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「単身赴任」とは?「転勤」の根本的な違いと3つのメリット

2025.03.03

単身赴任とは、「仕事の都合で家族と離れて暮らしながら働くこと」です。もしも勤め先の企業から転勤を命じられた場合、単身赴任するかどうかを迷うこともあるでしょう。いざというときに困らないよう、単身赴任に関する情報を蓄えておきましょう。 この記事では、言葉の意味や転勤・出向との違い、日本における現状、メリット・デメリットなどを解説します。さらに、単身赴任に関連して疑問を抱くことの多いポイントもご紹介するため、あわせて確認しましょう。

「単身赴任」とは、「単身で赴任する」、つまり「家族と離れて自分だけで任地におもむき、そこで生活する労働形態」を指す言葉です。また、「単身赴任者」とは「単身赴任をしている社員」を指します。

今回は、正しい意味や実態を解説していきます。

「単身赴任」とは?基礎知識を解説

はじめに、言葉自体の意味や異動・転勤・出向との違いを確認しておきましょう。

■仕事の都合で家族と離れて暮らしながら働くこと

「単身赴任」とは、「仕事の都合で家族と離れて暮らしながら働くこと」です。

企業で勤務していると、現在の住居から通えない場所での勤務を命じられることがあります。そして、もともと同居家族がいる人であれば、家族で勤務地に移り住むか、家族と離れて単身で暮らすのかなどを選択します。

このような場合に、家族と離れて自分だけで勤務地にいき、そこで生活しながら働くことを単身赴任と呼ぶのです。

■異動・転勤・出向との違い

単身赴任と似ている異動・転勤・出向という言葉には、以下のような意味があります。

  • 異動
    会社からの辞令によって職場での地位や任務などが変わる配置転換全般。
  • 転勤
    住居地の変更をともなう異動のこと。
  • 出向
    所属していた企業との雇用形態はそのままで、別の企業にある一定の期間のみ異動すること。勤務先はグループ会社や子会社、関連企業など。

先述のとおり、単身赴任とは仕事の都合で家族と離れて暮らしながら働くことです。

一方で、異動・転勤・出向は勤務する企業からの配置転換などを指します。つまり、配置転換自体を指すのか、それにともなって単身で暮らすという変化も含めているのかが異なる点といえるでしょう。

日本における転勤・単身赴任の現状

転勤やそれにともなう単身赴任は、日本では多くの企業でおこなわれてきました。日本で転勤が多いことは、「転勤族」という言葉があることからもわかります。しかし、住む場所を変えることは、心理的・物理的に負担がかかりやすい行為でもあります。

それでは、企業が転勤を命じる理由や日本で単身赴任が多い理由、それらに関する近年の意識の変化などを確認していきましょう。

■企業が転勤を命じる理由

企業が転勤を命じる理由は、以下のようなものがあります。

  • 人材育成
  • 必要人員を充足させる
  • 適材適所に社員を配置する
  • 連携を強める
  • 組織の新陳代謝を高める
  • 担当業務のマンネリ化や不正を防ぐ

たとえば、顧客や競合、人間関係など、同じ企業であっても拠点による違いがあるものです。さまざまな経験をさせるために、人材教育を目的として転勤を命じることがあります。

多くの拠点を持つ企業は、とくに転勤が多い傾向にあるようです。

■日本で単身赴任が多い理由

日本では、単身赴任が多いといわれています。これは、転勤が業務命令として会社主導で決定されていることと、日本の特徴的な雇用制度が理由です。

日本における勤務形態は、もともと終身雇用が主流でした。多くの人が定年退職まで同じ企業で働いていたため、社員の職務を企業が割り振る形が浸透したようです。また、社内のゼネラリストを育成する目的もありました。

同じ企業でずっと働き続けたいと考える人が多く、転勤が難しいという理由での退職を選びにくかったといえます。しかし、同居家族の都合上みんなで新しい土地に移り住めず、自分だけで任地におもむく単身赴任を選ぶケースが多かったようです。

■転勤や単身赴任に関する意識の変化

近年では、働き方に関する意識が変化しつつあります。たとえば、以下のような点が、転勤や単身赴任に関連した変化です。

  • もともと主流であった終身雇用が崩れてきた
  • リモートワークの普及
  • (働き手側)ワークライフバランスを重視する傾向が強まった
  • (働き手側)ポータブルスキルを重視するようになった
  • (企業側)少子高齢化にともなって人材不足が深刻化している
  • (企業側)望まない転勤をなくそうとする動きがある
  • (企業側)転居などでかかる多額のコストを削減しようとする動きがある

ポータブルスキルとは、どこで働く場合でもいかせるようなスキルのことです。

終身雇用が崩れてきたことで、これまでのように「転勤が難しい」といえない環境ではなくなってきました。また企業においても、ずっと同じ企業で働こうとする意識が薄れたことで、転勤の目的のひとつであった社内ゼネラリストを育成する重要性が減少しました。

