2024年11月、フリーランスが安心して働く事のできる環境整備を目的として、「フリーランス新法」が施行された。実際、フリーランスのフィーを不当に下げたとして、大手企業が罰せられたという報道もあった。会社員のように守ってくれる後ろ盾がないフリーランスは、不当な扱いを受けることも多い。また、フリーランスとして活動するも、そもそも仕事がなく会社員に戻ったというケースも少なくない。今回は、フリーランスとして活動する上でのポイントや案件獲得においての注意点などを紹介する。
フリーランスになる前に準備しておくべきこと
「会社をやめて、じっくりスキルアップしよう」と考える人もいるかもしれない。しかし、フリーランスになってすぐに案件が獲得できる保証はない。収入の目処が立たずに日々暮らすというのは、想像以上に不安でストレスになる。フリーランスとしてスムーズに動き出すことができるように、会社に所属している間に、できる限り準備をして見通しが立つ状態にしておくことをオススメする。
(1)隙間時間に合わせてタスク処理
通勤時間や休憩時間など、何気なくスマホをいじって時間を過ごしてしまう人は多いのでは。「1時間:勉強、30分:SNS発信、10分:情報収集」といったように、時間ごとにできることをあげておくと、細切れの時間も無駄にすることなく、タスク処理やスキルアップの時間として活用できる。
(2)会社の制度を利用してスキルアップ
会社によっては、自己学習にかかった費用の一部を支給する補助金制度を設けている場合がある。例えば、英会話スクール通った場合、受講費用の70%を補助、TOEIC800点以上取得した場合は100%補助、といったように、成果によって補助金額が変わることもある。自己負担なくスキルアップできるのは、会社員ならではの大きなメリットなので、一度制度の有無を調べてみると良いだろう。
(3)人脈作り
フリーランスは「自分」が商品。もちろんスキルで勝負するのだが、実績がないうちは勝負の場に立つことすら難しい。私自身、フリーランスとして活動を始めた際、案件を発注してくれたり、人を紹介してもらったりと、様々な人に助けられた。スキルも大事だが、何よりも「人のご縁」が一番強いと感じている。会社の看板を背負っているからこそ出会える人もいるので、色々な業種の人と出会い、情報交換をしておくと、どこかのタイミングで助けになるかもしれない。
(4)副業で実績づくり
副業OKの会社であれば、在職中に実績づくりをしておこう。ダブルワークは心身共に負担は大きいが、ある程度案件を獲得しておくことで、安心して独立することができる。また、副業としての活動が本業の仕事に良い影響をもたらすことも多く、パーソルキャリアが行った調査では、副業を解禁している企業の管理職のうち、66.5%が、「副業を行っているメンバーが本業に良い影響を与えている」と回答したという。
※引用:パーソルキャリア プロフェッショナル人材の活用総合サービス「HiPro」調べ
案件はどうやって獲得する?
●SNS
独立直後や実績がないうちは、手放しで案件が降ってくることはない。自身のSNSでフリーランスで活動を始めたことや、何ができるか、ポートフォリオなど、積極的に発信していこう。安価で利用できるため、広告も打って反応を見てみるのも手だ。
●紹介
前述の通り、フリーランスにとって重宝するのが紹介案件。発注元の身元がはっきりしているので安心、かつ独立したてということを理解し、比較的寛容に対応してくれるケースが多い。きちんとした成果をあげれば、別のクライアントを紹介してくれることも多く、数珠繋ぎで案件が獲得できる。ただし、知り合いだからといって、安く買い叩かれたり無茶なリクエストをされることもあるので、「親しき中にも礼儀あり」の姿勢は崩さないでおこう。
●クラウドソーシングサイト
とにかく実績件数を増やしたいという場合は、フリーランスと企業をマッチングするクラウドソーシングサービスがおすすめ。例えば、「ライティング1件」といったスポット案件から、「年間のPR活動」といった長期案件まである。フィーにおいても、時給、文字単価、プロジェクトごとといったように案件によって異なる。「クラウドワークス」「ランサーズ」など、多くのサービスがあるため、自分に合ったサービスを探してみよう。
実績がないうちは、人気案件や高額報酬の案件を獲得するのはなかなか難しいが、コツコツ成果をあげていけば、わらしべ長者のように、小さな案件がどんどん大きくなってくる。時給換算すると虚しくなるような案件でも、最初のうちは、とにかく実績と経験を積むことを目的に、真摯に取り組もう。行政の案件はフィーが発生しない(プロボノ)ことも多いが、「行政と仕事をした」という実績は、お金には変えられない安心感と信頼感を付与する。
フリーランスを守ってくれる契約書
フリーランスは、口約束やLINE・メールでのやりとりで仕事を受注することも多い。しかし、途中から依頼内容が変わったり、当初の話にはなかったタスクを課されトラブルになる場合もある。私自身も、当初なかったタスクが次から次へと発生してきたり、クライアントとの役割分担を明確にしていなかったため、ボール(タスク)が宙に浮いた状態になったりと気を揉んだことが何度もある。
今は、ネットでも見積もりや契約書の雛形をダウンロードすることができるので、仕事を受注した際には、見積もりや契約書を作成し、仕事内容や追加費用がかかるケースなど明記しておくことで、後のトラブルを防ぐことができる。働く場所や仕事内容など、自由なイメージが強いフリーランスだが、それとは引き換えに責任や苦労・不安も大きい。しっかりと準備・計画を立て、「自由」を楽しむ事のできるフリーランス生活を送って欲しい。
文 / Kikka