店内で一番目立つエンドに陳列
「ニッチなところを狙った商品ですので、今の販売状況は予想を超えています」と土井氏。ワークマンの店舗の店長がはいているなど、ワーカーが仕事の際にはくだけではなく、一般ユーザーの着用も多い。女性用は用意していないが、Sサイズが比較的よく売れているということから女性からの支持も集めていると見ている。
同社としては快適ワーク研究所をアピールしたいこともあり、商品は店内の一等地といってもいい、店舗に入ってすぐのところにあるエンド(通路に面した陳列棚の端)に置かせてもらうことができた。路面店ではもれなく、エンドに商品を置くことができた上に、商品紹介用のボードも制作して売場に設置。エビデンスを示した下げ札もつくり商品に取り付けた。
路面店での陳列の様子。エンドに並べられ、商品紹介ボードも用意されている
商品にぶら下げられている下げ札。3つのエビデンスを盛り込んでいる
ただ土井氏は、前から見たら普通のパンツとほぼ変わらないことから、ただのパンツではないことを示したいと考えるようになった。そこで、2024年10月に発売したウォームパンツには下げ札と同様の内容に加え、「ベルト滑車部分に秘密あり」の文言とブースターベルトを前に引くイラストを載せたラベルをバックポケットに取り付けて売場で見せるように陳列することにした。バックポケットつけられたラベル。エビデンスのほか滑車の構造を応用したブースターベルトを訴求している
面ファスナーを廃止したウォームパンツ
秋冬物として発売されたウォームパンツは、ストレッチパンツとワークパンツの販売好調を受けて商品化された。価格は2500円。現在のところ売れ行きは好調だという。
XBoosterアシストウォームパンツ。秋冬向けの防寒タイプで、面ファスナーを廃止したことで見た目がスッキリし、他の衣類との洗濯もしやすくなった。カラーは写真のベージュのほかグレーとブラックの3色で展開している。本体素材はレーヨン75%・ナイロン20%・ポリウレタン5%で、サイズはM・L・LL・3L(ブラックのみS・4Lもあり)
ウォームパンツの見た目はストレッチパンツと同じだが、生地の素材を変え、裏を微かに起毛させている。しかし最大の違いは、面ファスナーを廃止したことだ。
「ストレッチパンツとワークパンツをつくった時は『完璧』と思っていたのですが、面ファスナーを使ったことでいろんなところにくっついてしまうことが発売後に店舗で見てわかりました」と土井氏。また、ブースターベルト閉める時にいったんベルトループを外さなければならないのは面倒なことから、毎日使ってもらうために煩わしさを解消することにした。
面ファスナー廃止のために採用したのが、ウエストサイズを3段階調整できるアジャスター。アジャスターを調整して腰にピッタリとフィットさせるようにする。これにより補助ベルトを面ファスナーで固定させる必要がなくなり、前に引き出したブースターベルトを専用のポケットにしまうようにしたことでウエストとブースターベルトの面ファスナーを廃止することができるようになった。同様の工夫はストレッチパンツやワークパンツへの応用も検討されているという。
XBoosterアシストウォームパンツで採用された3段階調整アジャスター。しっかりフィットし続けられるよう、頑丈なつくりになっている
XBoosterアシストウォームパンツに設けられた、後ろから引いたブースターベルトをしまう専用のポケット
取材からわかった『XBooster』シリーズのヒット要因3
1.面倒臭くない
サポーターやコルセットは腰にいい反面、トイレの際は外さないといけないなど使い勝手が必ずしもいいとはいえない。使うことに面倒臭さを感じることがあるサポーターやコルセットの機能をパンツに持たせ、面倒臭さを解消することができた。
2.具体的な数字で説得力を高めた
はくと得られる効果を示すため、実験から得られたエビデンスを提示。具体的な数字でエビデンスを示したことで商品のポテンシャルを証明することができ、腰痛持ちの人に期待を抱かせることができた。
3.高品質・低価格
労働寿命の延長を目的に快適ワーク研究所で開発。ワーカーが納得できる効果実感を実現したことは、一般ユーザーからしたら品質にお墨付きを与えられた商品に映る。買い求めやすい価格に抑えたことも相まって一般ユーザーにも波及していった。
腰周辺をギュッと強く締めることで腰が安定する。土井氏によれば、腰の安定感を高く評価するユーザーが多いという。腰が締まって安定すれば背筋が伸びて姿勢もよく見える。猫背予防にも使えそうなので、よりデザイン性に磨きをかければ普段使いするユーザーが増え、売上を飛躍的に伸ばすことができるだろう。
製品情報
https://workman.jp/shop/g/g2300031904024/
https://workman.jp/shop/g/g2300036408022/
取材・文/大沢裕司