国内景気の行方を左右する個人消費の動向。2024年の春闘では、大企業において満額回答が相次いだものの、中小企業の賃上げは見劣りする一面もあった。物価の上昇スピードに賃上げが十分に追いつかない状況は、家計の節約志向が高まる背景となっている。2025年の景気回復につながる年末商戦における冬のボーナスへの注目度は一段と高まってきた。こうした背景を受けて、帝国データバンクは2024年冬季賞与の動向について調査を実施した。
2年連続で増加する企業は12%!
■冬季賞与の1人当たり平均支給額が前年より「増加」する企業は23.0%に微減
2024年の冬季賞与(ボーナス、一時金、寸志など含む)の従業員1人当たり平均支給額をみると、「賞与はあり、増加する(した)」企業は23.0%であった。前年(24.1%)から1.1ポイントの微減となった。一方で、「賞与はない」企業は12.8%だった。特に「繊維・繊維製品・服飾品小売」は47.7%と突出して高く、ほぼ半数の企業が賞与を支給しない状況となっている。
■2年連続で冬季賞与が「増加」する企業は12.0%へ上昇
業界別の動向をみると、「金融」「建設」「製造」の3業界において冬季賞与が「増加」する割合が2年連続で高まった。また、2024年問題に直面し人材確保が課題となっている『運輸・倉庫』では、前年(22.5%)より8.4ポイント上昇し、唯一3割を超える結果となった。他方、冬季賞与が2年連続で増加する企業は12.0%で、前年から1.7ポイント上昇した。
なお、賞与を増やす企業からは、
・「設備投資は比較的旺盛で、設備改修工事なども多い」(一般管工事)
・「IT技術者不足が続く」(ソフト受託開発)
・「インバウンド需要が長期にわたり高い」(旅館)
・「値上げの効果が出てきている」(一般乗合旅客自動車運送)
・「引き続きドライバー不足には拍車がかかり、人材の争奪戦が激化する」(一般貨物自動車運送)
といった要因を指摘する意見が聞かれた。
※ 調査期間は2024年11月18日~11月30日、調査対象は全国2万6,880社で、有効回答企業数は1万939社(回答率40.7%)。なお、冬季賞与の動向に関する調査は2020年以降毎年実施し、今回は5回目。
構成/立原尚子