(近ごろ)
「最近のことがら」「現在から近い期間」を意味する言葉です。直近数日や数週間、数か月を指す場合が多いようです。
たとえば、「近頃、朝の寒さがつらいですね」などと用います。昨今と似ているものの、以下のように使用するシーンが異なります。
- 昨今……かしこまった場面で用いる
- 近頃……日常会話のなかでも使う
3.最近
最近も、昨今と似たように使える表現です。違いはそれぞれの言葉が指す期間です。
「最近」は具体的な期間を示さずに、「少し前」や「近い過去」などを表す言葉です。昨今は数か月から数年と幅がありますが、最近を用いるときには多くの場合、数か月程度を指します。
たとえば、「最近昼間に眠気がくるため、困ってしまう」などと用います。
■昨今の対義語表現
比較的現在に近い時期~現在までを指す昨今の対義語表現は、以下のとおりです。
- いにしえ……古代や昔など、過ぎ去った古い時代。
- かつて……過去の特定の期間。
- 昔時(せきじ)……むかし。
これらの表現のうち、日常生活で使用しやすいのはかつてです。なお、いにしえや昔時は古典的で、日常生活ではあまり用いません。
昨今を正しく理解しよう
昨今は、いつからいつまでという具体的な期間が定まっている言葉ではありません。「現在に近い過去から現在までの期間」を指し、文脈によっては数か月前から現在までのこともあれば数年前から現在までのこともあります。
言い換えが可能な表現は複数あるものの、示す期間が少しずつ違うため、うまく使い分けることが大切です。
昨今や関連語を理解して、日常生活やビジネスシーンで適切に使えるようになりましょう。
構成/chihaya