住居や居住地は、生活の基礎となるものです。ワークライフバランスを重視する傾向が強まったことで、住居や居住地を変更せざるを得ないような異動に対してより拒否感を抱きやすくなったともいわれています。

少子高齢化が進むにつれて、企業では人材不足に陥る可能性が高まりました。企業が働き手の意に沿わない転勤を命じた場合、従業員が退職を選ぶきっかけになってしまう可能性があります。離職のきっかけを作ってしまわないように、望まない転勤をなくそうとする企業が増えているようです。

単身赴任を選択した場合の3つのメリット

新しい勤務先での暮らし方として単身赴任を選択した場合、以下のように3つのメリットがあります。

  1. 通勤が楽になる
  2. 自由な時間を確保しやすい
  3. 家族には今までの環境で生活してもらえる

また、転勤によって「幅広い業務経験により自分が成長すること」「人脈が広がること」もメリットです。企業からすると、転勤させることによって「社内業務に精通したゼネラリストを効果的に育成できること」「組織の活性化になること」などのメリットがあります。

それでは、単身赴任を選択した場合のメリットを詳しく確認していきましょう。

■1.通勤が楽になる

単身赴任を選択する大きなメリットが、通勤が楽になることです。もちろん、元の居住地から時間をかけて毎日通う場合よりも通勤しやすくなります。

それだけではなく、家族とともに移り住んだ場合よりも通勤が楽になりやすいです。なぜならば、単身赴任の場合は子どもの学区や配偶者の勤務先などとの兼ね合いを考えずに、自分の都合のみを考えて居住地を決められるためです。

■2.自由な時間を確保しやすい

単身赴任の場合には、自由な時間を確保しやすいというメリットもあります。

同居している家族がいれば、帰宅後や休日など、疲れていても相手の予定にあわせなければならないこともあるでしょう。しかし、単身で生活していれば相手の都合によってやることを変える必要がなくなり、自分の時間を確保しやすくなります。

■3.家族には今までの環境で生活してもらえる

遠くに転勤しなければならない場合であっても、単身赴任を選べばそのほかの家族の生活環境を変えないままでいられることもメリットです。

居住地を変えることは、以下のようなさまざまな面でも変化が大きいため、負担になりやすいといえます。

  • 配偶者の仕事
  • 子どもの学校
  • 習いごと
  • 友人関係
  • 通院

たとえば、配偶者が今までの勤務先で働き続けたいと考えていても、ともに居住地を変えた場合には同様の勤務先で働き続けることは難しいです。また、持ち家があった場合には、「せっかく買った家を空き家にしたくない」と感じることもあるでしょう。

このように居住地を変えたくない理由がある場合、単身赴任を選べば転勤を命じられた本人以外への変化を抑えられます。

単身赴任を選択した場合の4つのデメリット

一方で、単身赴任を選択した場合には以下のようなデメリットがあります。

  1. 必要なお金が増える
  2. 寂しい
  3. 子育てに影響が出る
  4. 場合によっては離婚につながる可能性がある

企業からすると、転勤を命じた場合に「各種手当を支給する必要があること」「社員が転勤を嫌がるあまり、退職してしまうリスクがあること」などがデメリットです。もしも転勤を命じたことで優秀な人材が流出してしまえば、企業にとっては大きな損失となってしまうでしょう。

それでは、単身赴任を選択した場合に考えられるデメリットを詳しく確認していきましょう。

■1.必要なお金が増える

単身赴任を選択した場合には、生活するために必要なお金が増えることがデメリットです。

この場合、単身赴任をする人と今までどおりの場所で生活をする人の2つの世帯に分かれるため、住居費や光熱費などの生活費が二重にかかります。また、家具家電などを購入する費用もかかるでしょう。

企業側からしても、単身赴任手当や家賃補助などの手当に関する規則がある場合には、従業員に支払うお金が増えることになります。

■2.孤独を感じる

単身赴任を選んだ場合には、孤立感や寂しさを感じやすいこともデメリットです。

一人での生活は自由になることが多いものの、物理的に距離ができることで家族とのコミュニケーション不足になりやすくなります。これによってすれ違いが生まれたり、メンタルヘルスの悪化につながったりなどの悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

■3.子育てに影響が出る

子どもがいる家庭であれば、子育てに影響が出る可能性もあります。

親が単身赴任をすることになると、子どもと会える時間が当然限られます。また、配偶者は一人で子育てのあれこれをすべて任されることとなってしまいます。

単身赴任者にとっても、近くで子どもの成長を見守れないこと、家族が自分のいない生活に慣れてしまいかねないことなどがデメリットです。

配偶者が単身赴任中の家族は、以下のようなポイントに気をつけるといいでしょう。

  • 子どもの成長や子育ての悩みなどを相手に伝え、密にコミュニケーションを取ること
  • 子どもに単身赴任中の相手の存在を感じさせる声掛けをすること
  • 寂しくても家族のために頑張ってくれているのだと子どもに伝えること
  • 帰省時には親子のスキンシップをしっかりと取ること

親が単身赴任をしていても、子どもと暮らす側の親が「また〇〇(パパ・ママ)が帰ってきたら一緒にやろうね」と伝えるなどすると、親の存在を実感させられます。なるべく子育てへの影響が少なくなるように、単身赴任をする場合にはこれらのポイントに注意しましょう。

■4.場合によっては離婚につながる可能性がある

また、単身赴任が離婚のきっかけになる可能性があるといわれていることもデメリットです。

単身赴任が離婚のきっかけになる理由には、以下のようなものがあります。

  • 単身赴任中の浮気
  • コミュニケーション不足
  • お互いの家における生活費の使い方の違い
  • 配偶者が家にいないことを快適に感じた場合

一人で暮らす開放感や寂しさから浮気をしてしまうと、離婚の原因になりやすいです。単身赴任をする場合にはとくに注意してください。

また、単身赴任ではコミュニケーションが足りないことでのすれ違いが多くなりやすいです。コミュニケーション不足は、相手への気持ちが離れるきっかけになる可能性があります。電話やLINEを使ってその日の出来事や子どもの成長を伝えるなどして、なるべくコミュニケーションを取れるように努力するといいでしょう。

単身赴任に関して疑問を抱きやすいこと

あわせて、単身赴任に関して疑問を抱きやすいこととその疑問の答えも解説します。

単身赴任に関する疑問には、以下のようなものがあります。

■単身赴任する場合の流れは?
■住民票を移したほうがいい?
■選挙はどうすればいい?
■単身赴任手当はもらえるの?

それぞれの疑問の答えを確認していきましょう。

■単身赴任する場合の流れは?

単身赴任する場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 人事異動の内示が出る
  2. 部屋探しをする
  3. 引っ越しの準備をする
  4. 引っ越しに関わる諸手続きをおこなう
  5. 実際に引っ越しをする

引っ越しに関わって必要となる諸手続きには、以下のようなものがあります。

  • 転出届・転入届・世帯主変更などの手続き
  • 郵便物の転送手続き
  • 電気・ガス・水道の利用開始手続き
  • インターネット回線の開通手続き
  • 運転免許証やクレジットカードなど、各種住所変更手続き
  • 印鑑登録の変更

なお、必ずしもこれらすべての手続きが必要となるわけではありません。

■住民票を移したほうがいい?

単身赴任をする際、「もともと短期間で戻ってくるような見込みがある場合でも住民票を移したほうがいいのだろうか」と迷うことがあるでしょう。

住所を移したときは、原則として14日以内に住民票を移す必要があるとされています。しかし、「新住所に住むのが一時的」「生活の拠点が移動しない」のであれば、住民票を移さなくても問題ありません。

住民票を移さない場合には、元の自宅の住所で課税されます。児童手当(子ども手当)の変更手続きが不要となり、住宅ローン控除(住宅借上金等特別控除)もそのまま受けられます。

ただし、住んでいる市区町村での行政サービスを十分に受けられなくなる可能性もあるため注意しましょう。なんらかの手続きが必要となったときに旧住所地までいく必要があるため、不便を感じるかもしれません。

■選挙はどうすればいい?

もしも住民票を移さないでいると、選挙の際に困る可能性があります。この場合には、新住所では選挙権・被選挙権を行使できません。投票するために旧住所地までいくこととなれば、多くの時間・お金・手間がかかってしまいます。

また、単身赴任先に住居変更をしている場合であっても、引っ越してからの期間が3ヶ月未満の場合は新しい居住地での投票はできません。住居変更済みで引っ越してから3ヶ月経過後であれば、新しい住所で投票できます。住居変更をしてから3ヶ月未満の場合、旧住所地で3ヶ月以上生活していれば、旧住所地の投票所での投票は可能です。

■単身赴任手当はもらえるの?

単身赴任で手当がもらえるかどうか、また支給される条件などは、勤め先の企業によって異なります。単身赴任に関連する手当は、「単身赴任手当」「家賃補助(住宅手当)」「帰省旅費手当」「地域手当」「引っ越し手当(転勤支度金)」などがあります。

これらのうち、単身赴任手当とは「さまざまな理由により家族と別れて単身で生活しなればならない社員に支給する手当」のことです。単身赴任の際は、先述のとおり生活費が二重になるため、支出が増える傾向にあります。その経済的な負担を軽減するために支給されているお金が単身赴任手当です。

単身赴任をするかどうかの判断に役立てよう

勤務先から転勤を命じられた場合、単身赴任をするかどうか、家族みんなで移り住むかなど迷うものです。単身赴任を選んだ場合、自由な時間を確保しやすいことやほかの家族の生活環境をあまり変えずに済むといったメリットがあります。ただし、寂しく感じることやお金がかかること、子育てなどに影響が出ることなどのデメリットもあります。

また、近年では転勤や単身赴任に関する考え方が変わって、命じる側の企業としても以前より従業員の生活に配慮するようになってきました。

これらの情報や実際に単身赴任をする場合の疑問点などを理解し、適切に判断できるようになりましょう。

構成/chihaya

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